子どもをどこまで躾けてどこまで自由にするべきか迷う【お悩み相談室】

子育て
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今回は、2歳と3歳の子育てをする中で「どこまで躾けるべきか」と悩む方からのご相談です。自己肯定感を育てる子育てが推奨される一方で、昔から「三つ子の魂百まで」とも言われ、どのように向き合えばいいのか迷っているとのこと。

危険なこと以外のマナーや生活習慣はどの程度教えるべきか、育児の考え方について臨床心理士がアドバイスします。

子供の躾について悩んでいます。
現在2歳と3歳の子供がいますが、3歳までは躾は必要ないとよく耳にします。ただ「三つ子の魂百まで」という言葉があるように3歳までに身についたことは、忘れないとも言います。
そんな中で今は自己肯定感を高める育児が得に流行っていると思います。ただ、自分はそんな世代に育てられてないのに、そんな育児ができているのか不安になっています。

多様性なら別にどんな性格の子がいてもいいじゃないか。と思う時もあるのですが、自分の子が生きにくい時代だったら困るな、と思い結局どうするのがいいのかわからずにいます。

どこまでを躾けて、どこまでを自由にさせるのか常に考え、周りにも相談することがありますが、どこまで聞き入れるべきか悩みます
危険なことは躾ける。以外で普段の生活のマナーなどどこまでを躾けていくのがいいのか教えてほしいです。

(30代、女性、ハンドルネーム:bbsk818streetbal、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

2歳と3歳の育児――それは「日々がサバイバル」「親の理想は5分で崩れる」「トイレもご飯も全部途中で止まる」そんな毎日の連続だと思います。
そんな中で、「しつけは必要なの?」「でも褒めて育てるっていうし…」という迷いが生まれるのは、まさに“ちゃんと子どもと向き合っている親”だからこその悩みです。

「三つ子の魂百まで」も「3歳まではしつけ不要」も、どちらも耳にしたことのある育児の言葉。
それが今の子育てを余計に難しくしているところもありますよね。


そして最近では、「自己肯定感を育てよう」「叱らない育児」なんて言葉もたくさん聞く。
でも、自分の子ども時代にそんなこと言われて育ってないし、叱られたり、比べられたり、放っておかれたり…そんな中で生きてきた自分が、果たして“自己肯定感を高める育児”をできているのか。
そう不安になるお気持ち、よくわかります。


それでも、あなたは「我が子を大切に育てたい」と思って、悩んで、考え続けている。
ちゃんと「育てたい」と思える力があなたの中にあること。そのことを、まずは大切にしてあげて欲しいです。

「人と心地よく過ごすためのルール」だと考えて

「どこまでをしつけて、どこまでを自由にさせるのか」――この問いは、実は多くの親がぶつかっているテーマです。


ここで少し視点を変えて、「しつけ=制限すること」ではなく、「しつけ=人と暮らす上での知恵や習慣を“伝えていく”こと」と捉えてみませんか?


つまり、親が子どもに「ダメ」と伝えるとき、それは子どもを否定しているのではなく、「あなたがこの世界でスムーズに、そして心地よく生きていけるように」というサポートの一環なんです。

しつけの大前提は、「命を守ること」。
それ以外では、「人と心地よく過ごすためのルールを“すこーしずつ”伝えること」でいいのです。

例えば、食事のマナーや挨拶、お片づけなども、「きちんとしなきゃ!」ではなく、「人と関わる中で、自分や相手が気持ちよく過ごすためのスキル」として教えていくイメージです。

子どもによって発達のペースも違うし、「今はまだ無理だけど、そのうちできるかも」と思える余白を持つことも大切です。
「どうせ今はわからないから」と諦めるのでもなく、「絶対にできるように」と詰めすぎるのでもなく、“ゆるやかに繰り返す”のがちょうどいいのかもしれません。

子どもは教えた通りでなく「見た通り」に育つ

子育ては、“レース”ではありません。
3歳で人格が決まるわけでも、自己肯定感が固まるわけでもありません。
むしろ、しつけや心の土台作りは、思春期以降もゆっくり続いていくものです。

心理学の観点では、「自己肯定感は一生をかけて育まれていくもの」と考えられています。
だからこそ、親が完璧でなくても、育児のスタイルがブレても大丈夫。
時に「昨日は怒りすぎたな」と思っても、「今日少し優しくできたな」と思えれば、それもまた“育ちの力”になります。

また、子どもは“教えた通り”には育ちません。“見た通り”に育ちます

つまり、親が「ありがとう」「ごめんね」「ちょっと疲れたから休むね」と自分自身に誠実であろうとする姿を見せることが、最大のしつけであり、自己肯定感の種まきにもなるのではないでしょうか

最後に

マナーやルールを教えるのは、正直なところ、大人だって難しいこと。
でも、大人も子どもも完璧ではなく、お互いを気にかけながらゆっくり成長していけば良いのです。

周囲の声も時には参考にしながらも、最終的に「うちの子にはこれが合うかも」と判断できるのは、いつもそばで見ているあなたです。
安心してください。あなたの“迷う力”は、ちゃんと“育てる力”になっていますよ

<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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