更年期障害で休職はできる?会社への相談方法も知りたい【お悩み相談室】

今回は、更年期障害による体調不良で仕事がつらく、休職を考えているものの、職場に相談しにくいと悩む女性からのご相談です。男性上司から「やる気がない」と叱責され、理解を得られず困っているとのこと。
更年期による休職の可能性や、職場との適切なコミュニケーション方法について、心理士がアドバイスします。
更年期障害の症状がつらく、仕事を続けられるのか不安になっています。最近、頭痛や強い倦怠感があり、出勤するだけで精一杯の日が増えました。会議の日時を勘違いすることも増えていて、慌てて会議室に飛び込むことも多く「もういい歳なのにダメな大人だなぁ」と自己嫌悪におちいります。更年期だと伝えても男性である上司は理解しようとしてくれず、「やる気がないんだ!」と一括されました…。
婦人科に相談しながらサプリや漢方を試していますが、すぐに改善するわけではないので、症状が緩和するまでしばらく休職できないものかと悩んでいます。でも、「更年期の症状で休職したい」と職場に相談するのは気が引けています。そもそも、更年期障害で休職なんてできるのでしょうか?それと、どう職場に話したらいいのか、アドバイスをいただきたいです。
(40代、女性、ハンドルネーム:働き続けたい事務員、職種:事務・オフィスワーク)
目次
最初に
つらい症状の中で毎日仕事に行き、会議にも出席し、頑張ってこられたこと、本当にお疲れさまです。頭痛や強い倦怠感、そして集中力の低下がある中で、周囲の無理解にさらされながら働き続けるのは並大抵のことではありません。あなたの「もういい歳なのにダメな大人だなぁ」という言葉からは、自分に対してとても厳しい目を向けていらっしゃる様子が伝わってきます。でも、決してあなたが「ダメな大人」なわけではありません。むしろ、自分を奮い立たせて頑張り続けている、とても強い方です。
更年期と休職について
1. 更年期症状による休職は可能ですか?
はい、更年期障害が重度で、日常生活や業務に支障をきたしている場合は、診断書をもとに休職制度を利用することが可能です。更年期障害はれっきとした医学的な疾患であり、労務不能と判断されれば、他の身体疾患と同様に病気休暇の対象になります。
婦人科で相談されているとのこと、今後の症状の経過や生活への影響について主治医と丁寧に相談し、「休職が必要」と判断された場合は、診断書を出してもらうことが第一歩です。
2. 職場への伝え方はどうすれば?
「更年期障害で休職したい」と伝えるのは、確かに勇気のいることです。特に男性上司で理解が得られにくい場合はなおさらです。
そんなときには、次のようなステップで話をしてみてはいかがでしょうか。
①「現在、体調の変化があり業務に支障が出ていること」を丁寧に説明する
②「婦人科で治療中であり、医師から一定期間の休養が望ましいと指示されている」と伝える
③「仕事に復帰する意志はあるが、今は一時的に休職の必要がある」と誠実に伝える
更年期という言葉に抵抗がある場合は、「ホルモンバランスの変化による体調不良」といった表現を用いても構いません。
また、人事部や産業医がいる場合は、直接相談することも検討してみてください。上司よりも冷静に対応してくれるケースも多く、状況を客観的に判断してもらえる可能性があります。
3. 周囲の無理解はあなたのせいではありません
「やる気がないんだ」と一括されたとのこと、それはとても心が傷つく体験だったと思います。でも、それは決してあなたの責任ではありません。更年期障害は外から見えにくい不調であり、特に男性や若い世代には想像しにくい部分があるため、社会的な理解はまだまだ十分とは言えません。
実際、NHKと昭和女子大学の周燕飛教授が実施した「更年期と仕事に関する調査2021」では、更年期症状が原因でいずれかの雇用劣化(非正規化、降格・昇進辞退、労働時間・業務量減、仕事をやめた)が起きたと感じている方の割合は、40~50代女性の15.3%でした。この数字は、更年期による影響が決して例外的な悩みではないことを示しています。(NHK実施「更年期と仕事に関する調査2021」)
つまり、あなたのように「つらい症状の中で働き方を見直す必要がある」と悩んでいる女性は少なくないということです。
4. 「休むこと」は前向きな選択です
今は、症状の改善を最優先に考える時期かもしれません。更年期症状は一時的なもので、適切な治療と休養によって必ず落ち着いてくる方が多くいます。
そして、回復後にまた新しい形で働き続けることは十分に可能です。「休職したら戻れないのでは」「周囲にどう思われるだろう」そんな不安もあると思いますが、あなたが安心して仕事に向き合える環境を整えることが、長い目で見て一番大切なことではないでしょうか。
最後に
更年期は誰にでも訪れる自然な体の変化です。そして、それによって「これまで通りにできない」と感じることは、恥ずかしいことでも、弱いことでもありません。あなたがつらい中でも真剣に悩み、必要なサポートを考えていること。それ自体が、とても強く、誠実な姿勢だと思います。
どうか自分を責めすぎず、体と心を休める選択肢を検討してみてくださいね。心から応援しています。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶更年期とは:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/menopause.html
公益社団法人 日本産婦人科学会
▶更年期障害について:https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
NHK
▶NHK実施「更年期と仕事に関する調査2021」結果概要―仕事、家計への影響と支援についてー:https://www.jil.go.jp/tokusyu/covid-19/collab/nhk-jilpt/docs/20211103-nhk-jilpt.pdf
回答者:株式会社ファミワンに所属する【臨床心理士、がん・生殖医療専門心理士】
生理・PMS・更年期・妊娠・出産・女性特有のがんなど、女性の健康課題やライフイベントに関するご相談を専門にしています。セックスレスや性交痛、パートナーとのコミュニケーションなど、性のお悩みについてもカウンセリングを担当しています。女性特有の心と身体の問題、なかなか人には話せないプライベートなお困りがあれば、是非お気軽にご質問ください。
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