更年期予防はいつから?食事でできることを知りたい【お悩み相談室】
今回は、更年期の予兆を感じている40代の女性からの相談です。ご自身の母親の更年期を見ていた経験から、今から生活の中で、予防したいと考えていらっしゃるようです。
更年期の予防のために、食生活の中で気をつけたいことについて、管理栄養士がお答えします。
こんにちは。40代前半の女性です。
最近、ちょっとずつ体が疲れやすくなったり、気分が沈む日があったりして、「もしかしてこれがプレ更年期…?」と気になるようになってきました。母が更年期の時期にかなり体調を崩していて、それを近くで見ていたこともあり、「できるだけ早めに予防できることをしたい」という気持ちがあります。
特に、食習慣を見直すことで更年期の症状を軽くできるなら、今のうちに少しずつ取り入れたいと思っているのですが、ネットではサプリや特定の食材の情報ばかりで、何が本当に良いのか迷ってしまいます。
症状が出てからではなく、“更年期の予防”という点で、日常の食生活で意識するといいことや、忙しい中でも続けやすい食事の工夫があれば教えていただけるとうれしいです。どうぞよろしくお願いします。
(40代、女性、ハンドルネーム:ぷれ、職種:主婦)
目次
最初に
ご相談いただきありがとうございます。
「最近ちょっと疲れやすい」「気分が沈みがち」40代前半になると、そんな小さな変化に気づくことがあります。もしかすると、それは“プレ更年期”のサインかもしれません。
プレ更年期とは、閉経を迎える少し前から女性ホルモンの分泌がゆらぎ始め、心身に変化が現れる時期のこと。
母親世代の更年期の姿を見て「自分も同じように辛くなるのでは…」と不安を感じる方も少なくありません。
でも、実は“症状が出る前から食習慣を整えること”で、その揺らぎをやさしく乗り越える準備ができます。
今日は、日常に取り入れやすい食の工夫を、お伝えします。
女性ホルモンのゆらぎに寄り添う栄養素
更年期の症状は「エストロゲン」という女性ホルモンが減少することで起こります。
このホルモンは骨や血管、気分の安定にも深く関わっています。
だからこそ、次の栄養素を少しずつ意識して取り入れることが大切です。
- 大豆イソフラボン
豆腐、納豆、豆乳などに含まれる成分で、“植物性エストロゲン”とも呼ばれます。
女性ホルモンに似た働きを持ち、ホットフラッシュや気分の落ち込みを和らげるといわれています。
→ 朝食に豆乳スムージー、夕食に冷奴など「ちょい足し」でOK。
- カルシウム&ビタミンD
骨密度の低下を予防するにはカルシウム(牛乳、小魚、葉物野菜)と、吸収を助けるビタミンD(鮭、きのこ類)が欠かせません。
→ 週に数回、鮭の塩焼きやきのこ味噌汁を。
- 鉄分&ビタミンC
月経が続いている間は鉄不足になりやすく、疲れやすさや気分の落ち込みにも直結します。
赤身肉やあさり、ほうれん草を意識し、ビタミンCの多い野菜や果物と一緒に摂りましょう。
- オメガ3脂肪酸
青魚(サバ、イワシ)、亜麻仁油、くるみなどに含まれ、血管や脳の健康を守り、炎症を抑える働きがあります。
気分の安定にもつながる栄養素です。
忙しい日々でも続けやすい食の工夫
「大事なのはわかるけど、毎日完璧は無理…」そんな気持ちも自然です。
続けやすいコツをいくつかご紹介します。
1.作り置きで“安心の味方”を
冷蔵庫に常備菜があるだけで、心にも余裕が生まれます。例えば「ひじき煮」「大豆と野菜のトマト煮」「鮭ときのこのホイル焼き」など。
まとめて作っておくと、忙しい日でも栄養をカバーできます。
2.コンビニや外食も味方に
サラダチキン+豆乳、ツナ缶+サラダ、焼き魚定食を選ぶなど、ちょっとした工夫で“更年期ケア食”になります。
完璧を目指すより「今日は鉄分を意識しよう」「カルシウムを足そう」と、1日1テーマで十分です。
3.リラックスの時間を一緒に
食事は栄養だけでなく「心をほぐす時間」でもあります。
ハーブティーを飲む、旬の果物を味わうなど、小さな習慣が心の安定につながります。
心と体を“予防の目線”で整える
プレ更年期は「不調が始まる時期」ではなく、「未来の自分を守る準備期間」と捉えてみてください。
大切なのは、今の自分の体を責めるのではなく、「いたわる」「寄り添う」気持ちで向き合うことです。
「疲れやすいな」と思ったら、それは体からのSOS。
「少し落ち込む日があるな」と感じたら、それは心が休みを求めているサイン。
小さな変化に気づき、食で支えることは“未来の自分への投資”です。
母親世代の経験を見て不安に思う気持ちも自然ですが、あなたはその経験を活かして、よりやさしい更年期を迎える準備ができます。
最後に
- 大豆製品、魚、野菜、果物をバランスよく。
- カルシウムや鉄分を意識し、ビタミンやオメガ3と組み合わせる。
- 「完璧に」ではなく「ちょっとずつ」「できる日に」でOK。
- 食事は体を支えるだけでなく、心を休める時間でもある。
毎日の小さな選択が、未来の自分を守る力になります。
どうか無理せず、やさしく続けてくださいね。
<参考文献・出典>
厚生労働省
▶「日本人の食事摂取基準2025年版」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
公益社団法人 日本産婦人科学会
▶更年期障害について:https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/
公益財団法人 骨粗鬆症財団
▶カルシウムの摂り方:https://www.jpof.or.jp/osteoporosis/nutrition/calcium.html
農林水産省
▶大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A:https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1a.html
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