中学生でもピルで生理をずらせる?親が知っておくポイントを教えて【お悩み相談室】

今回は、修学旅行と生理が重なりそうで「ピルで生理をずらしたい」と話す中学3年生の娘さんについてのお悩みです。
ピルの使用経験がないお母さんは「副作用や成長期への影響が心配」「親としてどう答えたらいいのか分からない」と戸惑っているとのこと。
月経移動のためのピルの仕組みや注意点、親子でどう相談すればよいかについて、助産師がアドバイスします。
中学3年生の娘が、修学旅行と生理の時期が重なりそうだから「ピルで生理をずらしたい」と言ってきました。私自身はピルの使用経験がないので、正直ちょっとびっくりしてしまって…。
ネットで調べると「大丈夫」と書いてあるものもあれば、「副作用が心配」と書いてあるものもあり、どう判断していいか分からなくなっています。
娘が前向きに旅行を楽しみたい気持ちは応援したいし、体の負担が減るならその方がいいとも思うのですが、成長期にホルモンをいじって大丈夫なのかという不安もあります。
こういった場合、どこに相談すべきなのか、また親としてどう答えればいいのか悩んでいます。
(40代、女性、ハンドルネーム:si-chan、職種:その他)
最初に
si-chanさん ご相談ありがとうございます。
ご自身の使用経験がないピルについて、娘さんが修学旅行のため利用したいとおっしゃったことで、戸惑われつつも、親として娘さんが修学旅行を楽しめるように応援したい、というお気持ちはとても素敵だと感じました。
ただ、ピルの副作用や、成長期にホルモン剤を飲むことが身体へどのような影響を及ぼすのかが気になっておられるのですね。
今回は、月経を調整するためのピルがどのようなものかをお伝えし、si-chanさんがお子さんへどのように話をされるか考えるヒントをお届けできればと思います。
生理をずらすためのピル、どんな仕組み?
月経を早めたり、遅らせたい場合には、低用量もしくは中用量ピルを用いることが多いです。
「ピル」と聞くと、避妊のために使うイメージが強い方もいらっしゃいますが、月経痛や月経困難症を改善させるためや、月経周期を安定させるために服用される場合もあります。
ピルは、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が配合されたお薬で、低用量と中用量の違いは、お薬に含まれるエストロゲンの含有量の違いになります。
実際に、低用量と中用量のどちらをどのくらい服用するのかは、現在が月経周期のどの時期にあたるのか(月経中、排卵前、排卵後)、そして月経を早めたいのか、遅らせたいのか、によって異なります。
また、現在が月経周期のどの時期にあたるのかによっては、月経を早めたいと思っていても、遅らせることしかできない場合や、数日後に月経がくる予定で調整が間に合わない場合など、希望に沿うことが難しい場合もあります。
そのため、月経をずらしたい場合は、娘さんがご自身の月経の周期(何日間隔で来ていて、最後に月経がきた初日の日にち、次の月経予定日)を把握しておく必要があります。
こちらについては、修学旅行と重なりそう、という言葉から、把握されていそうですね。
また、月経は心身のストレスや過度なダイエットなどが原因で遅れたり、不正性器出血が起こる場合がありますので、今まで通りの日常生活を継続することも大切です。
副作用はある?よくある症状と注意点
気になっておられる副作用についてですが、低用量ピルの場合、妊娠初期と似たような症状が現れやすく、飲み始めてすぐは吐き気や嘔吐、倦怠感といった症状が現れることがあります。
これらの症状は、身体がお薬に慣れると改善されることがほとんどです。
また下痢や便秘といった消化器症状や倦怠感、むくみ、不正性器出血が起こる場合もありますが、身体がホルモンバランスの変化に慣れていないためなので、ほとんどの場合が心配ありません。
ただし、普段通りの生活が難しいほど症状がひどい場合や1週間以上続く場合は、服用を中止すべきか処方された産婦人科に問い合わせた方が良いかと思います。
そして注意すべきは肝機能への影響と血栓症です。
これらはピルの長期服用において発症することが多いため、長くても1ヶ月程度の服用となる月経移動を目的とした場合は、そこまで深刻になる可能性は低いですが、服用しても大丈夫かどうか、必ず既往疾患や家族歴など、ご本人の状態を診察で確認してもらってください。
中用量ピルの場合、ホルモンの含有量が多い分、低用量に比べ強い効果が期待できる反面、副作用も出やすく、その症状も強くでる可能性がありますが、月経移動を目的として服用するのは短期間になると思います。
低用量・中用量いずれの場合も飲み続けることがしんどい場合は、お薬の種類を変えてみることもありますので、症状は我慢せず医師に伝えてくださいね。
成長期にピルを飲んでも大丈夫?骨や発育への影響
si-chanさんが心配されている「成長期にホルモンをいじる」ことの影響についてですが、エストロゲンは骨の新陳代謝を調整する働きがあり、骨が形成される時期にはピルは使いづらいのですが、初経を迎え3周期ほど経過していれば、骨の成長は終了していると考えられ、骨形成への心配はありません。
またピルを服用した直後の生理や次の周期はホルモンバランスの変化から今までと違ってくる可能性もありますが、服用を中止していれば徐々に娘さんのホルモンバランスに戻ってくると思います。
受診したからといって、必ずしもピルを内服しないといけないわけではありませんので、もしsi-chanさんが娘さんの「修学旅行を楽しみたい」という気持ちを応援したいなら、
「一緒に産婦人科にピルについて相談しに行ってみる?
副作用も全くないってわけではないようだから、
説明を聞いて、嫌だな、と思ったらやめれば良いし。」
と訊いてみてはいかがでしょうか?
お友達が既に服用しているなど、娘さんにとってはピルは抵抗感のないものかもしれませんが、お母さんであるsi-chanさんが心配されている身体への影響も、娘さんと一緒に説明を聞かれ、納得されてから服用された方が、仮に副作用の症状が出たとしても早めに対処できるのではないかと思います。
最後に
娘さんがご自身で服用するかどうかを考えられるよう、
si-chanさんが今回お伝えした内容を元にサポートいただければ嬉しいです。
応援しています。
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