妊娠率アップのために!ビタミンDと夫の協力は?【お悩み相談室】

妊活・不妊
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今回は、妊活を始めて半年になる女性からのご相談です。葉酸を摂取しているものの、妊娠率を上げるためにビタミンDも必要なのか悩んでいるそうです。さらに、夫にも妊活に協力してもらいたいと考えており、夫ができることについても知りたいそうです。

妊活における栄養の重要性や、パートナーとの協力方法について看護師が詳しくお答えします。

妊活を始めて約半年になります。葉酸をずっと飲んでいるのですが、妊娠につなげるためにもっとできることがないかネット検索をしました。ビタミンDが着床率を上げて流産率を下げると書いているサイトがいくつかありました。ネットで調べれば調べるほど多くの情報が出てきて、どれを信じればいいのか分かりませんが、ビタミンDは葉酸のように食事だけだと足りなさそうなのでサプリを購入しようと思っています。夫にも飲んでもらったほうがいいのでしょうか?妊娠率アップのために夫にも頑張ってもらいたいなと思っていて、夫にもできることも一緒に教えていただけますか?

(30代、女性、ハンドルネーム:shiro、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

shiroさん、ご相談ありがとうございます。

ご自身での妊活を頑張っていらっしゃるのですね。

ご質問内容を拝読して、とてもよくお調べになったのだなと思いました。

今回の回答が、shiroさんのお力になれればと思います。

妊活とビタミンDの関係

葉酸に加えてビタミンDのサプリメントを取り入れることをお考えなのですね。
ビタミンDは、骨の形成に重要なビタミンとして知られておりますが、骨だけではなく筋肉や腸、免疫などの様々な細胞においても重要な栄養素です(※)。

生殖補助医療を受けている女性500人の血中ビタミンDの値と生殖補助医療の結果の関連について2019年にイギリスから発表された研究があります。

こちらの研究によると、ビタミンDが欠乏している群よりも充足している群の方がにおいて高い結果となり、流産率においても欠乏群よりも充足群の方が低いという結果が出たことからビタミンDがしっかり摂取できてることが、妊娠や出産において良い影響を与えるのではないかと言われています(※)。

日本人のビタミンD摂取目安量は9.0µg/日(※)とされていますので、まずはこれを上回るようサプリメントで摂取できると良いですね。

また、ビタミンDは脂溶性ビタミンのため過剰摂取は健康に害を与えると言われています。サプリメントでビタミンDを摂取する際には、100μg/日は超えないように用法容量を守って摂取しましょう(※)。

また、ビタミンDは紫外線を浴びることでも体内に生成される(※)ことはご存じでしょうか。最近は日焼けが気になることも多いと思うのですが、日光を浴びる習慣をつけることも手軽で良いと思います。しかし、日焼け止めの使用でビタミンDの生成量は低下してしまうので、お肌に負担のない範囲で生活に取り入れてみてくださいね

男性の妊活について

ご主人もビタミンDのサプリメントの摂取をご検討されているのですね。

不妊治療や妊活の分野で男性もビタミンDを摂取した方が良いのではないか、という研究も進められているようなのですが、まだまだ研究段階のようです。

男性もビタミンDを摂取することは、不妊治療や妊活において効果があるとは言い切れない状況ではありますので、妊活のためというよりは健康のために摂取していくと良いと思いました。

また、男性向けのサプリメントとしては、コエンザイムQ10・ビタミンC・ビタミンEなどの抗酸化作用のあるものを選んでいくのがおすすめです(※)。

その他、ご主人にもできることは生活習慣を整えることです。

喫煙や睡眠不足、乱れた食生活等の生活習慣や肥満が精子の質に大きな影響を受けることはご存じでしょうか(※)。

また、サウナが趣味の方も最近は増えているようなのですが、睾丸を温めてしまう習慣も精子の質を下げると言われています。健康的な趣味と思われがちですが、妊活・不妊治療中のサウナや長時間の入浴は避けておいた方が良いですね(※)。

最後に

基本的なことなのですが、バランスの良い食事、適度な運動、質の良い睡眠をとる、ストレスと上手に付き合うことが、性別を問わず重要です(※)。

正直あまり魅力的でない、パッとしないと感じるかもしれません。

しかし、妊娠中はつわり等で思うようにバランスの良い食事や運動ができなかったり、産後は赤ちゃんの世話で自分のことは後回しになってしまうものです。

妊娠前はご自身の身体のケアにしっかりと時間を使えるチャンスです。
ぜひこの機会にご夫婦で楽しみながら、生活習慣も整えてみてくださいね。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

厚生労働省eJIM
▶ビタミンDについて:https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c03/10.html

NCBI(米国国立生物工学情報センター)
▶ビタミンDと生殖補助医療の成果(前向きコホート研究):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31307482/
▶ビタミンDと生殖補助医療の結果(系統的レビューとメタアナリシス):https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29149263/
▶男性不妊症における食事性抗酸化サプリメントの役割:レビューhttps://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38978882/

厚生労働省
▶「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書:https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316585.pdf

一般社団法人 日本生殖医学会
▶生殖医療Q&A Q5.どんな人が不妊症になりやすいのですか?:http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa05.html
▶生殖医療Q&A Q15.男性不妊の場合の治療はどのようになるのですか?:http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa15.html

子ども家庭庁
▶男性不妊について:https://funin-fuiku.cfa.go.jp/dictionary/theme06/

公益社団法人 日本産科婦人科医会
▶不妊治療前に気をつけておくこと:https://www.jaog.or.jp/note/(1)不妊治療前に気をつけておくこと/

公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶HUMAN+ 不妊とは?:https://www.jsog.or.jp/public/human_plus_dictionary/pdf/3_2.pdf

回答者:株式会社ファミワンに所属する【看護師】

神奈川県の不妊治療専門クリニックに勤務。
妊活や不妊治療、女性特有の身体のお悩みなど、分かりやすく伝えることを大切にしています。現在不妊治療に励んでいる人だけでなく、子供を持たない選択をした人も迷っている人も、これから向き合っていく人も応援していきたいと思っています。ぜひお気軽にご相談くださいね。


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