20代からのプレ妊活。今からできる将来の妊娠準備【お悩み相談室】

妊活・不妊
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今回は、今すぐ妊娠を望んでいるわけではないけれど、将来のために今からできることを知りたいという20代女性からのご相談です。忙しい生活の中で不安を感じながらも、後悔しない準備を始めたいとのこと。

プレコンセプションケアを中心に、日常で意識したい習慣や受診の目安について、不妊カウンセラーがアドバイスします。

現在20代後半で、今すぐ妊娠を考えているわけではないのですが、年齢のことや体調の変化を感じるようになって、「将来のために何かできることはあるのかな?」と気になり始めました。
仕事も忙しくて、生活はやや不規則だし、運動もしていません。今まで妊活について真剣に考えたことがなかったのですが、SNSなどで情報を見るうちに、将来後悔しないように何か始めておきたいと思うようになりました。
でも、具体的に何から始めたらいいのか分かりません。病院に行くべきなのか、日常生活で意識すべきことがあるのか…。妊活、というほどでなくとも、今できることがあれば知りたいです。

(20代、女性、ハンドルネーム:ちいか、職種:IT・エンジニア)


最初に

ちいかさん、ご相談ありがとうございます。

将来の妊娠に向けて、後悔しないように何か始めておきたいとお考えなのですね。

日々お忙しい中でそのようにご自身の将来を考えていること、

行動につなげようとされていること、とても素晴らしいと思いました。

ちいかさんもご存じの通り、妊娠前に身体を整えていくことはとても重要です。

今回は今からできることを一緒に考えていきたいと思います。

妊活前から意識したい「プレコンセプションケア」とは

若い男女が将来のライフプランを考えながら、日々の生活や健康と向き合うことをプレコンセプションケアと言います。

今のご自身の健康をきちんと管理していくことで、将来の自分の健康につながることはもちろん、

妊娠や出産にも影響を与えるので次世代を担う子供たちの健康にもつながります。(※1)

具体的にはどのような点に気を付けていけばよいのか、項目ごとに考えていきましょう。(※2)

ライフプランを考えてみよう

まず、自分がどのような人生を送りたいのかと考えていきましょう。

結婚や出産はもちろんなのですが、ご自身のキャリアプランやチャレンジしたいこともぜひ一緒に考えていただきたいです。

仕事を続けていくとなれば、職場の制度なども賢く活用していきたいですしパートナーとの協力も必要ですよね。


ご自身のライフプランから逆算していくと、今何をしたらよいのかが具体的な時期も合わせて想像できると思います。

パートナーがいる方は、ライフプランをお二人で考えていくこともおすすめです。

適正体重をキープしよう。バランスの良い食事、運動を心がけよう。

やせすぎも太りすぎも様々な疾患の原因になることはもちろん、妊娠・出産にも影響を与えます。(※3)

身長と体重から計算するBMIという数値が、18.5以上25.0未満であることが理想です。(※4)


バランスの良い食事と運動習慣を心がけていきましょう。

妊娠前から葉酸というビタミンをしっかり摂っておくことも、
神経管閉鎖障害という赤ちゃんの障害を防ぐことに繋がります。
食事だけでなくサプリメントでも補っていきましょう。


また、週5時間以上穏やかな運動をする女性は、週1時間以下の女性に比べて妊娠率が高いという報告があります。

週に150分を目標に、妊娠前から習慣づけられると良いですね。(※5)

禁煙する。アルコールを控える。

喫煙は呼吸器疾患や悪性腫瘍などさまざまな病気の原因なるだけでなく、

男女ともに不妊の原因になります。受動喫煙も避けましょう。

アルコールは嗜む程度であれば良いですが、過度の飲酒は生活習慣病や悪性腫瘍などの疾患の原因となるだけでなく、妊娠・出生率の低下も引き起こすと言われています。


また、妊娠中の飲酒は胎児性アルコール症候群と呼ばれる、赤ちゃんの低体重や脳障害を引き起こします。

妊娠したら禁酒しましょう。(※6)

よい睡眠をとり、ストレスを溜めこまない。

質の高い睡眠は心身の健康に欠かせません。
睡眠不足はうつ病や生活習慣病の悪化につながります。


また、眠れない、眠りが浅いなどの症状には他の病気が隠れていることもあります。

睡眠の不調や心の不調がある時には、受診して専門家の力を借りることも重要です。(※7)


ストレスをためすぎると心や体の不調の原因になります。

ストレスなく生活することが理想ではありますが、現代の社会では難しいものです。

まずは自分のストレスサインを知ることから始めて、自分の心のケアができると良いですね。(※8)

感染症から自分を守る。(風疹・B型/C型肝炎・性感染症など)

ワクチン接種をしよう。(風疹・インフルエンザなど)

性感染症は不妊の原因にもなるだけでなく、母児感染(母親から赤ちゃんへの感染)を引き起こすことがあります。

予防はもちろん、早期発見、早期治療が大切です。(※9)


風疹は妊娠中にかかると先天性風疹症候群と呼ばれる、赤ちゃんの目や耳、心臓に障害を引き起こします。

風疹はワクチンでの予防が重要ですが、妊娠中の接種はできません
妊娠前に風疹の抗体検査やワクチンを済ませておきましょう。(※10)

生活習慣病をチェックしよう。(血圧・糖尿病・検尿など)

がんのチェックをしよう。(乳がん・子宮頸がんなど)

HPVワクチンを接種したか確認しよう。

健康診断やがん検診を受けて、今の身体の状態をきちんと確認しておきましょう。


特に子宮頸がんは若い女性に多いがんです。
定期的に子宮頸がん検診を受けておきましょう。

また、子宮頸がんはHPVワクチンによって防ぐことができます。
こちらも確認しておきましょう。(※11)

かかりつけの婦人科医をつくろう。持病と妊娠について知ろう。(薬の内服についてなど)

ご自身の持病や内服中のお薬が妊娠や出産に影響を与えたり、不妊の原因になることもあります。

きちんとお体や心の状態を整えてから、妊娠・出産ができることが重要なので

妊娠前の段階から主治医に相談しておくと良いですね。(※12)


また、子宮内膜症などの婦人科疾患は不妊の原因になります。

妊娠前から治療をしておくことで悪化を防げますので、生理の不調やお悩み事があれば

早めに受診し相談しましょう。(※13)

歯のケアをしよう。

妊娠中はホルモンバランスの乱れやつわりの影響で、虫歯や歯周病のリスクが上がります。(※14)

妊娠前に治療を済ませておけるように、歯科検診も受けておきましょう。

最後に

将来の妊娠に向けて、妊娠前からできるプレコンセプションケアについてご紹介しました。

お仕事がお忙しい状況だと、自分のことが疎かになりがちです。


将来の妊娠や出産のためでもあるのですが、日々頑張っている自分を労わるという意味でも

できることからセルフケアを取り入れていってくださいね。


<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

国立研究開発法人 国立成育医療研究センター
▶プレコンセプションケアセンターについて:https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/※1
▶プレコンチェックシート:https://www.ncchd.go.jp/hospital/about/section/preconception/pcc_check-list.html※2

東京都福祉局 東京都妊活課
▶妊娠のために知っておきたい知識:https://www.ninkatsuka.metro.tokyo.lg.jp/ninshin-shitteokitai/※3,10

厚生労働省「健康日本21アクション支援システム」
▶BMIチェック:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/metabolic/bmi_check※4
▶喫煙者本人の健康影響:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-02-002※6
▶女性の喫煙・受動喫煙の状況と、妊娠出産などへの影響:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-02-003※6
▶アルコールによる健康障害:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol-summaries/a-01※6
▶胎児性アルコール・スペクトラム障害:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/alcohol/a-01-015※6
▶健やかな睡眠と休養:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart-summaries/k-01※7
▶不眠症:https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-001※7

公益社団法人 日本産科婦人科医会
▶不妊治療前に気をつけておくこと:https://www.jaog.or.jp/note/不妊治療前に気をつけておくこと/※5

国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター「こころの情報サイト」
▶ストレスとセルフケア:https://kokoro.ncnp.go.jp/health_howtocare.php#02※8

厚生労働省
▶性感染症:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/seikansenshou/index.html※9
▶HPVワクチンについて知ってください:https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000901220.pdf※11

公益社団法人 日本産科婦人科学会「HUMAN+」
▶持病がありますが妊娠のリスクは?:https://humanplus.jp/持病がありますが妊娠のリスクは?/※12

公益社団法人 日本産婦人科医会
▶子宮内膜症について教えてください:https://www.jaog.or.jp/qa/mature/jyosei200205/※13

日本歯科医師会
▶妊娠中の歯やお口のケア:https://www.jda.or.jp/park/prevent/ninsinji.html※14

<本記事の回答者>

小澤彩加

看護師/不妊カウンセラー

所属:株式会社ファミワン

神奈川県の不妊治療専門クリニックに勤務。妊活や不妊治療、女性特有の身体のお悩みなど、分かりやすく伝えることを大切にしています。現在不妊治療に励んでいる人だけでなく、子供を持たない選択をした人も迷っている人も、これから向き合っていく人も応援していきたいと思っています。ぜひお気軽にご相談くださいね。


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