常に原因を追求し、遠回りせず短期間で赤ちゃんを授かれるよう、プロフェッショナルチームが皆さまに合わせた治療を提案します【医師 黒田 浩正】

妊活・不妊
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不妊治療の専門家が技術を集結し妊娠率を高めるプロ意識をもったチーム医療を実践しています
春木レディースクリニック 副院長 黒田 浩正

黒田 浩正

春木レディースクリニック 副院長

産婦人科専門医・指導医

2007年大阪市立大学(現・大阪公立大学)医学部医学科卒業。多根総合病院兵庫県立がんセンター婦人科、大阪府済生会吹田病院産婦人科、大阪大学大学院医学系研究科市立伊丹病院産婦人科、大阪大学医学部附属病院関西ろうさい病院産婦人科医長を経て、2019年4月より「春木レディースクリニック」に勤務

病気を治した、その先の人生に寄り添いたい。生殖医療の道へ

黒田先生が産婦人科医を志したきっかけをお聞かせください

実は、大学で最初に学んでいたのはデザインでした。工学部に入学し、工業デザインや建築デザインを学んでいたのです。ものづくりが好きで、学び自体は非常に楽しく、所属していた体育会の部活動を通して、さまざまな大学やOBOGとの多種多様な交流を経験しました。そのなかで、次第に「自分の人生をかけて取り組みたい仕事は何か」と自問自答するようになりました。「人の役に立ち、心から感謝される仕事がしたい」その思いが、日増しに強くなっていったのです。

その先にあったのが、人の命と健康に貢献できる「医師」という道でした。この仕事に強い魅力を感じ、人生をかけてみたいと決意。一念発起して医学部を受験しなおし、医師になる道へ進みました。

産婦人科医を目指す直接のきっかけは、医学部生の頃に母が婦人科の病気で手術を受けたことです。手術前の説明に同席した際、私が医学生だと知った主治医の先生が、まるで講義のように詳しく、そして分かりやすく説明してくださいました。その内容が非常に興味深かったことに加え、患者と家族に真摯に向き合う先生の姿に心を打たれ、産婦人科という分野に強く惹かれました。

その後、研修医になり自分の進む科を決める時期になったとき、もともと手先の器用さを活かせる外科系に進みたいと考えていましたが、母の主治医が婦人科手術の名医であり、全国でトップクラスの手術件数を誇る先生だと知りました。医師としては何の繋がりもありませんでしたが、「この先生の手術を一度見てみたい」という思いを諦めきれず、病院のホームページから連絡を取り、見学をお願いしたのです。

一人の研修医としてお会いした私を、先生は快く受け入れてくださいました。その先生の卓越した手術と患者さんに向き合う姿勢を目の当たりにし、「手術を通して婦人科の病に苦しむ方を救いたい」という気持ちが、確固たるものになりました。

そこから、生殖医療へ進まれた経緯を教えてください

産婦人科医としてのキャリアは、婦人科腫瘍医として始まりました。がんという病を外科手術で治すことに没頭し、より迅速で、より美しく、そして何より根治を目指せる手術を追求する日々でした。大学院では、子宮頸がんや卵巣がんの研究に明け暮れ、一人でも多くの患者さんの命を救いたいと、臨床と研究に情熱を注いでいました。

婦人科のがんは、他のがんと比べて10代から30代といった若い世代の患者さんが多いのが特徴です。子宮や卵巣は、生命維持に直接関わる臓器ではありません。ですから、手術で摘出すれば命を救える可能性は高まります。しかし、「病気が治ればそれで良い」と簡単に割り切れる問題ではないこともあります。

特に、「病気の根治」と「子供を授かる未来」。この二つの間で葛藤される患者さんと日々向き合ってきました。標準治療である手術や抗がん剤治療、放射線治療は、妊娠の可能性(妊よう性)を失わせることがあります。そのため、妊娠の可能性を残すために、標準治療ではない選択を希望される方もいらっしゃいます。

患者さんご本人やご夫婦が下す苦渋の決断に、何度も立ち会いました。その中で、妊娠・出産が、一人の女性にとって、そしてご夫婦にとって、人生でどれほど大きな意味を持つのかを、改めて深く教えられたのです。

「手術で病気を治す」ことから始まった私の医師人生でしたが、次第に「妊娠を望む方々の支えになりたい」「お子さんを望みながらも授かれずに悩んでいる方々の力になりたい」という思いが強くなり、生殖医療の道へ進むことを決意しました。

春木レディースクリニック 受付
黒田副院長(左)と春木院長(右)

現在のクリニックの院長の春木先生とはどのような出会いだったのでしょうか

春木先生とは、それまでは面識がありませんでした。

がん治療と生殖医療とでは、求められる専門性が全く異なります。大学時代に不妊治療をしていたことはありましたが、がんの研究に没頭していた私には、生殖医療を専門とする先生方との繋がりはあまりありませんでした。そこで、私がこれまで人生の岐路で常に大切にしてきた「一流の技術を間近で見て学ぶ」という原点に立ち返ることにしました。

まず取りかかったのが、妊娠率が高く、患者さんから厚い信頼を得ている先生を探すことでした。様々な方に相談し情報を集める中で、春木篤院長の高い実績と、患者さんからの絶大な信頼を知りました。面識もなかったのですが、先生のもとで学びたいという熱意をメールでお伝えしたところ、直接お会いする機会をいただくことができたのです。

実際にお会いした春木院長のお人柄や診療哲学に触れ、「この先生から生殖医療を学びたい」という思いは確信に変わりました。私の熱意を快く受け入れてくださり、初めてお会いしてから半年後には、このクリニックで働き始めることになりました。

ここで働き始めた当初は、求められる診療レベルの高さに圧倒される毎日でした。様々な厳しい環境で経験を積んできたという自負はありましたが、改めて研修医に戻ったような気持ちで、必死に学びました。その日々があったからこそ、春木院長からの信頼を得て、生殖医療の高度な技術を習得することができたのだと確信しています。

日進月歩のこの分野では、今も、そしてこれからも学び続ける日々ですが、心から尊敬できる先生とともに「人の役に立ち、心から感謝される仕事」に打ち込めることに、大きなやりがいと感謝を感じています。

春木レディースクリニック(https://haruki-cl.com/index.html

不妊治療のプロとしてベストな治療法を提案

春木レディースクリニックの診療方針とチーム医療の特徴はありますか

当院が大切にしているのは、「基本を疎かにせず、丁寧な診療を積み重ねる」ことです。その上で、従来の方法で結果が出ない場合には、新しい知見を積極的に取り入れ、時には治療方針を大きく転換する柔軟性も持ち合わせています。この姿勢が、医師だけでなく全てのスタッフに浸透していることこそ、当院の誇る高い妊娠率と、患者さんとの信頼関係に繋がっているのだと自負しています。

私たちのチーム医療は、全てのスタッフが「その道のプロフェッショナル」である、という誇りと責任感に支えられています。医師や看護師、培養士といった専門職はもちろん、受付やアシスタント、事務スタッフに至るまで、その意識が深く根付いています。

経験豊富なスタッフ
安全を最重要視した教育システム

たとえば、受付スタッフは、医師が診療に集中できるよう、診察記録を補助したり、医師の指示に沿ってオーダーを入力したりするなど、とても多くの役割を担っています。また、診療を補助するアシスタントスタッフは、まさに「縁の下の力持ち」です。超音波検査(エコー)の準備、内診器具を渡すタイミングや角度。どうすれば診察がよりスムーズに進み、患者さまの待ち時間や内診の負担を少しでも減らせるか。そのために日々シミュレーションを重ね、技術を磨いています。

また、各部署のスムーズな連携のためには、通院される患者さまがどんな検査や治療を受けるのか、理解していなければなりません。そのために、当院では全てのスタッフが不妊治療の専門的な勉強をしています。スタッフが入職したら、生殖専門医試験レベルの院内試験を合格点がとれるまで受けています。初めて見学に来た医師が、診療補助につくスタッフは診察もできるのでは、という感想をもつほどに生殖医療や医療知識を習得しています。

医師が診療に集中できるのは、こうした各部署のプロ意識をもったスタッフの支えがあるからこそ。その高い専門性とチームワークには、日々感謝をして診療しています。そして、一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、互いをリスペクトし合うその関係性は、当院の温かな雰囲気と、質の高い医療につながっているのだと思います。

不妊治療の患者さんと向き合う上で、大切にしていることはありますか

私自身の生き方として、「常に前向きであること」を大切にしています。失敗を恐れず、たとえうまくいかないことがあっても、そこから何かプラスにつながる学びが得られたり、次のステージへの飛躍につながると信じているからです。

不妊治療の世界では「原因は分からないことが多い」と言われることがありますが、私はそうは考えていません。検査結果はもちろん、今までのうまくいかなかった妊活の経過から原因がみえてくることがありますし、治療の結果が出ない時にもまた原因を見出すヒントが浮かび上がってきます。

多くの情報に戸惑い、不安を抱えている患者さんも少なくありません。だからこそ私は、「安心して任せてください」と自信を持って患者さんと向き合える医師でありたい。治療に前向きな気持ちで臨めるよう、精神的な面でも力強く寄り添い、支えることが医師としての大切な役割だと考えています。

患者さんと接する中で、印象にのこることをお聞かせください

今のクリニックに限らず、医師になってからずっと共通しているのは、患者さんやご家族から「ありがとう」と言っていただけることが、何よりも嬉しいと感じています。その言葉を聞くと、「この仕事を続けてきて本当に良かった」と思いますし、その思いが、日々の診療において「自分に何ができるか」を考える原動力になっています。

また、当院を訪れてくださる患者さんのきっかけとして多く挙げられるのが、「知人の紹介で来ました」という声です。以前に通院されていた方からのご紹介で当院に来てくださる患者さんが多いのは、一つひとつの診療を丁寧に、誠実に患者さんと向き合ってきた私たちの姿勢や想いが、きちんと伝わっている証だと、謙虚に、そして嬉しく受け止めています。

私たちは純粋に「目の前のご夫婦に赤ちゃんを抱いてもらいたい」という一心で患者さんと向き合っています。特に春木院長は、その思いが本当に真っ直ぐな人です。私自身も、負けないくらいの強い思いをもって日々診療に取り組んでいます。

―これから妊活を始める方や不妊治療に取り組んでいる方に、メッセージをお願いします

産婦人科というと、不妊治療に限らず、少し受診のハードルが高く感じられる方がいらっしゃるかもしれません。実は、受診したからといって必ずしもすぐに内診や処置が行われるわけではありません。まずはお話を伺うところから始まります。

不妊治療クリニックを受診される方の経緯はさまざまです。既に他院で不妊治療を受けたけれども良い結果が得られなかった方や、自己流で妊活をしているけど妊娠しない「もしかして不妊かも?」と思って受診する方、これから妊活を始めるけどどう取り組んでいいのかが分からない、念のため検査だけでも受けてみようかなといった方。さまざまなきっかけの方がいますので、あまりためらうことなく、「ちょっと相談してみようかな」というくらいの気持ちで、気軽に不妊治療クリニックに足を運んでいただけたらと思います。

また、不妊治療は年齢も関係してきます。少しでも気になることがあれば、早めにご相談いただくことで、より多くの選択肢をご提案できます。

私たちは、一人でも多くの方に受診していただき、無事にお子さんを授かっていただけるよう、日々真剣に診療をしており、高い妊娠率も誇っています。このように、真剣に取り組むプロフェッショナルが集まった私たちのクリニックが、これからもその風土を長く受け継いでゆき、次世代の不妊に悩む世代、さらにはそのまた先の世代にとっても力になれる存在であり続けたい。そうした未来につながるクリニックを目指していくことも、今このクリニックで働いている私たちの使命だと考えています。

チームで未来につながる医療を目指していくことこそ私たちの役割

未来への扉を開く、探究心とリフレッシュ

黒田先生のリフレッシュ法を教えてください

心と体を整え、常に万全の状態で患者さまと向き合うために、オンとオフの切り替えを大切にしています。休日はアクティブに過ごすことが多く、夏はプール、冬はスキーと季節のスポーツを楽しんだり、思い立って旅に出かけたりします。

あえて計画を立てすぎず、偶然の出会いや発見を楽しむのが私のスタイルです。特に有名な観光地でなくても、その土地ならではの景色や食、人との触れ合いは、凝り固まった思考をリセットし、新たな視点を与えてくれます。これは、思うように治療が進まない時に、固定観念にとらわれず多角的な視点から原因を探り、その方だけの最適な治療法を見つけ出すという、日々の診療にも通じているかもしれません。

不妊治療は、時に先の見えない不安と時間との闘いになることもあります。だからこそ私たち医師は、心身ともに健康であり、どんな時も「必ず道はある」と信じて、皆さまをリードする存在でなければならないと考えています。

しっかりとリフレッシュして得たこのエネルギーと新たな活力を、当院を信じて来てくださる患者さまのために。私たちはチーム一丸となって、皆さまが赤ちゃんをその腕に抱く日まで、全力で併走していきたいと思っています。

(取材:2025年4月)


本記事は、取材時の情報に基づき作成しています。各種名称や経歴などは現在と異なる場合があります。時間の経過による変化があることをご了承ください。

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