PMSのつらい症状…病院に行かず市販薬でも対処できますか?【お悩み相談室】

今回はPMSの症状がつらくなってきていて、市販薬を飲んでも良いか悩まれている20代女性からのご相談です。婦人科受診に抵抗があり、できれば受診せずに対応したいそうです。
PMSに対しての市販薬の内服や、婦人科受診について薬剤師がお答えします。
PMSでイライラと胸の張りがあります。今までは何かをしていれば気が紛れて忘れられることもあり、イライラすることがあっても感情のコントロールをすることができていたり、胸の張りも生理が始まればよくなるから大丈夫!と割り切れていました。しかし、最近は今までのようにいかないことがあります。PMSに効果のあるお薬を飲もうか検討しているところです。もともと病院に行くことに抵抗があり、いつもお世話になるときは本当に困ったときだけ…特に婦人科にはかなり抵抗があり、婦人科検診でしか行ったことがありません。内診も怖いし、診られることに違和感を感じてしまいます。受診の時間を作ることも仕事の関係上、難しいところもあって、できれば市販薬を使いたいなと思っていますが、PMSでは市販薬を使っても良いのでしょうか?教えていただきたいです。
(20代、女性、ハンドルネーム:ホワイトティ、職種:IT・エンジニア)
最初に
こんにちは。ご相談ありがとうございます。 お話を読んで、PMSのつらさと、これまで何とかやり過ごしてきたお気持ちがとても伝わってきました。イライラや胸の張り…ただでさえ忙しい毎日、その上で感情のコントロールがうまくできない日が続くのは、本当にしんどいですよね。
「今まで我慢できていたのに、最近はうまくいかない」——それは、あなただけではありません。
PMS(月経前症候群)の症状は、20代後半から30代にかけて強くなることがあり、実際に「前は大丈夫だったのに…」と感じる女性は多いんです。(※)
ストレスや生活の変化、ホルモンバランスのゆらぎは、年齢とともに少しずつ変化していきます。それを「我慢が足りない」と思う必要なんて、まったくありませんよ。婦人科って、なぜかとても特別な場所のように感じてしまいますよね。
内診が怖い、診察自体に抵抗がある…本当に多くの女性が同じように感じています。だからこそ、「病院に行かずに市販薬でどうにかしたい」というご希望は、自然なことだと思います。もちろん、PMSの症状が軽めであれば、まずは市販薬やサプリメントでのセルフケアから始めるのは良い選択です。ホワイティさんのように「今、どうしようか」と考えている時点で、すでに自分の身体とちゃんと向き合えている証拠。大丈夫ですよ。
市販で購入できる薬とは
まず、市販で購入できるものの中には、PMSの症状をやわらげるものがあります。
たとえば「チェストベリー」というハーブをご存じでしょうか?
ヨーロッパでは昔から「女性のための植物」として使われてきたもので、ホルモンのバランスに作用して、胸の張り・気分の落ち込み・イライラなどに穏やかに働きかけてくれます。数週間〜数ヶ月続けて飲むことで、少しずつ体質に合ってくる方もいます。
また、ビタミンEの一種(γ-トコフェロールやγ-トコトリエノールなど)には、体の余分な水分を排出しやすくする働きがあり、むくみや張り感が気になる方にはおすすめです。
さらに、症状に合わせて選べる漢方薬も市販されています。
たとえば、
- イライラや気分の乱れが強いなら「加味逍遥散」
- 冷えやむくみが気になるなら「当帰芍薬散」
- 胸やお腹の張りがつらいなら「桂枝茯苓丸」など
ただ、漢方はその人の体質との相性がとても大切です。「なんとなく合わないかも」と思ったら、薬局で薬剤師に相談することをおすすめします。
それから、下腹部痛や頭痛があるときは鎮痛薬の中でも、「イブプロフェン」という成分の鎮痛薬が効果的です。生理痛やPMSに対応したタイプの市販薬も出ていますので、痛みは無理せず対処してあげてくださいね。
市販薬やサプリメントでうまく調整できることも多いですが、もし「やっぱりつらいな」「生活に支障があるな」と感じる日が続くようであれば、婦人科での治療を視野に入れてみてもいいかもしれません。PMSの治療法としては低用量ピルなどのホルモン療法が有効な場合もあります。低用量ピルは避妊だけでなく、PMSや生理の不調を整えるために処方されることも多いお薬です。
今は柔軟に対応してくれるクリニックが増えている
「婦人科」と聞くと、どうしても内診台や診察のイメージが強く、不安な気持ちになりますよね。でも、今は事前に「内診が不安です」と伝えればお腹の上からエコーをあてて診る方法などで対応してくれたり、女性医師や女性スタッフが対応してくれるクリニックも増えていますよ。
また最近は、オンライン診療で相談できるクリニックもあります。スマホでの相談だけでピルを自宅に送ってくれるところもあるので、「時間が取れない」という方にはぴったりです。「今すぐ受診」と決めなくても大丈夫です。
でも、「いざというときは相談できる場所がある」と思えるだけで、少し心が軽くなるかもしれませんね。
最後に
PMSはとても個人差のある症状で、つらさも一人ひとり違います。「気のせいかな?」「わがままって思われたら嫌だな…」と我慢してしまう方も多いのですが、あなたが感じている不調にはちゃんと理由があります。
市販薬やサプリメントでケアを始めるのも立派な一歩です。
そして、必要なときには「ちょっと相談してみようかな」と婦人科の力を借りるのも、あなた自身を守る大切な選択です。頑張りすぎず、どうか自分の心と身体にやさしくしてあげてくださいね。
<参考文献・出典>
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶月経前症候群(PMS):https://www.jsog.or.jp/citizen/5716/
回答者:株式会社ファミワンに所属する【薬剤師】
病院の産科病棟で勤務した経験をもとに、主に妊活~授乳期にかけての薬の飲み合わせやお子さんの予防接種についてのご相談を専門にしています。私たちの日常のそばにある薬だからこそ、正しく使っていただきたい、そんな思いで回答しております。薬について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
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