つわりで仕事を休みがち…罪悪感で苦しいです【お悩み相談室】

妊娠・出産
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妊娠初期のつわりや体調不良がつらく、仕事を休むことに罪悪感を抱えている女性からご相談をいただきました。「甘えているだけ」と自分を責めてしまうとのことです。

妊娠初期の体調変化との向き合い方、自分を責めずに休む考え方について、助産師がアドバイスします。

妊娠7週目です。幼稚園教諭をしていますが、つわりがつらくて、今週だけで2日も休んでしまいました。吐くほどではないけれど、ずっと気持ち悪くて食事もあまり取れず、職場で風邪をもらってきてしまい、寒気や喉の痛みもあって体がついていきません。横になっていれば少し楽になるけど、仕事となると本当にしんどいです。それでも職場に迷惑をかけてしまうのが申し訳なくて、気持ちばかりが焦ってしまいます。不正出血もあり不安なのに、「甘えてるだけなんじゃないか」と自分を責めてしまって…仕事を休みたいけど職場に迷惑をかけたくない…どうしたらいいのか分かりません。アドバイスをいただけたら嬉しいです。

(20代、女性、ハンドルネーム:sana、職種:教育・保育・カルチャー)


最初に

ご相談ありがとうございます。
妊娠7週目、まだお腹の赤ちゃんの存在も実感しづらく、でも確かに体は大きく変化し始めている時期ですね。
つわりで気持ち悪くて、食事もろくに摂れず、寒気や喉の痛みも重なって、体がまったく言うことをきかない・・・そんな中で、「職場に迷惑をかけたくない」「また休んでしまった」と自分を責めてしまっているとのことで、とても辛い状況かと思います。

幼稚園教諭というお仕事は、体力も気力もたくさん使う大変なお仕事です。
妊娠初期の体が変化している時期に、その大変さが何倍にも感じられるのは無理もないことです。

ご自分の体と心がしんどいときに、それを「甘え」と思ってしまうのは、これまでずっと、自分よりも周りのことを優先してきた優しさや責任感があったからじゃないでしょうか
だからこそ今は、「自分の番」と思ってみてほしいなと思います。

妊娠は「休む練習」だと考えて

妊娠中の体や心のしんどさは、本当に人それぞれです。
「まだ初期なのに」とか「吐いてないから大丈夫」と思ってしまうかもしれませんが、自分の感じている不調は、自分にしかわからない大切な感覚です。
そこに、他人との比較は必要ありませんし、できません。
今、感じていらっしゃるつらさに、どうか蓋をしないでくださいね

そして、もし「休みたい」「しんどい」と感じるなら、無理に出勤しないという選択もしてみてください。
妊娠は、「休むという練習」が始まる時期でもあるとも思います。
これから、体も心も、どんどん赤ちゃん中心のリズムに変わっていく時期だからこそ、「休むこと」や「周りを巻き込むという練習」が必要になってくると思います。

sanaさん、きっと今まではずっと「助ける」側だったのではないでしょうか。
そして今は、「頼る」側に立ち、またいつか「助ける」側になっていけばいいと思いますよ。
筆者も含め、母になるという過程で多くの人が抱えている葛藤です。今はそんな時期だと割り切ってみてくださいね。

今は「職場に迷惑をかけない」ことより、「自分と赤ちゃんの体を守る」ことを大事にしてほしいと思います。
それだけの、大仕事をしています。そして、助けを借りる中で出会う誰かの優しさや、申し訳ないと感じた経験を、いつかまた次の誰かに繋げていけばいいと思いますよ。

つわりは体のSOS。症状を見逃さず医師に相談を

妊娠初期には、多くの方がつわりや倦怠感、感情のゆらぎなどを経験します。
現在のところ、妊娠にともなうホルモン変化(特にhCGや黄体ホルモンなど)や自律神経の影響、心理的要素などが複合的に関与していると考えられていますが、はっきりとしたつわりのメカニズムは分かっていません。

吐き気がある、食事がとれない、強い眠気が続くなどの症状は、妊娠に適応しようとする体のサインです。
吐いていないから軽いというわけではなく、つわりの感じ方には個人差があり、「つらい」と感じている時点で、すでに体は悲鳴をあげていると捉えていいと思います。

また、不正出血があるとのことですが、確かに妊娠初期によく見られることもありますが、出血の性質や量によっては切迫流産などの可能性もあるため、念のため医療機関で確認を受けることをおすすめします
寒気や喉の痛みがあるとのことなので、感染症の影響も含め、しっかり休養をとってくださいね。

「母健連絡カード」で無理のない働き方を考えよう

そして、体調や業務の両立が難しいときには、「母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)」という制度を利用することもできます(※)。
これは医師が業務軽減の必要性を記載し、勤務先に提出することで、時間短縮や休業などの配慮を受けられる仕組みです。
法的に認められている制度ですので、ぜひ活用されてみてくださいね。

最後に

妊娠は、体調も心も不安定になりやすい時期ですが「頼ること」や「自分の気持ちを大事にすること」を覚えていくことが、この先の育児にもつながっていくかと思います。
最初は難しいかと思いますが、少しずつ、自信をもって、練習してみてくださいね。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

厚生労働省「働く女性の心と体応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート」
▶つわり:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/glossary/symptom01.html
▶母健連絡カードについて:https://www.bosei-navi.mhlw.go.jp/renraku_card/

<本記事の回答者>

助産師として大学病院や自治体など多様な現場で経験を積み、妊娠・出産・育児から更年期まで、女性のライフステージ全体をサポートしています。誰にも相談しづらいお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。


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