妊娠中に温泉旅行って大丈夫?注意すべきことは?【お悩み相談室】

妊娠・出産
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今回は、妊娠5ヶ月で家族との温泉旅行を控え「妊娠中に温泉に入っても大丈夫なのか」と悩む20代女性からのご相談です。
熱いお湯や露天風呂、硫黄泉など成分の強い泉質による影響を心配しつつも、せっかくの旅行に参加したい気持ちとの間で迷っているとのこと。

妊娠中の温泉浴の注意点や安全に楽しむための工夫について、助産師がアドバイスします。

妊娠5ヶ月の妊婦です。妊娠が分かる前から計画していた、家族との温泉旅行がもうすぐ控えているのですが、このまま行って大丈夫なのか不安になってきました。

露天風呂って外気が冷たいし、お湯の温度もけっこう熱かった記憶があります。また、成分の強いお湯(硫黄泉など)は妊婦にはよくないとも聞いたことがあり…。

せっかくの家族旅行なので参加したい気持ちはあるのですが、赤ちゃんに何かあったら…と考えると、行かない方がいいのかと迷っています。
妊娠中の温泉って、実際どうなんでしょうか?
行くとしたら、気をつけるべきことがあれば教えてほしいです。

(20代、女性、ハンドルネーム:プレまま、職種:主婦)


最初に

プレままさん ご相談ありがとうございます。

ずっと前から計画し楽しみにしていたご家族との温泉旅行が、妊娠されたことで温泉に浸かることがお腹の赤ちゃんに影響ないのか心配になられたのですね。
参加したい気持ちと、何かあったら…と行かないでおこうか、と判断に悩まれている様子がうかがえました。


今回は、温泉浴の妊婦さんへの影響や気を付けるポイントをお伝えし、プレままさんがご家族との旅行をどうするか考えるお手伝いができればと思います。

妊娠中に温泉に入っても大丈夫?

まず、日本の温泉に関する法令で、温泉の禁忌症に妊娠(初期と後期)が挙げられていましたが、明確な根拠がなかったため、2014年の改訂で禁忌症から妊娠は削除されました

しかし、妊娠初期と後期では、流産や出血・破水が起きやすかったり、気分不良や脳貧血を起こしやすい状況のため、安定期である中期が体調面でも負担になりにくいかと思います。

温泉の泉質については、日本の放射能泉も含めた全ての泉質において、温泉浴そのものが妊娠に悪影響を与えることは考えられず、根拠もないそうです。

しかし、妊娠前に比べお肌や嗅覚が敏感になっている場合もありますので、泉質が今のプレままさんにとって大丈夫かは確認しておかれた方が良いでしょう。

温泉で心配される感染症とその対策

また、感染を心配される方もおられますが、温泉施設や共同浴場などでは、レジオネラ症感染の報告があります

レジオネラ症はレジオネラ属菌による感染症です。
レジオネラ属菌は、河川や湖水、温泉や土壌などの自然界に生息している細菌で、汚染されたエアロゾル(細かい霧やしぶき)の吸入などによって感染し、肺炎や発熱などを発症します。
ヒトからヒトへ感染することはありません。
循環式浴槽や冷却塔水、加湿器などが代表的なエアロゾル感染源として報告されています。


上記のレジオネラ症を除いて、温泉に入浴することが、外陰・膣・子宮の感染の原因になることはないと考えられますが、不特定多数の方が利用される脱衣所やマットの共有などにより、寄生虫や毛じらみ、水虫などが感染する可能性があることは覚えておきましょう。

利用される温泉施設の衛生管理体制などを事前に確認されておくと安心かと思います。

一人で入らず家族と一緒に利用を

泉質によっては、床が滑りやすくなっていたり、露天風呂の岩など足元が悪い場合もあります。
お腹が大きくなると、身体のバランスがとりづらく、今までよりも足元が見えにくい状態です。
バランスも崩しやすく転倒しやすいため、入浴される際は、部屋風呂を利用したり、浴場へ行かれる際はご家族のどなたかと一緒に行くなど、何かあった際に助けてもらえるよう協力してもらった方が良いと思います。

妊娠中はのぼせやすい!入浴は10分程度を目安に

また熱すぎるお湯やサウナ、水風呂など急激な温度変化は血圧の急変動を起こすため身体に負担がかかるので、やめておきましょう

長湯が好きな場合も、妊娠中は血液循環量が増え、のぼせやすい状態です。
10分程度を目安にするのがおすすめです。


空腹・満腹を避け、入浴前にコップ1杯程度のお水で水分補給をしてから楽しまれると良いと思います。


温泉に限らず、旅行や長距離移動をされる際は、今までよりも時間にゆとりをもって、途中途中で休憩を入れるよう計画してくださいね。
旅行に行かれる前の健診では、旅行に行っても問題がないか確認してもらってくださいね。そして、親子手帳も忘れず持ち歩きましょう!

最後に

せっかくの家族旅行の機会に多くのことを我慢してばかりでは、もったいないですよね。
プレままさんが何を優先したいかを考えながら、ご家族で今回の旅行をどんなものにするか楽しみながら相談してくださいね。
良い気分転換になりますように。

<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています

公益社団法人 日本産婦人科医会
▶日産婦医会報 平成22年2号「妊婦と温泉」:https://www.jaog.or.jp/sep2012/JAPANESE/jigyo/TAISAKU/kaihou/H22/H22-02.htm

厚生労働省
▶レジオネラ症:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00393.html

<本記事の回答者>

谷村弥生

助産師/保健師/公認心理師

所属:株式会社ファミワン

産婦人科での様々な年齢層の方と関わっている勤務経験から、月経やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、病院受診を迷う症状、人に相談しにくいお悩みについて、あなたと一緒に考えていきます。もちろん心理的なお悩みも遠慮なくご相談ください。皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


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