50歳を過ぎてから、更年期のせいか仕事に集中できずミス連発。同僚にも迷惑かけていてつらいです【お悩み相談室】

今回は、40代後半から仕事に集中できず、ミスが増えてしまったと悩む女性からのご相談です。総務職として細かい作業や報告業務が多いものの、適切な言葉が出てこず、効率が落ちているとのこと。更年期の影響か年齢的なものか分からず、落ち込む日もあるようです。
更年期と向き合う方法について臨床心理士がアドバイスします。
最近、仕事中に集中できなくて困っています。40代前半までは忙しくても効率よく作業をこなせていたのに、最近は少しのことで気が散り、初歩的なミスも増えています。更年期の影響なのか年齢的なものなのか、頭がぼーっとして仕事が手につかなかったり、単語が思い出せなくて「歳だなぁ」と少し落ち込んでもいます。
総務の仕事なので、細かい作業や資料作成、それに付随する報告メールが多いのですが、集中力が続かないのと、適切な言葉が出てこないのとで、これまでの倍以上の時間がかかることも。周りは気を遣ってくれていますが、ひっきりなしに新たな仕事が舞い込んでくるので戦力になれておらず迷惑をかけているなと感じています。特に午後になると疲れがどっと出て、やる気も低下…。帰宅後もぐったりして、家事が手につかない日もあります。少しでも集中力を持続させるために、睡眠をしっかり取ろうと22時には寝ようとしたり、軽い運動を試していますが、あまり改善されず、つい家族にもイライラをぶつけては自己嫌悪に陥る日々です。。
(50代、女性、ハンドルネーム:ブラックコーヒー派、職種:事務・オフィスワーク)
目次
最初に
これまでスムーズにこなしていた仕事に時間がかかるようになり、集中力が続かず、ミスも増えてしまう——。
そんな変化を感じると、「私、大丈夫かな?」と不安になってしまいますよね。これまで頑張ってきたからこそ、もどかしさや落ち込みを感じるのは自然なことです。まずお伝えしたいのは、「あなたの努力は決して無駄ではない」ということ。
すでに睡眠や運動を意識されているのは素晴らしいですし、この状況を何とかしようと前向きに考えられている姿勢も、とても素敵です。
更年期による変化に落ち込まないために
更年期になぜこのような変化が起きるのか、そして少しでも集中力を保つための具体的な方法を一緒に考えていきましょう。
1. 更年期に起こる体調の変化を受け入れる
更年期は45歳〜55歳頃にかけて訪れる、ホルモンバランスの変化が大きい時期です。この時期、エストロゲンというホルモンが急激に減少することで、さまざまな体調の変化が起こります。
その影響の一つとして、以下のような症状が現れることがあります。
<集中力の低下・物忘れ>
「あれ、何をしようとしてたんだっけ?」と単語や作業の流れが思い出せなくなる。
<疲労感や倦怠感>
午後になると特に「ドッと疲れが出る」「やる気が続かない」と感じる。
<睡眠の質の低下>
しっかり寝ようとしても途中で目が覚めたり、ぐっすり眠れた感じがしない。
これらは、更年期のホルモン変化が『脳の神経伝達に影響を与えている』ために起こります。特にエストロゲンは記憶や集中力を司る「脳の司令塔」とも言われる部分と関係が深く、この減少によって「なんだか頭が働かない」と感じやすくなるのです。
2. 職場でのサポートを得るためのコミュニケーション法
「迷惑をかけたくない」と感じているのですね。その気遣い、とても素晴らしいです。
ただ、同僚の方が気を遣ってくれているのなら、思い切って「少しサポートが必要な時期かもしれない」と伝えてみるのも一つの方法です。
•「最近、午後になると少し疲れやすくて…」と軽く伝える
無理に「更年期」と言わずに、「ちょっと体調の波があって」と話してみるだけでも、周囲が理解しやすくなります。
•「○○の作業を午前中にまとめてもいい?」と相談する
仕事の進め方を工夫すれば、効率も上がり、職場の人も協力しやすくなります。
あなたが率先して周りに伝えることで、同僚や後輩も「困ったときは声をかけていいんだ」と思える安心感が生まれるかもしれません。
3.集中力が切れてるなーと思ったときのおすすめ対策
「以前のようにバリバリ仕事ができない」と感じると、つい焦ってしまうかもしれません。でも、無理をせず「今の自分に合った方法で」集中力を維持することが大切です。
① 短時間集中+こまめな休憩を取り入れる
更年期の影響で長時間の集中が難しくなることも。そこで「45分仕事→5分休憩」のサイクルを意識すると、脳がリフレッシュしやすくなります。
<おすすめの休憩例>
•休憩中に軽くストレッチをする
•デスクから少し離れて目を休める
•深呼吸をしてリラックスする
こうすることで、集中できる時間を徐々に延ばしていくことができます。
② 「午前は思考系」「午後は作業系」と仕事を分ける
午後の疲れが強く出るなら、午前中に「頭を使う仕事」(資料作成やメール文の考案など)、午後は「単純作業」(入力作業や整理)を行うようにスケジュールを調整するのもおすすめです。
最後に
「以前のようにできない」と感じると、不安になるのは当然です。でも、これは「頑張れなくなった」のではなく、「これまでと違うやり方が必要になった」という変化なのです。
そして、すでに睡眠や運動など、ご自身で工夫を始められていることは素晴らしいこと。無理をせず、「今の自分に合った方法」で、集中力を保つ工夫を試してみてくださいね。
少しずつ、自分のペースを取り戻せるよう応援しています。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶更年期とは:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/menopause.html
回答者:株式会社ファミワンに所属する【臨床心理士、がん・生殖医療専門心理士】
生理・PMS・更年期・妊娠・出産・女性特有のがんなど、女性の健康課題やライフイベントに関するご相談を専門にしています。セックスレスや性交痛、パートナーとのコミュニケーションなど、性のお悩みについてもカウンセリングを担当しています。女性特有の心と身体の問題、なかなか人には話せないプライベートなお困りがあれば、是非お気軽にご質問ください。
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