妊娠中の体重増加が怖い…前向きな受け止め方が知りたい【お悩み相談室】

今回は、妊娠6か月に入り「体重の増加や体型の変化に気持ちが追いつかない」という20代女性からのご相談です。
病院では「順調」と言われても、鏡に映る太ももやお腹まわりの変化に不安が募り、「このまま戻らなかったらどうしよう」と悩んでいるとのこと。
妊娠中の体重増加の意味や、前向きに受け止める工夫、産後の見通しについて管理栄養士がアドバイスします。
現在妊娠6ヶ月、初マタです。
普段から体型に気をつけていて、食事や運動もある程度意識して生活しています。ですが、妊娠してから体重がじわじわ増えてきて、当たり前とはわかっていても、正直、毎日鏡を見るのがつらいです。
病院では「順調ですね」と言われてはいるものの、太ももやお腹まわりの変化に気持ちが追いつきません。赤ちゃんのための変化だと納得しようとしていますが、「こんなに太って大丈夫なのかな」「産んだあと戻らなかったらどうしよう」と不安でいっぱいです。
体重の変化を前向きに受け入れるには、どうすればいいんでしょうか?
(20代、女性、ハンドルネーム:ミヨ、職種:主婦)
目次
最初に
妊娠6か月を迎えられたとのこと、本当におめでとうございます。
初めての妊娠では、体や心の変化の一つ一つが大きく感じられるものですよね。
特に「体重の増加」や「体型の変化」は、多くの方が不安に思うテーマです。
病院で「順調ですね」と言われても、鏡に映る自分の姿に戸惑ったり、「戻らなかったらどうしよう」と心配になるのは、とても自然なことです。
まずは、その気持ちを抱く自分を「弱いから」ではなく、「命を育む変化に真剣に向き合っているから」と受け止めていただきたいと思います。
「太る」ではなく「赤ちゃんを育てるための体の変化」
妊娠中の体重増加は、決して「脂肪が増える=太る」という単純なものではありません。
厚生労働省の「妊産婦のための食生活指針」では、妊娠前のBMIに応じて望ましい体重増加量が示されています。
- BMI 18.5未満(やせ):12〜15kg
- BMI 18.5〜25未満(ふつう):10〜13kg
- BMI 25以上(肥満):個別対応(上限7〜10kg程度が目安)
1週間あたりの増加量としては、妊娠中期(妊娠14〜27週)で 約300〜500g が理想とされています。
つまり、あなたが今「じわじわ増えてきた」と感じているのは、まさに正常な範囲で進んでいる可能性が高いのです。
さらに、増えた体重の中身を見てみると安心しやすいです。
出産時に増加する7〜12kgの内訳はおおよそ以下の通りです。
- 赤ちゃん:約3kg
- 胎盤:約0.5kg
- 羊水:約0.5〜1kg
- 子宮の増大:約1kg
- 乳房の発達:約0.5〜1kg
- 母体の血液量・体液増加:約2kg
- 脂肪組織の蓄え(母乳のエネルギー源):約2〜4kg
こうしてみると、「太ってしまった」のではなく、「赤ちゃんを育てるための体づくり」が着実に進んでいるのだと理解できますよね。
妊娠中期に必要な栄養と摂り方の工夫
また栄養面でも、妊娠中期には「+250kcal/日」程度のエネルギー追加が推奨されており、これはおにぎり1個分ほど。
大幅に食べすぎる必要はありません。
むしろ大切なのは、質の良いたんぱく質(魚・大豆・卵・肉)、鉄や葉酸(緑黄色野菜、海藻、レバー)、カルシウム(乳製品、小魚、豆腐)をバランスよく摂ることです。
体型を気にして食事を制限しすぎてしまうと、鉄欠乏性貧血や低出生体重児のリスクにもつながるため、「増やさない」よりも「良い栄養で増やす」という意識がとても大切になります。
心が揺れる時の3つの工夫
とはいえ、数字やデータを知っても心が追いつかない日もあるでしょう。
そのときは、こんな工夫を取り入れてみてください。
「増加分の内訳」を書き出す
今日の体重増加は赤ちゃん分?血液分?と考えると前向きになれます。
「できたこと」を記録する
散歩できた、野菜を多く食べられた、甘いものを我慢できたなど、小さな成功体験を積み重ねましょう。
「心を整える習慣」を持つ
ハーブティーやアロマ、日記、信頼できる人との会話など、自分をやさしくケアする時間を持つことも、食事と同じくらい大切です。
産後の体重変化について
産後は、分娩で3〜4kgが自然に減少し、母乳育児や日常の活動でさらに少しずつ戻っていきます。
もちろん個人差はありますが、妊娠中にバランスを意識していれば、多くの方は産後半年〜1年の間に安定していきます。
ですから「今は赤ちゃんと自分の未来のために必要な体づくりをしているんだ」と前向きにとらえてみてください。
最後に
体重の増加は、赤ちゃんの健康の土台になる大切なプロセスです。
その変化を「太ることへの恐れ」だけで見てしまうと苦しくなりますが、「命を迎える準備が進んでいる証」としてとらえると、少し気持ちがやわらぐはずです。
どうか、今の自分の姿を「強さと優しさの表れ」として受け入れてあげてくださいね。
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