生理前の不安感とストレス、漢方は効果ある?【お悩み相談室】

生理・PMS
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今回は、30代に入ってから生理前の不調が本格化し、気持ちの落ち込みや不安感が強くなり、仕事に影響が出ているというご相談です。市販薬を試しても効果を感じられず、ストレスが悪化する悪循環に悩んでいるとのこと。

ご質問にあった漢方の効果や、気分を安定させる方法について薬剤師がアドバイスします。

私は、30歳過ぎたごろから、本格的な生理前の不調に悩んでいます。以前は悩むほどではなかったのですが、最近は仕事にも影響するぐらい、気持ちの落ち込みや、不安感などが強くなることが多くあり困っています。やはり、仕事に影響してしまうと周りに、迷惑が掛かってしまうので、よりストレスを感じて症状が悪化してしまいました。ドラックストアなどで販売されている、月経前に飲むような薬などを飲んで、調子を落ち着かせようとしたのですが、個人的にはあまり効果は感じられないため、どのようにしたら良いのか、知りたいなと感じています。後、漢方などを服用しても効果があるのかどうか、個人的には気になるようなところが少なからずあるため教えていただけたら幸いです。

(30代、女性、ハンドルネーム:なな、職種:製造・工場)


最初に

「生理前になると気分が落ち込む」「不安感が強くなって仕事に集中できない」――30代に入ってから、PMS(月経前症候群)がつらくなってきたという声はよく聞かれます。特に、これまで気にならなかったのに最近になって症状が悪化したという場合、ホルモンバランスの変化やストレスの影響が考えられます

仕事や日常生活に影響が出ると「なんとかしなくちゃ」とさらに焦ってしまい、ストレスが増してしまうこともありますよね。市販薬を試してもあまり効果が感じられないと、「このままどうすればいいの?」と不安になることもあるでしょう。

そんなときにできることとして、まずは普段の生活の中で改善できることを取り入れ、それでも難しい場合には漢方薬や病院での治療も検討するとよいでしょう

PMS症状緩和のための生活習慣のポイント

まずPMSの症状を和らげるために、すぐに取り入れられる生活習慣のポイントを紹介します。

【栄養を意識して食事を整える】

ビタミンB6(まぐろ、かつお、バナナ)…ホルモンバランスを整え、気分の安定に関与

カルシウム(乳製品、小魚)…神経の興奮を抑え、イライラを軽減

 ・マグネシウム(大豆製品、ナッツ類)…神経の働きをサポートし、不安感を軽減

…だるさやめまいなど貧血症状を緩和

亜鉛…ホルモンバランスや子宮の機能を整え、肌荒れや気分の落ち込みを軽減

また、生理前は血糖値が乱れやすく、急な血糖値の変動がイライラや気分の落ち込みにつながることがあります。甘いものや白米・パンなどの精製された糖質を控えめにし、食物繊維が豊富な玄米や大豆食品を意識的に取り入れることで、血糖値の変動を穏やかにできます。

【ストレスケアを大切に】

ゆっくりお風呂に入る

 ・適度に体を動かす(ウォーキングやストレッチ)

 ・深呼吸やリラックスできる時間を意識的に作る

ストレスを感じるとホルモンバランスが崩れやすくなります。PMSを悪化させないために、自分に合ったリラックス法を見つけておくことが大切です。

お薬は体質や症状に合ったものを選ぶことが大切

相談者さんは漢方薬にも興味がおありとのことでしたが、PMSの症状は人それぞれ異なるため、改善するためには体質や症状に合った漢方薬を選ぶことが大切です。一般的に生理前の不調に対しては以下のような漢方薬がよく使用されます。

加味逍遥散(かみしょうようさん) …生理前のイライラや不安感が強い人におすすめ 

抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ) …ストレスで怒りっぽくなる、イライラが抑えられない人向け

 ・ 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう) …ストレスが原因で寝つきが悪くなる、気分が落ち込みやすい人に

漢方薬は体質に合っていれば効果を感じやすいですが、合わないものを飲んでも十分な効果が得られないことがあります。ドラッグストアで購入する場合は、薬剤師に相談しながらご自身の体質に合った漢方薬を見つけてみてくださいね。

また、生理前の不調が辛く日常生活に支障が出る場合は病院での治療も検討してみましょう。病院では以下のような薬が処方されることがあります。

低用量ピル …ホルモンの変動を抑えることでPMS症状を軽減する

抗うつ薬(SSRI) …気分の落ち込みや不安感が強い場合に有効

PMSの症状が特に重く、「感情のコントロールができない」「仕事や人間関係に大きな影響がある」といった場合は、「PMDD(月経前不快気分障害)」の可能性もありますPMDDはPMSの中でも特に精神的な症状が強く出るタイプで、病院で適切な治療を受けることで症状を軽減できることがあります。症状がお辛い場合は、病院で相談してみることが改善のための近道になるかもしれません。

最後に

PMSやPMDDの症状は生活習慣の工夫で和らぐこともありますが、それでも改善しない場合には漢方薬や病院での治療も選択肢になります。一人で悩まず、「つらい」と感じたら専門家に相談することが大切です。ご自身に合った対策を見つけ、相談者さんが少しでも楽に過ごせるように願っております。

回答者:株式会社ファミワンに所属する【薬剤師】

病院の産科病棟で勤務した経験をもとに、主に妊活~授乳期にかけての薬の飲み合わせやお子さんの予防接種についてのご相談を専門にしています。私たちの日常のそばにある薬だからこそ、正しく使っていただきたい、そんな思いで回答しております。薬について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。


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