「更年期に入ってから食欲が落ちた…」私だけ?対策はある?【お悩み相談室】

更年期
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40代後半から「なんとなくお腹が空かない日が増えた」と感じている男性からの相談です。更年期の症状は食欲にも影響するのか?痩せるのは栄養がたりてないから?と不安になられているようです。

男性更年期における食欲不振への向き合い方、食事を取る際の工夫について、管理栄養士からアドバイスいたします。

こんにちは。私は現在47歳で、いわゆる更年期に差しかかっている年齢です。
ここ半年ほど、特に理由があるわけでもないのに食欲が落ちていて、自分でも少し気になっています。
仕事や家庭が忙しくて食事の時間が不規則になることはあるのですが、それとは関係なく、食べたい気持ちが湧かない日があって…。もともとよく食べるタイプだったので「どうしちゃったんだろう?」と戸惑っています。
体重が大きく減ったわけではないですが、食事量が減って栄養がちゃんと摂れているのか不安です。
更年期に食欲不振になることってよくあることなんでしょうか?

また、無理に食べる必要はあるのか、それとも体の変化に合わせた方がいいのか、気持ち的にも揺れています。毎日がんばりすぎない程度に、自分の体と向き合う食習慣があれば知りたいです。アドバイスよろしくお願いします。

(40代、男性、ハンドルネーム:S.T、職種:金融・不動産)


最初に

こんにちは、ご相談ありがとうございます。

40代後半から50代にかけては、女性だけでなく男性も「更年期」を迎える時期です。
実は男性にも、男性ホルモン(テストステロン)の分泌がゆるやかに低下していく「加齢男性性腺機能低下症(LOH症候群)」と呼ばれる状態があり、心や体にさまざまな変化が現れます。

そのひとつとして「なんとなく食欲がわかない」という声をいただくことがあります。
仕事や家庭を支える年代だからこそ、食欲の低下は「体が弱ってきたのかな?」と不安になるかもしれません。
ですが、更年期に差しかかる男性にとって“食欲の変化”は決して珍しいことではなく、体からの自然なサインでもあります。

今日は、無理なく食と向き合うための工夫をお伝えします。

 男性更年期と食欲の関係

男性ホルモン(テストステロン)は、筋肉や骨の維持だけでなく、気力・集中力・食欲の安定にも関わっています。
テストステロンが低下すると、自律神経や消化機能が乱れやすくなり、食欲が落ちたり、胃もたれしやすくなったりすることがあります。

加えて、40代後半は仕事の責任も重く、家庭の役割も大きい時期。
忙しさやストレスが「食欲」に影響することも少なくありません。
ですから、食欲不振は「年齢」「ホルモン」「生活環境」が重なった自然な現象といえます。

結論からいうと、急激な体重減少がなければ「少量でも栄養を確保する」ことを優先すればOKです。

「食欲がないのに無理に食べる」のはかえって負担になります。
むしろ「少なくても必要な栄養がとれているか」に目を向けましょう。

食欲が落ちているときの工夫

① 少量高栄養を意識する

  • 納豆ご飯+味噌汁
  • 卵かけご飯+焼き鮭
  • 豆腐+野菜スープ+果物

無理なく食べられる一皿に、タンパク質・炭水化物・ビタミンをコンパクトに詰め込むイメージです。

② 胃にやさしい温かい料理

消化器の働きは加齢で少しずつ弱くなります。
温かい汁物や煮物は食べやすく、栄養も摂りやすいです。

  • 具だくさん味噌汁
  • 鶏肉と野菜の煮物
  • おかゆや雑炊

③ 食欲を呼び戻す工夫

香りや味つけを変えると食べやすくなることもあります。

  • カレー粉や生姜で香りを足す
  • レモンや大葉など爽やかな薬味を加える
  • 小皿に盛りつけて「少量から始める」

④ 補食や飲み物も活用

一度に食べられなくても、プロテイン飲料、ヨーグルト、バナナ、ナッツなど、間食で少しずつ栄養を補うのも良い方法です。

心と食のつながり

食欲は心の状態と密接に関わっています。
男性更年期では気分の落ち込みや疲労感も出やすく、それが「食べたい気持ち」を奪うこともあります。

大切なのは、「なぜ食べられないんだろう」と自分を責めないこと。

「今日はスープだけで十分」「明日は卵を足してみよう」と、小さな工夫を重ねるだけで大丈夫です。

食卓は“体を守る場所”であると同時に、“心を休める時間”でもあります。
お気に入りの器を使う、家族と一緒に食べる、好きな音楽を流す。そんな工夫も、食欲をそっと支えてくれます。

最後に

  • 男性更年期に食欲不振はよくあること。自然な体の変化です。
  • 無理に量を増やさず、少量でも栄養を確保する工夫を。
  • 温かい料理や香り・彩りで食欲をサポート。
  • 急激な体重減少や強い不調がある場合は医療機関へ相談を。

「食べられないこと」を不安に思うより、「今の自分にできる食べ方」を見つけることが、心にも体にもやさしいケアになります。
どうか、がんばりすぎず、自分の体に寄り添ってあげてください。

<参考文献・出典>

厚生労働省
▶「日本人の食事摂取基準2025年版」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

日本泌尿器科学会
▶LOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症):https://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/44_loh.pdf


<本記事の回答者>

山本瑠美

管理栄養士

所属:株式会社ファミワン

保育園、老人ホーム、病院での勤務経験を活かし、0歳~高齢者の食を支援しています。食事は「生きる土台」、大切さはわかっていても、乱れたり習慣を変えることが難しい場合も。まずは完璧を目指すのではなく、個人の嗜好やライフスタイルに合わせた提案を心がけています。食べることや栄養の大切さを、わかりやすく楽しくお伝えします。


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