妊活3年、不妊治療2年…妊娠できない辛さと向き合うには【お悩み相談室】
 
                      今回は、妊活を始めて3年、不妊治療を続けているものの妊娠に至らないつらさに悩む30代女性からのご相談です。あの時、夫が望んだように仕事ではなく妊活をしていれば違った未来があったのではと、後悔に押しつぶされそうなご様子です。
治療や努力が報われない苦しみ、過去の選択の後悔とどう向き合えばいいのか、心理士が心の持ち方や乗り越え方についてお伝えします。
結婚して5年、妊活を始めて3年が経ちました。入籍直後から夫は子どもを欲しがっていましたが、仕事を頑張りたかったので妊活せず…仕事が落ち着き始めた3年前から妊活を始めています。中々妊娠せず、2年前から不妊クリニックに通院していますが、夫婦ともに何も問題がないと言われ、タイミング法、人工授精、体外受精とすべてトライしましたが、全然妊娠しません。ここまで妊娠しない状況が続いていてとてもつらいです。夫の気持ちを優先し、入籍直後に妊活をしておけば良かったと後悔しています…中々妊娠できないこの状況がつらいので、長年妊活を頑張られていた方々がどのようにして乗り越えられたのか教えていただきたいのと、これからも頑張っていくエールをいただけたらと思います。
(30代、女性、ハンドルネーム:餃子、職種:教育・保育・カルチャー)
目次
最初に
結婚して5年。妊活を始めて3年。不妊クリニックに通って2年――。
その数字のひとつひとつに、あなたが積み重ねてきた時間と覚悟が詰まっているように思えます。
もしかしたら、日々の生活は、周りから見れば特別なことはしていないように見えるかもしれません。
でも、あなたの中では「今日もできなかった」「また生理が来てしまった」「次はどうしよう」…そんな思いの積み重ねが、心の中で渦を巻いていたのではないでしょうか。
入籍直後に妊活しなかったことを、今になって「やっぱりあの時に始めていれば…」と後悔してしまう。
「夫の気持ちを優先してあげられなかった」と、自分を責めたくなることもあるでしょう。
でも当時のあなたは、あなたなりに、目の前の「今」と「将来」を真剣に考えて、仕事と家庭をどう両立するか悩んでいたはずです。
その選択は、あなたなりの誠実さのあらわれだったと思います。
後悔ではなく、「あのときの私もよくやってた」と、自分に声をかけてあげてほしいのです。
大切なのは「頑張ってきた自分に休息をあげる」こと
医学的に問題がないのに、なかなか妊娠しない。
この「原因が分からないつらさ」は、とても説明しづらく、誰にもわかってもらえないような孤独を感じさせるものです。
でももし、これからを考えるうえでひとつ希望を持てるとしたら、「この状況にどう向き合うか」を、自分の言葉で語れるようになることかもしれません。
あなたは、すでに数年にわたり、パートナーと共に治療を乗り越えてきました。
きっとたくさん泣いたし、たくさん期待して、たくさん裏切られてきたことでしょう。
それでも諦めずに、今も歩みを続けている。
この粘り強さと優しさは、あなたが「どれだけ誰かを大切にできる人か」を物語っています。
今のあなたに必要なのは「もっと頑張ること」ではなく、「頑張ってきた私に休息を与えること」かもしれません。
不妊治療に疲れたと感じているあなたへ
不妊治療の期間が長くなると、身体的・経済的な負担以上に、「見えない疲労感」や「生き方の迷い」が重くのしかかってきます。
そんなとき、心理士の立場からお勧めしたいポイントは次の通りです。
1. “過去の選択”に戻るのではなく、“今の選択”に目を向ける
「入籍直後に妊活していれば…」という気持ちは自然です。
けれど、「後悔のループ」にハマりすぎると、現在の努力さえ見えなくなってしまいます。
今のあなたにできる最善の選択は何かを、定期的に見直していけると良いでしょう。
2. “努力しているのに報われない”感情を言語化してみる
「自分のがんばりが結果に繋がらない」という経験は、とても深い挫折感を伴います。
それを一人で抱え込まず、信頼できるカウンセラーや仲間に共有することで、感情の渦に飲み込まれずに済むことがあります。
3. “治療以外の時間”を大切にする
妊活が長くなるほど、人生のすべてが「妊娠できるか否か」に支配されがちです。
趣味、旅、食、笑い…妊活とは関係のない喜びや刺激を持つことが、「妊活以外にも、私の人生の時間ってこんなに豊かなんだ」と思えるきっかけになります。
4. 心理的な支援を取り入れることも選択肢のひとつ
不妊治療に特化したカウンセラーや、治療中の心理支援プログラムも増えています。
「つらいけれど、私はひとりじゃない」と感じられる環境を、どうか我慢せず探してみてください。
最後に
あなたが今まで積み重ねてきた日々と、流した涙は、決して無駄ではありませんよ。
少なくとも、耐える力が培われたのではないでしょうか。
次は、耐えるのではなく、自分を休める力を育ててください。
この先の人生が、どんな形であっても、あなた自身が「納得できるもの」になりますように。
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