産後に長男の行動が激化。下の子への暴力対策は?【お悩み相談室】

今回は、3歳の長男が次男に暴力を振るうようになり、どのように対応すべきか悩んでいるというご相談です。産後から長男の情緒が不安定になり、ストレスを感じているとのこと。スキンシップを増やす努力をしているものの、次男への攻撃が続き困っているようです。
兄弟関係を良好にしつつ、長男の気持ちを落ち着かせる方法について臨床心理士がアドバイスします。
3歳の長男と生後8ヶ月の次男がいます。産後から長男の落ち着きがなくなり、突然叫んだりするようになりました。ストレスが溜まっているのだろうなと思い、できるだけ長男を優先しようと思い積極的にスキンシップを取るようにしているのですが、最近になり次男に暴力を振るうようになってきました。つかまり立ちしている次男にパンチやキックをして倒したり、四つん這い中に乗っかったりなど…。優しく怒っても厳しく怒っても繰り返します。長男のストレスを解消できるよう努めるのが大事なんでしょうけど、次男も行動範囲が広がり目が離せず、なかなか長男との時間を確保するのも難しくなってきました。次男への暴力をやめさせるために、私はなにができるでしょうか?
(30代、女性、ハンドルネーム:さくら、職種:医療・介護・福祉)
目次
最初に
ご相談内容を拝見し、さくらさんはきっと毎日疲労困憊だろうと思いました。3歳と8ヶ月のお子さんを育てながら、毎日この問題が解決するようにたくさんのことを試し、向き合い続けているあなたに、心から「本当に頑張っていますね」「偉いよ」と伝えたいです。
2人の子育て。それは言葉にできないほどのエネルギーと愛情を注がなければならない、とても大変な営みです。日々の忙しさに飲み込まれそうになりながらも、こうして”子どもたちにとって良い関わり方を探そう”としているあなたは、すでに素晴らしいお母さんです。
弟が生まれるという大きな環境変化は、上の子にとって計り知れないストレス
1. 産後に長男くんの行動が変わったのは自然なこと
弟が生まれるという大きな環境変化は、3歳の長男くんにとって計り知れないストレスです。
これまで”ママを独占できた世界”が、突然大きく変わったのです。言葉ではうまく表現できない分、叫ぶ、暴れる、弟に手を出すなどの行動で感情を発散しようとするのは、実はとても自然な反応なのです。
「甘えたい」「でもママは忙しい」「どうしていいかわからない」——その葛藤が、暴力という形で表に出てしまっているのでしょう。
2. 暴力を止めるためにできる具体的なこと
(1) 暴力は”ダメ”とシンプルに伝える
– 叩いた、蹴った時には、すぐに「叩くのはダメだよ」と短く、静かな声で伝えましょう。- 説教は長くせず、ルールを一貫して示すことが大切です。
(2) すぐに行動で止める
– 次男くんへの暴力を見かけたら、すぐに間に入り、長男くんを物理的に止めます。- 大きな声で「やめなさい!」より、そばで静かに「抱きとめて止める」ほうが効果的です。
(3) 暴力以外の関わり方を教える
– 「なでなでしてあげようか」「優しくタッチしようね」と、してほしい行動を具体的に伝えましょう。- 実際に一緒に赤ちゃんをなでて、”優しくする”体験を積み重ねることも有効です。
(4) 1日5分だけ、長男くんだけの時間を作る
– たった5分でも、「ママは自分を見てくれている」と感じるだけで、長男くんの心はぐっと安定します。
– 内容は何でもOK。膝に乗せて絵本を読む、抱っこして「大好きだよ」とささやく。それだけで十分です。
3. あなた自身を守ることも、最優先事項です
次男くんの安全、長男くんの心のケア——両方を一生懸命守ろうとするあなたは、もう十分すぎるほど頑張っています。でも、あなたの心と体が壊れてしまったら、子どもたちにとっても一番悲しいことになってしまいます。
どうか、自分の休息も”育児の一部”だと思ってください。
– 家族や一時保育、ファミサポに頼ってOK
– 完璧な対応ができなくても、自分を責めない
– 「疲れた」「無理だ」と思ったら、立ち止まっていいし、弱音はたくさん吐いていい
あなた自身が笑顔でいられる時間が、ちょっとでも増えたら良いなと思っています。
最後に
長男くんが次男くんに手を出す姿を見ると、心が痛みますよね。でもそれは、あなたが「ふたりとも同じくらい大切にしたい」と強く願っている証拠です。
今はうまくいかない日があっても大丈夫。少しずつ、少しずつ、家族みんなのペースで関係は育っていきます。子どもは時間とともにすさまじいスピードで成長します。今の幼い子どもたちの姿と向き合えるのは、今だけです。
1年後、あなたが今を振り返った時に「そんなこともあったな」と思えていますように。
専門家がこたえます!お悩み募集中です
「知ってハレばれ お悩み相談室」にお悩みをお寄せください。
毎月ピックアップさせていただいたお悩みとその回答を、「知ってハレばれ お悩み相談室」の記事で公開いたします。下記のフォームからお悩みをお寄せください(匿名でお寄せいただけます)。