私だけ?更年期の背中のほてりに悩んでいます【お悩み相談室】

更年期
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双子を妊娠中で「安定期がない」と聞き、不安や緊張が続いて心が疲れてしまう…そんなお悩みを抱える20代女性の方からご相談です。医療者の一言にも心が揺れてしまう日々に、どう向き合えばよいか悩んでいるとのこと。

双胎妊娠に特有の不安との向き合い方や、日々の過ごし方や心を軽くするヒントについて、助産師がお答えします。

更年期障害の影響なのか、背中が突然熱くなることが頻発してます。特に日中や就寝前に急激に背中がカーッと熱くなり、不快感で集中力も削がれます。発汗はある時とない時があり、いわゆる「ホットフラッシュ」や「ほてり」の一種かと思いますが、背中だけに症状が出るのが特徴です。ホットフラッシュは顔、頭部、胸部に滝汗が起こると思っていたんですが、私のように背中が熱くなり、汗もあまり出ない…なんてことは異常なんでしょうか?

更年期特有の自律神経の乱れや女性ホルモンの減少が原因かもしれないと考えつつも、どう対処すればいいのか分かりません。現在は、冷却シートを背中に貼ったり、通気性の良いインナーを着るなど工夫していますが、根本的な解決には至っていません。同じような症状の方がどう乗り越えているか、効果のあった対策法や食事・漢方・サプリなど、アドバイスをいただけたら嬉しいです。

(50代、女性、ハンドルネーム:もやしナムル、職種:その他)


最初に

ご相談ありがとうございます。更年期というライフサイクルにあたり、身体の変化を感じながら日々を過ごされているのですね。
更年期によくある症状だと頭ではわかっていても、実際にご自身で体験するとなんとなく書かれていることと違ったり、「何かおかしいんじゃないか」と不安になることもあるかと思います。

そして、ただ熱くなるだけじゃなくて、集中力が削がれたり、疲れていて眠たいのに、眠る前のリラックスしたい時間に起きてしまう、というのは本当に辛いことですよね。

それでも、工夫しながら日々を乗り越えているという状況だと思います。
原因がわからずにいる不安や、「同じような人っているのかな?」という孤独感も、きっとさらなる心配として重なっているのではないでしょうか

背中のほてりも更年期症状のひとつ

まず、「背中のほてり」や「背中だけのホットフラッシュ」があるという事実は、医学的にも報告されていますし、異常というわけではないことが分かっています
ただ、その感覚がいつどこで起きるか分からない不確実さや、人によって症状の出方がバラバラなところが、更年期のつらさの一つだと思います。

こういった状態を乗り越えていくためには、まず「これは更年期の身体の反応として、あり得ることなんだ」と納得するだけでも、心の余裕が少し違ってくるかもしれません
そして、「背中の熱さ」をピンポイントで和らげるための工夫だけでなく、自律神経を落ち着かせたり、ホルモンのバランスを少しずつ整えたりしていくようなアプローチも、一緒に考えていけたらいいかもしれませんね。

「どんな漢方が効いたか」「どんな食べ物がいいか」など、ほかの方の体験談を交えながら、その上で、あなたの身体に合った対処法を見つけていくことが、これからの毎日を少し楽にしてくれるかもしれません。

更年期とホットフラッシュの仕組み

まず、背中だけが熱くなる・ほてるという症状も、ホットフラッシュの一形態として報告されており、特に更年期に差しかかる女性に多く見られます

ホットフラッシュとは、エストロゲンの減少により視床下部(体温調整を司る脳の部分)が過敏になり、自律神経が誤作動することで、身体の一部に突然の血管拡張が起き、熱感や発汗が出現する現象です(※)。
これは個人差が大きく、顔や上半身に汗をかく人もいれば、あなたのように背中や腕など、体のある一部分に熱感を覚える方もいます。

発汗が伴わないホットフラッシュもありますので、背中だけの症状という点でも「異常」ではありません

自分に合った対処法を見つけるために

ただ、生活の質に影響するほどであれば、やはり対策が必要です。

今のように冷却グッズなどを使う対処は良い工夫だと思いますし、それに加えて以下のようなことが考えられます。

  • 漢方薬では、たとえば「加味逍遙散(かみしょうようさん)」や「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」などが、ほてり・不定愁訴に使われることが多いです。
    体質によって向き不向きがあるので、漢方に詳しい薬局や医療機関に相談されるといいかもしれません。
  • 食事では、イソフラボン(大豆製品)を日常的に取り入れることが、エストロゲン様作用で更年期症状の緩和に役立つ可能性があります(※)。
  • サプリメントなら、エクオール(大豆イソフラボンを代謝した成分)を含むものが更年期症状の軽減に使われています。
    ただ、効果には個人差があり、最低でも1〜2か月続けてみて様子を見ましょう
  • リラクゼーションや軽い運動(ウォーキング、ストレッチ)も、自律神経を整えるサポートになります。

また、症状の経過や生活への影響度合いによっては、ホルモン補充療法(HRT)という選択肢もあります。
ホルモン治療については、医師とよく相談して、副作用や持病との兼ね合いを見たうえで進めることになります。

最後に

一人で我慢せず、今ある辛さに蓋をすることもなく、自分をねぎらいながら、少しずつできることを積み重ねていってみてくださいね。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

厚生労働省「働く女性の心とからだ応援サイト」
▶更年期とは:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/health/menopause.html

大塚製薬「エクエル公式サイト」
▶エクオールとは:https://www.otsuka.co.jp/eql/tab/equol/about.html

<本記事の回答者>

助産師として大学病院や自治体など多様な現場で経験を積み、妊娠・出産・育児から更年期まで、女性のライフステージ全体をサポートしています。誰にも相談しづらいお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。


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