更年期なのに太らず痩せるのはなぜ?老け見えの原因を何とかしたい【お悩み相談室】

更年期
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今回は、更年期に入って「太るどころか、逆に痩せて老けこんで見えるようになった」という50代女性からのご相談です。
ダイエットもしていないのに頬がこけ、鎖骨が浮き出て、肌もカサついてしまう…。周りの友人はふくよかになっていくのに、自分だけ痩せていくのはなぜなのかとお悩みです。

更年期で「痩せる」背景と、女性らしさを取り戻す栄養・生活の工夫について管理栄養士がアドバイスします。

もともと少しぽっちゃり体型だったのですが、気づけば脂肪がみるみる落ちてしまいました。頬はこけて、鎖骨ラインも骨っぽくなり、肌もカサつきがちですごく老けこんで見えます。昔はあんなに痩せたかったのに、いざ脂肪がないとこんなに老けて見えるのかと、ふくよかな友人たちが羨ましいです。
周りの友人たちは更年期に入り太る一方のようです。私のように、更年期なのに痩せる原因はなんなのでしょう?
特にダイエットもしていないのに、体重が減って、女性らしさがなくなっていくのが悲しくて仕方ありません

(50代、女性、ハンドルネーム:痩せて悲しい、職種:主婦)


最初に

ご相談ありがとうございます。
更年期に入ってからの“痩せてしまう”お悩みですね。

多くの方は「更年期=太りやすい」というイメージを持たれているので、「自然に体重が落ちていく」状況は不安になりますよね
管理栄養士として、専門的な視点と寄り添いを込めて解説します。

更年期で「痩せてしまう」人もいる、その原因とは?

更年期は、女性ホルモン(特にエストロゲン)の分泌が大きく減少する時期です。

一般的には基礎代謝が落ち、脂肪がつきやすくなる方が多いのですが、中には「痩せてしまう」タイプの方もいらっしゃいます。
その背景には、いくつかの要因が考えられます。

更年期に痩せてしまう原因

  1. 筋肉量の減少

エストロゲンの低下は筋肉量の維持にも影響します。
筋肉が減ると基礎代謝も下がり、通常は“太りやすく”なるのですが、逆に「筋肉と脂肪が同時に落ちていく」ケースもあります。
とくに活動量が少なく、タンパク質摂取が不足していると、頬や鎖骨周りから痩せて見えやすくなります

  1. エストロゲン低下による脂肪分布の変化 

女性らしい丸みをつくる皮下脂肪はエストロゲンの影響を強く受けます。
そのため更年期でエストロゲンが減少すると、皮下脂肪が減りやすくなり、「ふっくら感」が失われ、顔やデコルテが痩せて見えてしまいます

  1. 栄養吸収力の低下や生活習慣 

年齢とともに胃腸の消化吸収力も落ちます
加えて「脂っこいものを控えよう」「食べすぎないように」と意識していると、知らず知らずのうちに必要なエネルギーや脂質、たんぱく質が不足し、体重減少につながることがあります

  1. 隠れた疾患の可能性 

甲状腺機能亢進症や糖尿病、消化器系の不調が背景にある場合も
とくに「急に体重が減った」「肌や髪の状態が悪い」「疲れやすい」といった症状が重なるときは、医療機関で一度チェックすることをおすすめします。

女性らしさを取り戻すための栄養アプローチ

たんぱく質をしっかり

体重1kgあたり1〜1.2gを目安に。
魚・卵・大豆製品・肉をバランスよく摂取する。

良質な脂質を恐れずに

オリーブオイル、ナッツ、アボカド、青魚に含まれる脂質は、肌の潤いとホルモンバランスにプラス。

抗酸化ビタミンを意識

ビタミンC・E、β-カロテンは、肌の老け見えや酸化ストレスを防ぎます。

カルシウム&ビタミンD

骨密度が下がりやすい時期なので、乳製品、小魚、きのこ類を意識しましょう。

更年期は「新しい体づくりの始まり」

「昔は痩せたいと思っていたのに、いざ痩せると老けて見える」

この気持ち、とてもよくわかります。


体型は数字だけでなく、見た目の印象や自己肯定感にも直結するものです。
ふくよかな友人を羨ましく感じるのは自然なことですが、「今の私に必要なのは“丸みやハリを戻すこと”なんだ」と気づけたのは、とても大切な第一歩です。

更年期は“女性としての見た目”が変わる時期でもありますが、それは「終わり」ではなく、「新しい体づくりの始まり」です。
食事や筋力トレーニングで筋肉と適度な脂肪をつけ直すことは十分可能ですし、その過程で「若々しさ」や「女性らしさ」を取り戻していけます

最後に

まとめると、

  • 更年期に痩せるのは「筋肉減少」「ホルモン低下」「栄養不足」などが関係する
  • 医学的な原因が隠れている場合もあるため、健康診断や婦人科での相談は安心につながる
  • 栄養と運動で「丸み」と「ハリ」を再構築できる

になります。

今の変化は「老けてしまった」サインではなく、「体の声に耳を傾けて」というサインとしてとらえましょう。

焦らず、少しずつ食事と生活を整えていきましょう。

<参考文献・出典>

厚生労働省
▶「日本人の食事摂取基準2025年版」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

一般社団法人 日本骨粗鬆症学会
▶日本骨粗鬆症学会ガイドライン:https://jsbmr.umin.jp/pdf/GL2015.pdf

<本記事の回答者>

山本瑠美

管理栄養士

所属:株式会社ファミワン

保育園、老人ホーム、病院での勤務経験を活かし、0歳~高齢者の食を支援しています。食事は「生きる土台」、大切さはわかっていても、乱れたり習慣を変えることが難しい場合も。まずは完璧を目指すのではなく、個人の嗜好やライフスタイルに合わせた提案を心がけています。食べることや栄養の大切さを、わかりやすく楽しくお伝えします。


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