今日のあなたが一番若い。妊活は思い立った時が始めどき 【看護師 濱田 亜紀】
目次
患者さんが納得する治療の意思決定のため、まずは尊重の姿勢から
ー濱田さんのこれまでのご経歴についてお伺いできますか
看護師としてのキャリアのスタートは消化器外科でした。あるきっかけで生殖分野に触れることになり、どんな治療なのかを知るうちに、どんどん興味が湧いて、はまってしまったという経緯です。
現在は大阪府内の不妊治療専門クリニックにて、看護師と生殖医療相談士として勤務しています。クリニックでは対面で患者さんからご相談を受けながら、治療のサポートを行います。
どんなことでも興味を持ったら突き詰めるタイプなので、生殖分野に関しても働きながらずっと知識を深めていっています。看護師としてキャリアをスタートして、生殖医療の分野で働くようになってからは、もう長いこと生殖の業界に携わり続けていますね。
専門的なサポートはもちろん、安心して相談していただけるよう、お話ししやすい雰囲気づくりを意識しています。
ー患者さんとのやりとりの中で、心がけていることや大切にしていることはありますか
一番大事にしているのは「聞くこと」ですね。
患者さんが自身で決定を下すためのアシストをすることが私の役割だと思っています。不妊治療はデリケートな問題なので、患者さんの気持ちを尊重しつつ、特に丁寧に対応することを心がけています。
私は話すよりも聞く方が好きなので、まずはしっかりと患者さんの話を聞き、その上で必要な情報を提供することに努めています。
複雑な気持ちが入り混じる不妊治療 患者さんの言葉で成長させてもらっています
ーお仕事をされている中でやりがいを感じる瞬間はどんな時でしょうか
やりがいを感じるのは、やはり患者さんが無事に妊娠されて、産婦人科へ送り出す時ですね。長い間努力してきた患者さんが、ついにその目標を達成できたときは、私も本当にうれしく思います。
ただやはりいい結果ばかりではないので、患者さんの悲しみ、苦しみをケアするときもあります。でもその方が最後にちょっとでも笑顔になってくれたりすると、それはそれでやりがいがあって、「あの時話を聞いてくれてありがたかった」などの言葉をもらえたりするとうれしいですね。
私自身、患者さんからの言葉で成長させてもらったり励ましていただくことがほとんどで、患者さんたちに支えられていると感じています。
ー印象に残っているエピソードがあれば教えてください。
そうですね、その方は非常に真面目で、これまでの人生で大きな挫折を経験したことがない方でした。
不妊治療だけは自分の力ではどうにもならず、非常に苦しんでおられました。今までの経験の中では努力すればその分結果が出ていたことが、努力の方向がわかれへんっていうんですかね、とてもつらかったと思います。
結果的にはお子さんを授かり、無事に出産されたのですが、その彼女が育児がひと段落した頃に、クリニックに手紙を届けてくださいました。その手紙の中に「今やっと受け入れることができた」と書いてあるのを読んだ時、治療に取り組む方の複雑な思いを目の当たりにした気がしました。
出産、育児を経てもなお、不妊治療を受けていた事実にどうしてもご自身で納得がいかず、心の中で何かが解決できていないと感じておられたんだなと。
不妊治療は、ハッピーなゴールを迎えたように見えても、外からは決して見えない深い悩みや葛藤がたくさんあるんだと改めて強く感じました。
妊活の始めどきは躊躇せず、今日より若い日はありません
ーこれから妊活に取り組もうとしている方や、不妊治療に悩んでいる方に向けて、メッセージをお願いします。
授かりたいと思った時が始めどきと思って、躊躇せずにすぐに妊活を始めてください。
なにより時間が勝負で悩んでいるだけで時間はすぐ経ってしまいます。今日より若い日はありませんので早め早めに始めてほしいなと思います。
不妊治療は、デリケートでプライベートな悩みだからこそ悩んだり不安に思うことがあれば、いつでも誰かに頼ってくださいね。
自分だけの時間を大事にしています
ー最後に濱田さんオススメの、リフレッシュ方法やリセット方法を教えてください
リフレッシュ方法は…お酒です!(笑)私はお酒が大好きでなんでもよく飲みますね。
あとはピアノを弾くことですね。実は大人になってから再びピアノを習い始めてもう5年以上続けています。ピアノを弾くことで頭も使いますし、ストレス解消にもなります。
家庭や職場での役割を離れ、私だけの時間、私だけのものがリフレッシュにつながっているんだと思います。