男性の更年期障害…性格でつらさは変わる?【お悩み相談室】

今回は、異常な発汗や疲労感に悩み、「なぜ妻には症状がないのか」と戸惑う50代男性からのご相談です。性格や体質で症状に差があるのか気になっているようです。
男性更年期障害の特徴と、生活の中でできるセルフケアについて助産師がお答えします。
最近、異常な発汗や疲労感が抜けず、「これが男の更年期障害か…?」と感じることが増えました。年齢的にもホルモンバランスの変化を疑っていますが、同じ年の妻はというと、おおらかで笑顔も多く、更年期特有の不調はほとんどない様子。体質的にもふくよかでマイペースな妻と、やせ型でせっかちな私。物事が効率よくスムーズに進まないとイライラしがちな私に対して、妻はどんなことでもあっけらかんとしています。そんな自分と正反対の妻の性格に、憧れもあり、そこが好きなところでもありますが、なぜ自分ばかり更年期症状がつらいのかと思うと、つい妻に八つ当たりしてしまうこともあります(本人は軽く笑い飛ばしてくれますが)。
自分の性格や体質のせいで、男性更年期症状が重く出ているのでは?と考えるようになりました。最近は漢方やサプリ、ストレス対策に学生時代に好きだった水泳を取り入れ始めましたが、まだ改善には至っていません。性格や体質によって、症状の出方に差があるのか教えてください。
(50代、男性、ハンドルネーム:YAH、職種:営業)
最初に
YAHさん、ご相談ありがとうございます。
現在、異常と感じるほどの発汗やなかなか取れない疲労感から、更年期障害を疑っておられ、性格が正反対と思う奥様が同年代なのに全く更年期症状に悩む様子がなく、性格や体質によって症状の出方に差があるのかな、と思われているのですね。
今回は、男性更年期障害についてお伝えし、セルフケアについて理解を深めるきっかけになれば幸いです。
男性更年期はいつから?女性と異なる特徴とは
女性の更年期障害が、女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少する閉経前後の10年間ぐらいに起こり、閉経後は徐々に慣れて症状が治まるのに対し、男性の更年期障害は、一般的に中年以降、加齢とともに緩やかに男性ホルモン(テストステロン)が減少するため、40歳代以降いつでも起こり得るものです。
そして、女性が閉経後5年ほどで症状が落ち着くのに対し、男性更年期障害は終わりがない、という特徴があります。
症状では、身体症状として、発汗やほてり、疲れやすい、肥満・メタボリックシンドローム、関節痛・筋肉痛(痛みを感じやすくなる)、頻尿などが、精神症状として、イライラ、不安・パニック、うつ、不眠、興味や意欲の喪失、集中力・記憶力の低下などが、また性機能症状として、性欲低下、EDなどがあります。
このように男性ホルモンは、肉体や性機能だけでなく、認知機能や血管の健康にも関係しています。
また、この男性ホルモンの減少は、ストレスや睡眠不足などの影響を受けるため、生活習慣の改善によって、症状が緩和される可能性があります。
YAHさんはすでに漢方薬やサプリメント、そして好きだった水泳を日々の生活に取り入れられ、とても素晴らしいと思います。
漢方薬などは3~6ヶ月ほどで効果が認められる場合が多く、取り入れ始めてからそこまで経過していなければ、もう少し継続していただければと思います。
また、ストレスや睡眠の質はいかがでしょうか?
ご年齢的にもお仕事上の負担も大きいのではないかと思いますが、水泳での気分転換や、他にもご自身がリラックスできる時間を積極的にとっていただければと思います。
完璧主義な人ほどつらくなる?ストレスとの関係
ストレスが男性ホルモンの減少に影響していることから、ストレスは少ない方が良いのですが、「物事が効率よくスムーズに進まないとイライラしがち」だと、他者と関わる日々の生活やお仕事の中では、自分だけではコントロールできない部分もあり、その分イライラすることが出てくるのではないでしょうか。
効率的に進められるというのは、とても素晴らしいと思いますが、もう少し計画に余裕をもたせると、イライラまでの到達点が高くなり、ご自身も楽になるのではないかと思います。
また、どんなことでもあっけらかんとしている良いお手本の奥様が身近におられるので、物事の考え方や捉え方を聞かれると、やり過ごし方の参考になると思いますし、イライラしそうな時に奥様だったらどう対応するだろうか、と考え、マネしてみると良いかもしれません。
何かを改善する、と考えると、何かを頑張らないといけないと捉えがちですが、ストレスや疲労感の軽減には、心身を休めることもとても重要になります。
ホッと一息ついたり、軽いストレッチをする時間をお仕事の合間や帰宅後などにとってみてはいかがでしょうか?
効率を求めると一見、無駄と思えるかもしれませんが、心身の緊張を和らげリフレッシュする時間になれば、それ以降の効率も良くなると思いますよ。
最後に
今回は主にセルフケアについてお伝えしましたが、なかなか改善しない場合は、我慢せず泌尿器科にご相談ください。
ホルモン検査など必要な検査の後に、症状に応じた治療が提案されると思います。
更年期症状としてあらわれる症状やその程度は人それぞれ違いますが、YAHさんが今後の生活でうまく付き合っていけることを願っています。
<参考文献・出典>
一般社団法人 日本内分泌学会
▶男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群):https://www.j-endo.jp/modules/patient/index.php?content_id=71
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