夫へのストレスで更年期症状が悪化している気がします…夫婦関係改善の方法とは?【お悩み相談室】

更年期
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今回は、夫と一緒にいる時間がしんどく、頭痛までしてしまうと悩む50代の女性からのご相談です。家事への不満や束縛を感じることが多く、お子さんがご実家を出られてからの夫婦2人生活が不安とのことです。

更年期症状の緩和や、夫婦関係を円満にする方法について心理士がアドバイスします。

夫と一緒にいる時間をしんどく感じてしまいます。平日の夕方、夫が帰宅する時間が近づくと気分が落ち着かず、頭痛がしてくるようになりました。夫は、買い物に行くと荷物を持ってくれますが、家ではお願いしてもまったく家事をしません家事は私がすればいいと諦めていますが、せめて「ありがとう」は言って欲しいと思っています
ひとりになりたくて外出しようとすると「だれと?どこに?なんで出かける必要があるの?」と夫に細かく聞かれ、嘘をつくこともできず外出を諦めることが多いです。ネットで調べてみると「夫源病」という言葉が出てきて、読んでみると自分に当てはまる気がしました。夫にやいやい言われるのが嫌で、自分の意見をしっかりと伝えられていない自分にも問題があるとは思っています。来年には子どもが離れて暮らすので、夫と2人の生活になります。夫と穏やかに過ごせるようになれば頭痛も改善するのではないかと思っています。私たちのような夫婦関係を良くするには、どうすればいいでしょうか?

(50代、女性、ハンドルネーム:こまり、職種:主婦・主夫)


「平日の夕方が憂うつ」になるまで、あなたはよく頑張ってこられましたね

こんにちは。まずは、ここまでの道のりをよく歩んでこられましたね。心から「おつかれさまでした」とお伝えしたいです。

夫と一緒にいる時間がしんどい。夕方が近づくと、気持ちがざわざわして頭痛までしてくる。

でも、荷物を持ってくれることもある。だからといって家の中では家事をしないし、感謝の言葉もない。

そんな複雑な心境を、ずっと抱えてこられたんですね。

「私がやればいい」と家事を一手に引き受けつつ、「せめて、ありがとうのひと言くらい…」という寂しさがつのってきて、やっとの思いで“自分の時間”をつくろうとしても、「どこへ?誰と?」と問い詰められ、気力が失われてしまう。

これでは、心のエネルギーはどんどん減っていってしまいます

そして、来年には子どもが離れて暮らす予定とのこと。

「2人きりになるのが不安」と思ってしまう自分にも、また責めるような気持ちが湧いてしまっているのではないでしょうか。

でも、こんなにしんどい日々の中で、「どうにかしたい」「関係を良くしたい」と思えているあなたは、まだあきらめていないのだと感じました

目指すのは“仲良し夫婦”ではなく、“居心地のよい共存関係”

夫婦関係を見直すとなると、「仲良くならなきゃ」「わかり合わなきゃ」と力んでしまいがちです。でも、長く一緒にいる相手ほど、「お互いの違い」が大きな壁に感じられることもありますよね。

だからこそ、目指したいのは“ベタベタした理想の夫婦像”ではなく、「ちょうどいい距離感で共存する」「一緒の空間にいても息がしやすい」そんな関係です。

例えば…

・物理的にも「1人の空間」を持つ(“こもれる場所”の確保)

・予定を共有しすぎず、干渉しすぎない暮らし方を意識する

・「察して」は捨てて、「伝える」勇気を持つ

・家事は“手伝う”ではなく“参加する”という発想に切り替えてもらう

お互いの自由と安心が両立する形が“これからの夫婦関係”のヒントになるかもしれません

パートナーとの「境界線」を引きなおしてみる

専門的な視点から言えば、長年連れ添った夫婦の間に「言いたいことが言えない」「自分の感情を押し殺してしまう」という状況が続くと、心理的境界線(バウンダリー)が曖昧になっていることが多いです。

バウンダリーとは、「これは私のことで、これは相手のこと」という心の線引きのこと。

これがうまく機能していないと、自分の気持ちや時間、自由がじわじわと削られてしまうのです。

たとえば、

・「あなたに予定を報告する義務はない」

・「この時間は、私だけの静かな時間にしたい」

・「この家事は2人の課題だから、どちらがやるか話し合いたい」

といった“線の引き直し”を、少しずつ実践していくことで、夫婦関係は少しずつ整っていく可能性があります

そして、「こうしてほしい」「これは嫌だ」と丁寧に伝えることは、あなたが我慢しすぎずに生きるための、適切な“自己表現”なのです。

相手がすぐに変わることはないかもしれません。でも、“変わってほしい”と願うあなた自身が、自分の生き方を見つめ直すこと。それが、関係性を少しずつ変えていく大きな一歩になります。

最後に

これまでの長い時間、夫婦と親として、たくさんのことを背負ってこられましたね。

これからは、“あなた自身の暮らし”を少しずつ取り戻す時間です。そのために、関係性に手を入れることは、決してワガママでも、自己中心的でもありません。

むしろ、人生の後半戦を豊かに過ごすための、前向きな決断です。

あなたが、自分の心に正直になれる日が増えていくよう、心から応援しています。

<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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