「何もしてないのに疲れる」慢性的な育児のだるさの原因は?【お悩み相談室】
今回は、1年ほど「何もしてないのに疲れる」と慢性的なだるさに悩む30代の女性からご相談をいただきました。食事や睡眠に気をつけても回復せず、不安が募っているそうです。
この記事では、疲労感が長引く背景や考えられる疾患、受診の目安について、助産師がアドバイスします。
4歳の子どもを育てているのですが、最近「何もしてないのに疲れる」と感じることがすごく増えてきました。スーパーで仕事をしているのですが、肉体的にハードなことはしていません。
仕事がない日も家で過ごしているだけなのに、朝から体がだるくて夕方にはぐったりしてしまいます。
特に体をたくさん動かしたわけでもないのに、どうしてこんなに疲れてしまうんだろうと心配になります。夏バテとか季節性のものではなく、ここ1年ほどずっと同じ状況です。
食事では体力をつけようとたんぱく質を多めにとったり、夜は子どもと一緒に早く寝たり、自分なりに体を大事にしているつもりですが、なかなか元気が戻りません。
この疲れはなんなのでしょうか。
(30代、女性、ハンドルネーム:むうぅ、職種:販売・サービス)
目次
最初に
むうぅさん ご相談ありがとうございます。
何もしてないのに疲れる、という状況が、ここ1年ほど続いておられる、とのこと。
体力をつけようと食事や睡眠時間にも気を付けていらっしゃるのに、なかなか元気が戻らない、というのは、気になりますよね。
今回は慢性的な倦怠感の原因と考えられるものについてお伝えし、体調回復に向けての行動につながれば幸いです。
「何もしてないのに疲れる」背景にあるもの
季節的なものではなく、疲れやすさや身体のだるさが続くことは、単なる疲労の蓄積だけでなく、生活リズムや自律神経の乱れ、睡眠の質の低下や精神的なストレス、また何らかの疾患(貧血、甲状腺機能異常、うつ病など)など様々な原因が影響して起こる可能性があります。
生活面で食事や睡眠時間の改善などを行っていても、すでに1年ほど続いている、ということですので、単なる疲労感とは捉えず、何らかの原因があるかもしれないと考えられた方が良いかもしれません。
毎日の家事や育児、お仕事によって、私たちは徐々に疲れが蓄積していきますが、休息やしっかりと睡眠を確保することで通常は体力は回復します。
しかし十分な休息がとれないまま過ごしていると、疲れが慢性的に残り、身体のだるさや眠りが浅くなる、集中できなくなる、食欲が低下するなどの症状も出現し、悪循環に陥ります。
栄養不足や生活習慣が影響していませんか?
まずは、しっかりと休息をとること、規則正しい生活、バランスのとれた食事が望ましいですが、栄養面では以下の項目も注意が必要です。
1.鉄分不足(鉄欠乏性貧血の原因に)
血液中の鉄分は酸素と結合し、全身の細胞へ酸素を運んでいます。
この鉄分が不足すると、酸素をしっかりと全身に運べなくなり、疲れやすさや脱力感、頭痛、食欲の低下など様々な症状がでる可能性があります。
女性は毎月の月経で出血が起こり、鉄分を失うため男性に比べ鉄分不足や鉄欠乏性貧血を起こしやすい傾向があります。
立ち眩みやめまい、目の前がチカチカするなどの症状があれば、貧血を疑いましょう。
2.タンパク質不足
すでにこちらは取り組まれている栄養素ですが、タンパク質は筋肉や血液、骨など様々な組織をつくるために欠かせない栄養素です。
このタンパク質が不足すると、筋肉量が減りやすくなり、それに伴って筋力も低下する可能性があります。
3.糖質不足
炭水化物(糖質)は消化吸収され、グルコースに変わり、身体の細胞が活動するためのエネルギー源となります。
食事での糖質摂取量が不足すると、エネルギー供給が追いつかず、疲れやすくなったり、集中力の低下やイライラしやすくなるなどの症状が出る場合もあります。
4.ビタミンB群の不足
ビタミンB群は、糖質・タンパク質・脂質を体内でエネルギーに変換する時に不可欠な栄養素で、ビタミンB1、B2、B6は神経や筋肉の働きをサポートし、疲労回復にも関わっています。
このビタミンB群が不足すると、体内でのエネルギー産生が滞りやすくなり、ちょっとした動作でも疲れやすくなったり、だるさを慢性的に感じるようになる場合があります。
だるさや倦怠感につながる主な疾患
栄養不足のほかにも、だるさや倦怠感の原因となる疾患があります。
ここでは主なもののみの紹介ですが、むうぅさんの年齢と1年ほど続いている状況からは何らかの疾患にかかっている可能性もあります。
1.貧血
鉄分不足の部分でも出ましたが、貧血は、血液中のヘモグロビンの量が減少し、十分な酸素を全身へ運ぶことが難しくなっている状態です。
酸素供給が十分に行われないと、だるさ、疲れやすさ、立ち眩み、息切れしやすさなどの症状が現れます。
女性の場合は、鉄分不足のほかに、月経血量が多い過多月経も原因として考えられますが、他にも胃潰瘍など消化管出血も貧血を引き起こす場合があります。
胃もたれや胃の不快感、便の出方が悪い、黒い便が出るなどの症状がないか、確認してみましょう。
2.甲状腺機能障害
甲状腺は、のどぼとけの下にある蝶のような形をしている臓器で、身体の新陳代謝や成長を促す甲状腺ホルモンを産生・分泌しています。
この甲状腺ホルモンのバランスが崩れると、甲状腺機能亢進症や低下症など甲状腺機能障害が起こり、疲れやすさ、体重変動、イライラなどの症状があらわれます。
病気を疑いにくい症状ですが、血液検査で診断が可能ですので、体重変動、強い疲れや身体のだるさが続く場合は病院を受診された方が良いでしょう。
3.糖尿病
血液中の血糖が慢性的に高い状態が続き、免疫力の低下や代謝のバランスの乱れなど様々な障害を引き起こす疾患です。
集中力の低下や意欲の減退、疲れやすさや倦怠感などを感じたりすることもあります。
最後に
このように疲れが取れない、という状況には、様々な原因が隠れている可能性があり、1年ほど続いていることを踏まえると、1度内科を受診し相談されることをお勧めします。
何らかの対策が取れ、むうぅさんの体調が回復されることを祈っております。
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