PMSは身体と心のSOS がんばりすぎている自分のからだの声に気づいてください【看護師 加藤早紀】

生理・PMS
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加藤 早紀

看護師、体外受精コーデイネーター

看護師・体外受精コーディネーターとして14年、不妊治療や母子医療に従事し、妊活や育児に悩む方々の看護に取り組む。現在、その経験を活かし、母子・小児・精神医療に対応する訪問看護を立ち上げ準備中。また、ファミワンにて妊活や不妊治療に悩む方へのカウンセリングやセミナーも実施。「どんな人でも価値があり、幸せになれる」という信念のもと、皆様が自分らしく輝く未来を全力でサポートする。

女性の健康に寄り添う看護を目指して、訪問看護サービスを立ち上げ

-加藤さんが看護師を目指したっきかけを教えてください

看護師になったきっかけは、祖母が入退院を繰り返していた頃、お見舞いに行く度に看護師さんの姿を見ていて、この人たちが病気の人を看護したり命を助けていたりするんだなと憧れたことですね。祖母も看護師さんに対してお世話になっていた感謝の気持ちもあったのでしょうか、私に繰り返し「あなたは看護師さんになるんだよ」と言ってくれていて、自然と看護師の道に進んでいました。

キャリアのスタートはNICU(新生児集中治療室)でした。途中病院を移ったりはありましたが、経歴としては産科とNICUで妊婦さんや赤ちゃんにふれあうことの多い環境でした。

ー女性の健康支援に深く関わるようになったきっかけを教えてください

流れとしては、不妊治療が最初なんです。勤めていた助産院がクリニックを立ち上げて不妊治療を取り扱うということで私も誘われて、不妊治療の看護を一から勉強するようになったのがきっかけです。

不妊治療についての勉強を始めるまでは、産婦人科のハッピーな部分しか見ていなかったことに気づき、世の中には子どもができないことで悩んでる方や自分の思い通りにいかなくて悩んでいる方がいることを知りました。

不妊治療をしないと幸せになれない、赤ちゃんがいないと幸せになれないと考える方々をたくさん見ていく中で、子供がいようがいまいが、誰でも幸せになれるとお伝えしていきたいと考えるようになりました。

幸せそうなカップルの画像

ーなるほど、その経験があるからこそ、様々な角度から女性の健康に寄り添っていらっしゃるのですね。今のお取り組みを教えてください

今はちょうど、訪問看護の立ち上げを進めているところなんです。

女性とその家族を看護するというテーマで、婦人科の症状で悩む方、不妊治療中の方、妊婦さん、産前産後、乳がんや卵巣がんなどのがん疾患の患者さん、消化器系疾患の患者さん、発達障害や精神科疾患で悩んでいる方等が対象の訪問看護サービスです。

ご自宅でカウンセリングを受けることができたり、自己注射のお手伝いをするなど、患者さんが自宅に戻ってからもケアを必要としているところに以前から着目していました。

具体的なところは今ちょうど話し合っているところですが、不妊治療施設でのカウンセリング経験も生かして、ご自宅での不安や悩みによりそうサービスでありたいと考えています。

相手も自分もそれぞれの価値観を大切に

ー女性に寄り添い、看護やカウンセリングをされる中で大切にしていることはありますか

自分の価値観の中で、良い悪いをジャッジしないことを心がけていています。

カウンセラーやアドバイザーとして、その人の価値観をジャッジするのではなく、その方がこれがいいと思って進んでいる人生を否定しないという点は、自分の軸として大事にしています。

患者さんに良かれと思って、自分の価値観や信じているものを押し付けてしまうことは、相手の価値観を否定してしまうことになってしまいます。私は、どんな価値観でもまずは認めて否定しないということを常に意識しています。

訪問看護の立ち上げる際の話し合いで、「加藤さんはどんな訪問看護にしたいですか?」と聞かれた際に、患者さんだけではなくスタッフの価値観や人生も大事にできる訪問看護にしたいと答えました。患者さんだけではなく、自分を含めた、周りの人も大切に思える、そういう環境を作りたいと思っています。

ー加藤さんが携わる中でのやりがいはなんでしょうか。

患者さんの、気持ちの変化に立ち会えた時、お話しできてよかったなとうれしく思います。

最初はずーんと重苦しい雰囲気で、将来に希望が見えないといった表情でカウンセリングに来られた方が、お話を進めていく中で「あ、一歩前に進んでみようかな」と気持ちの変化が現れる瞬間を感じられることがあります。

その瞬間に立ち会えた時、私もお話しできてよかったなと思いますしやりがいを感じます。

気持ちの変化が現れる瞬間に立ち会えた時やりがいを感じます

PMSは身体と心のSOS、自分を否定せず小さな変化を心がけて

ーPMS(月経前症候群)のご相談では、どんなお悩みがあり、どんなアドバイスをされていますか。

PMSはホルモンのゆらぎが原因で、体のつらさや感情など自分ではコントロールできないことも多いのですが、そのことに対してご自身を否定してしまう方がいらっしゃいます。

自分の生活が悪いんでしょうかとか、今までの生活習慣や考え方が悪いんでしょうか?というご相談をいただくことがあります。

その際には、PMSは体や心のSOSだとお伝えしています。

PMSがひどいということは、すごく無理をしているということなので、体や心の「どうにかしてほしい」という声をまずは認めて、ご自身ががんばりすぎていることを知ってほしいと思います。決して自分を否定しないでほしいです。

症状がつらいのであれば、一時的にお薬に頼ることもおすすめします。お薬で症状を軽減しつつ、できるところから体質改善や生活改善を進めていくことをご提案しています。

コンビニ弁当やカップ麺ばかりの食生活なら、まずはプロテインバーに変えてみる、一品だけでも自分で作ってみるなど、これまでの生活に対して否定的にはならず、できることから少しずつ自分のペースで生活を見直していけると良いと思います。そしてその小さな変化を自分自身で褒めてあげて、自分を大切にしてほしいと思います。

できることから少しずつ自分のペースで生活を見直して

-PMSについて困っている、悩んでる方に 対してメッセージをお願いします。

ひとりで悩まない、悩むことをダメだと思わないでほしいと思っています。今のまま、そのままの自分でオッケーです!

悩み事は誰かに聞けばいいし、私たちみたいに相談できる場所に相談して一歩を踏み出すきっかけにしてほしいです。3日悩んだら誰かに相談してください

まだまだがんばりが足りないと思うのではなく、がんばりすぎていてつらくなっていることをまずは自覚して、じゃあどうすればいいのかを一緒に考えるお手伝いができればと思っています。

モヤモヤを紙に書いて可視化して、気持ちを整理

-加藤さんさんオススメの、気分がモヤモヤした時のリフレッシュ方法だったり、リセット方法をお聞かせください。

私はとにかく紙に書き出すことをします。

モヤモヤしたらとにかく紙に書き出す

どんな言葉でもいいから、むかついたできごとや言葉、モヤモヤすることなどをとにかく紙に書き出します。 黒い言葉でも、どんなドロドロした内容でも、もうなんでも書いちゃいます。

紙に書くことで、本当はこうしてほしかったんだな、意見を認めてほしかったんだな、と自分の気持ちや考えを自分で理解するきっかけになるんですよね。そうするとモヤモヤしていた気持ちも解消できたりします。書き終わったら、全部ビリビリに破って、ぐちゃぐちゃにして、捨てちゃうまでがセットです(笑)

どんな気持ちでも自分の想いとして、大事にしてほしいと思います。

ただ、心の中に溜めててぐるぐる考えすぎるよりは、紙に書いてアウトプットとして可視化することがオススメです。自分の気持ちの整理になるのでスッキリしますよ

(取材:2024年8月)


本記事は、取材時の情報に基づき作成しています。各種名称や経歴などは現在と異なる場合があります。時間の経過による変化があることをご了承ください。

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