更年期は自分の世界を広げるチャンス つらいトンネルは必ず抜けられます【看護師 白田 浩美】
目次
その日のうちに不安が解消できるようアプローチ
ー白田さんが看護師を目指したきっかけを教えてください
私は社会人になった当初は、看護師としてではなく、一般企業で普通のOLとして働いていました。20代後半で不妊治療を始め、不育症で3年間治療を続けたのですが、その当時はSNSなどもなく、不妊治療の情報がほぼない状況でした。そこで、看護師になればもっと情報を得られるんじゃないかと考えたんです。ただそれだけの理由で看護師を目指しました。
「自分が知るため」というきっかけで看護師になりましたが、今ではもう20年以上勤務しています。不妊治療専門の医療機関だけでなく、一般婦人科でも相談を担当しています。
ー患者さんとのコミュニケーションで心がけていることはありますか
婦人科の現場で長年働いているので、月経不順から更年期、不妊治療に関してなど、さまざまな相談を受けています。
結果に対する不安のケアや、専門用語や早口で説明されて理解できなかったといった患者さんのフォローも多いです。患者さんがその日のうちに少しでも不安を解消できるように、しっかりお話を聞くことを心がけていますね。
あとは、どの年齢の方に対しても話しやすい、相談しやすい雰囲気づくりを心がけています。年齢によって、声のかけ方や接し方を工夫していますね。
たとえば、若い患者さんには「今日先生にこう言われたけど、どうだった?」と声をかけています。私も状況の共有うけているよと先に伝えることで、話してみようかな、質問してみようかなと信頼してもらえるようになります。年齢が上の方の場合は、雑談から徐々に距離を縮めていくアプローチを取ることが多いです。
ー相手によってそこまでアプローチ方法を変えているのですね
そうですね、長年の経験があって今に至るという感じです。最初の頃は失敗もありましたけどね(笑)
患者さんのプライベートな部分にも踏み込む必要があるので、安心して話してもらうことが1番大事だと思っています。生理も、不妊も、更年期も、相談しにくいですよね。私としては、セックスに関する悩みを打ち明けてもらえると、こんなに安心してお話いただける相手になれたんだと感じてほっとします。
ーお仕事の中でやりがいを感じる部分はどこでしょうか
やはり、不妊治療をされていた患者さんが前向きな気持ちでクリニックを卒業される時が嬉しい瞬間です。もちろん妊娠してだけでなく、時には、妊娠に至らない形で治療を終えられることもあります。その場合にも声をかけていただくことも多く、もちろん申し訳ない気持ちはありますが、「よくここまでがんばってこられたな」と感慨深いものはありますね。
あとは、慎重というか、何事にも不安が強い方と対峙していて、その方の問題解決の糸口になれた時にもやりがいを感じます。最初は依存的で、自分で決断できなかった方が、自分で行動を決められるように変わった時は特にうれしいですね。
更年期の患者さんの場合、待ち時間が長いと「忘れられてるんじゃないか」とネガティブな考えに陥りやすいんですよね。 そういった方たちの症状が和らぎ、今まで1時間待てなかった方が待てるようになった時には、症状が落ち着いていて良かったなってほっとします。
更年期のお悩みには自分の経験を活かして、アドバイスしています
ー更年期に関する悩みやご相談で多いものを教えてください
自分の感情をコントロールできない、気持ちの浮き沈みが激しい、心の落ち込みがとても強く「今までの自分じゃないみたい」「なにかがおかしい」と感じて、ご相談にいらっしゃる方が多いですね。
ーストレスによる精神的なものなのか、更年期の影響なのかが分かりにくいと思いますが、みなさんどんなきっかけでご相談にいらっしゃるのでしょうか
私が勤務している婦人科では、自治体の定期がん検診も実施しており、婦人科や女性内科、鍼灸&ヨガも併設しています。症状が気になって「更年期かもしれないから婦人科にいこう」と相談に来られるのではなく、年に1回の検診を受ける際に、そのほかの気になる症状として相談されるケースが多いですね。
かかりつけをもったり、検査や他の治療で受診する際に、まずは気軽に相談してみるのがよいと思いますよ。
ーお悩みに対してはどのようなアドバイスをされていますか
私自身も、30代後半から更年期の症状が出て、漢方などを飲んでいた経験があるので、まずは「あなただけじゃないよ」「とてもつらいよね」と共感をお伝えしています。
次に、ホルモン採血などで事前に疾患がないか確認することをお伝えしますね。甲状腺の病気が要因となり症状が出ていることもあるため、原因を探ることが大切です。
症状の緩和には、漢方や鍼灸、サプリなど取り入れやすい方法から始めてみることをおすすめしています。体質に合う合わないはありますが、保険適用のプラセンタ療法などいろいろな選択肢があるので、その方の状況に合わせて選べるように情報をお伝えしています。ひと通り私自身で試していますから、その経験もアドバイスに活かしています。
生活の中で気をつけることとしては、過去に運動習慣のあった方には再度運動を取り入れることをおすすめしたり、運動が苦手な方にはカラオケで声を出すこともいいですよとお伝えしています。
私自身、野球観戦が大好きで、一度インドア派の患者さんに野球観戦をおすすめしたのですが、ドン引きされてしまったことがあります(笑)それ以降、相手の生活や好みにあった方法をアドバイスするように気をつけています。
更年期は自分の世界を広げるチャンス、自分にあった情報をうまく選んで楽しんで!
ー 「更年期」でお悩みの方へのメッセージをお願いします!
情報を駆使して自分に合う対処療法を探しながら、自分の世界を広げていってください!
更年期は一時的なものなので、いつかトンネルを抜ける時がきます。今は症状が出ていてつらくても、徐々に徐々に解放されていきますので、「どうやったらこのつらさを早く軽減できるかな?」と、楽しむ気持ちで向き合っていただきたいなと思います。
今はSNSやインターネットで「更年期」と検索するだけで、当事者や経験者の方がたどった様々な情報が手に入りますよね。しっかり取捨選択する必要はありますが、私が不妊治療した時と違って、情報があふれるとてもいい時代だなと感じています。
更年期が終わったら次は老年期が待っているんですけどね(笑)それでも更年期の期間で、苦しさをひとつ乗り越えたという経験は、次のステージを楽しむ心構えになると思っています。
週1回のトランポリンでリフレッシュ
ー 白田さんオススメの、気分がモヤモヤした時のリフレッシュ方法だったり、リセット方法を教えてください
もともと踊ることが大好きなので、週に1回、暗闇トランポリンに行っています。
45分間、好きな音楽を流しながらぴょんぴょん跳ねると、めちゃくちゃ楽しいしリフレッシュできます。
あとは飼い猫に癒してもらっています。犬や猫はいいですよ。夫婦2人でかわいがることで、猫が緩衝材になって夫婦の関係もよくなるのでおすすめです。