更年期で暑い寒いを繰り返す体温変化…職場で理解されなくてつらい【お悩み相談室】

更年期
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今回は、更年期による体温変化に悩む40代女性からのご相談です。暑くて冷房を強めても、同時に足元が冷えてしまい仕事にも支障が出ているとのこと。男性の多い職場で理解も得られず、孤独感や焦りを抱えているようです。

更年期に起こる体温調整の乱れや、その仕組み、日常でできる工夫、治療の選択肢について助産師がお伝えします。

更年期によるものかと思うのですが、体温の変化が激しく、暑くなったり寒くなったりを繰り返してとてもつらいです。特に仕事に支障が出ています。職場が暑くて5月だというのに冷房を20度に設定してしまいます。でも足が冷たくて床暖を入れてしまい…私の職場は男社会なので、更年期と説明しても分かってもらえず、早く受診してくるように言われるばかり…。自分でもおかしいことは分かっているのですが、そのうちすぐ治るだろうと思っていて、他に少しでも楽になる方法があれば知りたいと思っています。

同じような体験をされた方がいらっしゃいましたら、効果があった対策や工夫など教えていただけないでしょうか。このままだと仕事を辞めないといけなくなるかもしれません…

(40代、女性、ハンドルネーム:アース、職種:事務・オフィスワーク)


最初に

更年期に差しかかり、体温の変化がとても激しく、暑さと寒さを繰り返すつらさに悩まされているのですね。

職場では5月に冷房を20度に設定してしまうほど暑さを感じつつ、同時に床暖を入れる必要もあるとのこと。
周囲は男性が多い職場ということで、理解もされることなく、孤独な思いをされているのではないでしょうか。

今では仕事に支障が出るほどつらく、「このままでは辞めるしかないかもしれない」と切羽詰まったお気持ちでご相談くださったのだと思います。

お体のつらさに加え、理解が得られない孤独感も重なって、本当にしんどい状況とお察しします。

「暑い・寒い」に振り回されない工夫のヒント

同じように更年期症状に悩む方の中には、「体温の変化に自分なりの調整法を持つ」ことで、少し楽に過ごせるようになる方もいらっしゃいます。


例えば、衣服での温度調整を工夫することは意外に効果的です。
外から見て分からないようにインナーを調整したり
冷えを感じやすい足首や手首をレッグウォーマーやアームウォーマーなどを使って温める工夫を取り入れたりすると、体温の揺らぎに合わせやすくなりますよ。

また、冷房の温度設定は周囲との兼ね合いもありますから、自分の席に卓上扇風機や膝掛けなどを用意して「自分の環境をコントロールする」ことができるとよいかもしれませんね。

さらに、症状の背景には自律神経の乱れやホルモンの低下が関わっていることが多いので、体調を整える生活習慣もサポートも効果があるかもしれません。

適度な運動や深い呼吸を意識すること、眠る前にスマートフォンを控えてしっかり休息をとることなどが、体温の揺らぎを和らげる助けになることがあります。
「この症状は自分のせいではない」「工夫できることはある」と分かるだけでも少し心が軽くなるかもしれません。

そして一番大切なのは、医療のサポートを取り入れることです。
更年期の症状は一人で我慢する必要はなく、ホルモン補充療法(HRT)や漢方薬など、自分に合う方法を医師と相談して選んでいけます。

受診は決してネガティブなものではなく、「自分の生活を守るための一歩」と考えていただけたら安心につながるのではないでしょうか。

ホットフラッシュと冷えが同時に起こる理由

更年期症状の代表的なものに「ホットフラッシュ(ほてり、発汗)」と「冷え」があります。
これは卵巣機能の低下に伴って女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少するために、自律神経がうまく働かなくなることが原因とされています(※)。

そのため、同じ人の体の中で「暑い」と「寒い」が同時に起こることがあり、体温調整がうまくいかなくなることがあるのです。

医療の力を取り入れて症状をやわらげる

医学的に有効とされている治療法の一つがホルモン補充療法(HRT)です。
エストロゲンやプロゲステロンを適切に補うことで、更年期症状が和らぐことが期待できます。

ただし、乳がんや血栓症などのリスクがある方には適さないため、医師と十分に相談する必要があります。

薬が難しい場合でも、漢方薬(加味逍遙散(かみしょうようさん)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)など)が用いられることもあります。
また、サプリメントや大豆イソフラボンなども補助的に用いられることがありますが、効果には個人差があります。

生活習慣では、規則正しい睡眠、軽い有酸素運動(ウォーキングやヨガなど)、バランスの取れた食事が、自律神経を安定させる助けになるかと思います。

特に喫煙や過度の飲酒は症状を悪化させることが知られていますので控えると良いですね。

最後に

「すぐに治るだろう」と思ってやり過ごすよりも、今の時点で受診や生活の工夫を始めた方が、結果的に早く楽になるかもしれません。

どうかご自身を責めることなく、「できることはある」と受け止めながら、無理せず相談や工夫を重ねてみてください。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

公益社団法人 日本産婦人科学会
▶更年期障害について:https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/

<本記事の回答者>

助産師として大学病院や自治体など多様な現場で経験を積み、妊娠・出産・育児から更年期まで、女性のライフステージ全体をサポートしています。誰にも相談しづらいお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。


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