妊活が「めんどくさい」と感じる私…中途半端な気持ちじゃダメですよね…【お悩み相談室】
今回は、妊活に気持ちが乗らず「正直めんどくさい」と感じている20代女性からのご相談です。
「努力せずに自然にできたらラッキー」という気持ちと「やっぱり何かしなきゃ」という気持ちの間で揺れているとのこと。
妊活に気が進まない時の向き合い方について心理士がアドバイスします。
あまり大きな声では言えませんが、妊活がめんどくさくて腰が重いです。
旦那を含めてブライダルチェックをしましたが大きな異常はなく、避妊を辞めてからは１年半ほど経ちました。
一般的には不妊の状態で、病院に行ってタイミングを見てもらったり人工授精から始めるのが良いとはわかっているものの、なんとなくめんどくさくて気が進みません。
せめて排卵検査薬を家で使って、陽性出てる日はタイミングを取るとかしないと、と思うのですが、面倒臭いし検査薬高すぎるという気持ちが先立ってしまいます。
周りで妊活している子は、病院に通ったり、毎月排卵検査薬も使ってタイミングを見たり、葉酸サプリ飲んだり、体温めたり色々してると聞いています。
仕事で疲れてる日もありますし、検査薬で陽性出たからって気が乗らない時はしたくないです。結局は、そこまで子供欲しいと思っていないってことなんでしょうか。
正直、努力しないでそのまま自然にできたらラッキーという感じなのですが、中途半端な気持ちでも妊娠できるでしょうか。
（20代、女性、ハンドルネーム：りんか、職種：製造・工場）
最初に
まずは、こんな繊細で複雑な気持ちを言葉にしてくれて、ありがとうございます。
「あまり大きな声では言えませんが」から始まるその文面に、私は思わずうなずきながら読みました。
妊活がめんどくさい――
そう、妊活ってこまごまとした「やった方が良い」「これをやらなきゃいけないっぽい」ことが多くて、面倒に感じてしまいますよね。
妊活がめんどくさいと感じるのはおかしくない
世の中には「妊活＝がんばるもの」「努力すれば報われる」「気合と排卵検査薬でなんとかなる」みたいな空気が流れていて、そこからはみ出した感情を持つと、「自分だけどこかズレてるのかな…」と不安になったり、罪悪感すら覚えたりすることがあります。
でもね、「面倒くさい」と思えるのは、ある意味ですごく健康的な感覚でもあるんです。
あなたは体調や仕事の疲れ、自分の生活全体をちゃんと見渡せているからこそ、その違和感に気づけている。
無理やり「やるべきだからやる」と自分を追い詰めすぎていない。
それって実は、心がバテずに済んでいる証拠でもあると思います。
それに、ここまで「何をどうすればいいか分かってる」「でも気が進まない」と整理して書ける人は、本当に真剣に考えてきた人です。
周りの妊活をしている人の様子も観察して、比べてしまって、それでも自分の気持ちをごまかさずにこうして向き合っている。
十分すぎるくらい、がんばってきたじゃないですか。
義務感から「やってもいいかな」へシフトするコツ
あなたが抱えているのは、たぶん「気が進まない自分」と「何かしなきゃと思っている自分」の間で板挟みになっている状態。
どちらの声も、ちゃんと自分の本音だと思います。
こういうときに目指したいのは、“妊活モードON！”になることではなく、「やらなきゃ」をちょっとずつ「やってもいいかな」に変えていくこと。
たとえばこんな感じ。
・排卵検査薬のストレスが強ければ、「次の周期だけ試してみる」くらいの軽さでやってみる。
・病院のハードルが高ければ、婦人科の情報だけ検索してみる、口コミを見るくらいでもOK。
・「検査薬高い…」と思ったら、今はざっくりと生理の2週間後に、お互いの気分が乗ったらタイミングを取る。
また、排卵日だからといって「その日に絶対タイミング取らなきゃ！」と思いすぎると、パートナーとの関係にも負荷がかかりがちです。
あなたが「気が乗らないときはしたくない」と思うのは、ごく自然なことですし、大事な自己防衛でもあります。
妊娠は「すごく頑張ったから授かる」ものではなく、「色んな要因が運よく合致したら起こる」もの。
だから、「努力しないで自然にできたらラッキー」ってスタンスでも、全然OKです。
その気楽さが、意外と長続きのコツかもしれません。
妊活スタイルを決めるために納得の材料集めもよし
さて、専門家として少しまじめな情報もお伝えしますね。
医学的には「1年間避妊せずに性交渉してて、妊娠しなければ不妊」とされています。
ですから、りんかさんはご自身でおっしゃっているように、医学的には不妊の状態にあります。
ブライダルチェックではご夫婦ともに問題がなかったとのことですが、それはあくまで「ブライダルチェックの検査項目でわかる範囲に異常値がなかった」ということであり、「不妊要因がどこにもない」ことの証明ではありません。
避妊せず1年過ごしたカップルの80%は妊娠しています。
ですから、りんかさんご夫婦の場合、ブライダルチェックではわからなかった“何か”が不妊要因となっている可能性があります。
もしかしたら、排卵日の予測の仕方やタイミングを取る日の認識に、勘違いがある可能性もあります。
いつかは子どもが欲しいと思われているなら、いちど不妊治療専門クリニックで診察を受け、本格的に妊活に取り組んだ方が良いかを相談してから「今はまだいいや」と決めるのが良いかもしれません。
男女ともに年齢を重ね、「そろそろ本格的に妊活してみようか」と考えたときには妊娠の可能性がかなり低くなっていた、というケースは少なくありません。
今は「気が乗らない」「面倒くさい」という気持ちが勝っていると思います。
ですから、このタイミングで受診するかどうかは、おふたりがどれくらい妊娠を強く望んでいるか、で決めて良いと思います。
妊活は生活の様々なことを変える作業でもあります。だからとても面倒です。
「その面倒くささを引き受けても良いから子どもが欲しい」と思った時に受診するのでも良いと思います。
最後に
「何となく面倒だから先延ばしにする」と、後悔することになるかもしれません。
ご自分たちの身体の状態や、今の排卵日予測が正しくできているかなど、確認してから決めて頂けたら良いな、と思いました。
＜本記事の回答者＞
「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」
著書：テキスト家族心理学（共著）/心理療法・カウンセリングにおけるスリー・ステップス・モデル─「自然回復」を中心にした対人援助の方法（共著）
講演実績：学会招致講演、企業及び自治体での講演多数
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