生理前に頬や口周りに吹き出物が、なかなか治らなくてつらい【お悩み相談室】

生理・PMS
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今回は、生理前から生理中にかけて頬や口周りに吹き出物ができ、長期間治らないことで悩んでいる方からのご相談です。痛みを伴うこともあり、メイクで隠しづらい状態になっているとのこと。

生理周期によるホルモン変化と肌トラブルの関係を解説し、効果的なスキンケアや生活習慣のポイントを助産師がアドバイスします。

生理前から生理中にかけて顔に吹き出物が出来てしまうことに悩んでいます。
元々ニキビや吹き出物が出来やすい肌質だったのですが、大人になってからは生理前になると頬や口周りに根の張った吹き出物が出来るようになりました。根が張っているので異物感があり触ると痛いこともあります。何よりメイクでカバーしにくい赤さ・大きさになってしまいます。また、なかなか吹き出物が治りにくくなり、長期間残ってしまうのが悩みです。
食事や習慣から吹き出物が出来るのかと思い、脂の多い食べ物を避けたり顔面をむやみやたらに触らないように自分なりに気をつけたりしています。
生理期間中の吹き出物対策として効果的な方法があれば教えてください。

(20代、女性、ハンドルネーム: さりー、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

ご相談ありがとうございます。

生理前から生理中にかけて、お顔に吹き出物ができ、食事や習慣でご自身なりに気をつけているものの思うような改善がみられず悩んでおられるのですね。異物感や痛みがあると、どうしても気になりますし、メイクでカバーしにくい状況になると、朝メイクをされる際にも気分が沈んでしまうのではないでしょうか。

すでに、食事や習慣で気を付けておられるのは、素晴らしいと思います。ぜひこのまま続けていただきたいと思いますが、生理前の時期にどうして肌荒れが起こりやすいのか、とその理由を踏まえたセルフケアのポイントをお伝えさせていただきますね。

女性ホルモンの作用と女性の心身の関係

女性は、生理周期(月経期・排卵期・黄体期)の中でホルモンバランスが変化し、体調もその影響を少なからず受けます。

ここでいうホルモンは女性ホルモンの卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2つで、排卵や月経をコントロールするだけでなく、以下のような作用をもち、女性の心身に大きく影響しています

エストロゲンは、

・子宮内膜を増殖させて妊娠に向けての準備を進める

・女性らしい身体をつくる

・骨量を保持する

・自律神経を安定させる

・コレステロールのバランスを安定させる

・肌のハリやつやを保つ

などの働きがあります。これに対して

プロゲステロンは

 ・妊娠成立に向けて子宮の働きを調節する

 ・乳腺の発達を促す(胸の張りや張りに伴う痛み)

 ・体温を挙げる

 ・体内に水分を保持する(むくみやすい)

 ・食欲を増進させる

 ・眠くなる

 ・イライラしたり落ち込みやすいなど、気分を不安定にさせる

などがあります。

さりーさんが悩まれている吹き出物がでる排卵後から生理前の時期というのは、このプロゲステロンの分泌が増える時期で、代謝が低下し、臓器や排泄の機能、血行にも影響します。

プロゲステロンの作用として、皮脂の分泌が増え、お肌もオイリーになりがちですが、エストロゲンが減少する時期でもあり、お肌の潤いが不足しやすく、硬くなった角質が毛穴に詰まったところに皮脂が過剰に分泌されることでアクネ菌が増殖し、ニキビや吹き出物ができてしまい、お肌のトラブルが起こりやすい時期といえます。

また、血行不良や自律神経の乱れから、お肌のバリア機能も低下し、ターンオーバーが滞り、古い角質や汚れが蓄積しやすく、お肌のくすみにつながる場合もあります。

生理前、生理中の肌トラブルにできること7選

この時期のお肌はとてもデリケートなので、『普段よりも優しく丁寧』なスキンケアと、ご自分への労わりがポイントです

①やさしく

皮脂の分泌が多いと、洗浄力の強いものを選んだり、ゴシゴシとこするように洗顔しがちですが、お肌がデリケートな時期なので、お肌の表面が動かないくらいのやさしい力で行い、すすぎ残りがないようにしっかりと洗い流してください。

②しっかり保湿

お肌のうるおいが不足しがちな時期です。洗顔後はすぐに保水・保湿をしてあげましょう。お肌がオイリーがちだと保湿を避けたくなりますが、乾燥すると、お肌はよけいに皮脂を分泌し、潤いを維持しようと働きます。過剰な皮脂の分泌を避けるためには、しっかりと保湿をすることも大切です。

③余分な皮脂は取り除く

肌のべたつきが気になる時は、あぶら取り紙などをお肌にやさしく押し当て、オフしましょう。

④お肌の表面からだけでなく、身体の内側からもケア

身体の代謝や臓器の機能も低下している時期です。消化しやすく、ビタミンやミネラルなど栄養バランスの取れた食事を心がけましょう。栄養バランスを考えて、と言われると、品数を多くしなければ…と思うかもしれませんが、お野菜や海藻、お豆腐などを入れた具だくさんのお味噌汁やスープは代謝が落ちた身体を温めてくれるので、お勧めです。

ただし、ビタミンは水や熱に弱いものもあるので、旬の果物をとるのも良いでしょう。

⑤ホッとする時間を大切に

気分にも波が起こりやすいこの時期は、気にしないことに注力するよりも、ご自分が「ホッ」とでき、ゆったりと過ごせる時間を作る方が効果的です。

好きな音楽を聴きながら…、好きな香りを嗅ぎながら…軽いストレッチをしたり、マッサージをしながらご自分をハグしてあげたり、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かったり…頑張っているご自分を労わり、愛してあげる時間をとってみましょう

⑥良質な睡眠

睡眠の質もお肌の状態へ影響します。身体が疲れやすいこの時期には、普段よりもしっかりと6時間以上休むことをお勧めします。そして、睡眠の質をあげるために、睡眠の1~2時間はテレビ、スマホ、パソコンなどの使用を控え、視覚からの刺激を避けましょう。

また、関係ないように思うかもしれませんが、朝起きて朝日を浴びることは、体内時計がリセットされ、日中の活動時間と夜の睡眠のサイクルが整いやすくなります。そして、朝日を浴びることで、『幸せホルモン』と呼ばれるセロトニンが分泌され、夜になると、このセロトニンが『睡眠ホルモン』と呼ばれるメラトニンに変換され、深い眠りを誘い、睡眠の質を向上させます

横になっている時間は変わらなくても、質が変わると、疲れのとれ具合や朝起きた時の心身のスッキリ感も変わります。

⑦医療の力を借りるという選択も

実はニキビや吹き出物は尋常性挫創(じんじょうせいざそう)という病名で医学的には呼ばれます。セルフケアでは改善が難しい場合は、皮膚科・美容皮膚科という専門家の力を借りるのも1つの選択肢です。ビタミン剤や抗生物質、漢方薬など、さりーさんの状態を確認した上で、その時に必要な処方がされると思います。

さりーさんが悩まれている頬や口回り、いわゆるフェイスラインは、お顔の中でも皮脂腺が多く存在するため、皮脂詰まりを起こしやすく、また、心身のストレスの影響も受けやすい部位と言われています。

そのため、ご自分にあまり負担をかけない、心地よく過ごすことが、ホルモンバランスやお肌の調子を整える上で大切になります。これらのセルフケアの中で、ご負担のない範囲でやってみようかな、と思うものを取り組んでいただければと思います。

最後に

日々、お悩みをもちながらも頑張っているさりーさん自身をご自分で『よく頑張っているね』と褒めてあげてくださいね。

今回の回答が、少しでもお悩みの改善につながることを願っています。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

厚生労働省「働く女性の心とからだの応援サイト」
▶女性ホルモンとライフステージ:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/lifestage.html

女性の健康増進「ヘルスケアラボ(厚生労働省事業)」
▶女性のライフステージと健康の特徴:https://w-health.jp/introduction/lifestage/

回答者:株式会社ファミワンに所属する【助産師】

小児科・産婦人科・泌尿器科での勤務経験から、生理やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、頻尿や尿漏れ、臓器脱など、その症状がご自分では問題があるものなのか判断し難い、また人に相談しにくいお悩みについて、あなたがどんなことで悩まれ、どうなりたいのかをしっかりとお聞きして、一緒に考えていきます。とても痛い、しんどい、とまでいかなくても、毎月もしくは毎日の『気になる』を緩和する方法を見つけ出せたらと思います。過去に生理やナプキンに関する調査研究をしており、皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


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