グルテンフリーが更年期対策に良いって本当?【お悩み相談室】

更年期
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今回は、寝つきの悪さやもやもや感の症状から最近更年期を疑い始めた40代女性からのご相談です。友人から更年期の不調にグルテンフリーが効くというのを聞き、本当かどうか気になっているようです。

更年期とグルテンフリーの関係や、更年期の食事の管理方法について管理栄養士がお答えします。

こんにちは。46歳の主婦です。
ここ半年ほど、寝つきが悪かったり、理由のないモヤモヤ感が続いたりして「更年期なのかな」と思うことが増えました。

友人に「グルテンフリーを始めたら調子が良くなった」と聞いて、私も試してみようかと考えています。でも、小麦が体に悪いという実感があるわけでもなく、パンや麺類も大好きなので迷ってしまって…。

もし更年期の不調にグルテンフリーが有効なら、無理のない取り入れ方を知りたいです。気持ち的にも食事的にも続けやすい方法があれば教えてください。

(40代、女性、ハンドルネーム:micomico、職種:自営業)


最初に

ご相談ありがとうございます。

46歳、主婦の方から「寝つきが悪い」「理由のないモヤモヤ感が続く」という声をいただきました。
40代半ばは、女性ホルモンが少しずつ減り始め、心や体にさまざまな変化が出てくる時期です。

そんな中で「グルテンフリーを始めたら調子が良くなった」というご友人の体験を聞くと、「自分も試してみようかな」と思うのは自然なことです。
とはいえ、パンや麺が好きな方にとって、いきなり“完全グルテンフリー”は大きなハードルですよね。

「更年期とグルテンフリーの関係」「無理なく取り入れる工夫」について、お伝えさせていただきます。

更年期に感じる不調とグルテンの関係

グルテンは小麦に含まれるタンパク質で、パンのふんわり感や麺のコシを生み出す成分です。
一部の方(セリアック病やグルテン不耐症)にとっては不調の原因となりますが、多くの方にとっては必ずしも“悪者”ではありません。

ただし、更年期の時期は自律神経やホルモンバランスが揺らぐため、「なんとなく胃が重い」「疲れやすい」といった不調に敏感になりやすく、グルテンを減らすことで体調が整ったと感じる人もいます。

つまり、「必ずしも全員に必要ではないが、一部の人にはプラスになる」のがグルテンフリーです。

「グルテン=悪」ではない、体との付き合い方

研究の中では、グルテンを減らすことで腸内環境が整い、間接的に睡眠や気分に良い影響を与える可能性があることが示されています。

腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれるつながりがあり、腸内環境が乱れると気分の落ち込みや不眠につながることがあります。
特に更年期はホルモンだけでなく腸の働きも不安定になりやすいため、「小麦を食べすぎない」ことが不調の軽減につながるケースもあるのです。

ただし、これはあくまで“個人差が大きい”もの。
だからこそ、「一度やってみる」価値はありますが、「完全にやめる」必要はありません。

グルテンフリーを無理なく取り入れる工夫

① まずは“主食の一部だけ置き換える”

  • 朝はパンを食べていた方 → 週に数回はご飯+味噌汁に
  • 昼はパスタ → 米粉麺やフォーに
  • 間食のクッキー → 米粉やおからを使ったものに

いきなりゼロにするのではなく、「週に数回グルテンフリー」から始めると負担が減ります。

② 「好きなものは楽しむ日」を残す

パンや麺が大好きなら、“楽しむ日”をあえて作るのも大切です。
完全に制限するとストレスが増え、かえって不調を感じやすくなることもあります。

③ グルテン以外の工夫も取り入れる

  • 発酵食品(納豆・味噌・ヨーグルト)で腸内環境を整える
  • タンパク質(魚・豆腐・卵)をしっかりとる
  • マグネシウム(海藻・ナッツ)や鉄分を意識する

「グルテンを減らすこと」より、「栄養バランスを整えること」が土台になります。

心と体にやさしい向き合い方

更年期のモヤモヤや眠れなさは「自分が弱くなった証拠」ではありません。
体のリズムが変わることで自然に起こる現象です。

食事を変えるときも、「不調を治すために頑張らなきゃ」ではなく、「もっと自分をラクにしてあげよう」という気持ちで取り入れることが大切です。

たとえ少しの変化でも、「今日はパンの代わりにおにぎりにしてみた」「夕食を米粉パスタにしてみた」その一歩一歩が、自分をいたわる時間につながります。

最後に

<まとめ>

  • 更年期の不調とグルテンの関係は「人によって差がある」
  • いきなり完全除去ではなく、「週に数回置き換える」からでOK
  • グルテンフリーよりも「腸を整える」「栄養バランス」を優先
  • 無理せず、食を楽しみながら続けられる工夫を

「パンが好き」という気持ちを否定する必要はありません。
好きなものを大切にしながら、少しずつ工夫していくことで、食事も心もラクになります。

<参考文献・出典>

厚生労働省
▶「日本人の食事摂取基準2025年版」:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

公益社団法人 日本産婦人科学会
▶更年期障害について:https://www.jsog.or.jp/citizen/5717/

農林水産省
▶グルテン関連の疾患とグルテンフリー:https://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/soukatu/okome_summary/04/functio_nality_03.html

公益財団法人 腸内細菌学会
▶よくある質問:腸内細菌と精神疾患の関係について:https://bifidus-fund.jp/FAQ/FAQ_25.shtmlhttps://www.urol.or.jp/lib/files/other/guideline/44_loh.pdf


<本記事の回答者>

山本瑠美

管理栄養士

所属:株式会社ファミワン

保育園、老人ホーム、病院での勤務経験を活かし、0歳~高齢者の食を支援しています。食事は「生きる土台」、大切さはわかっていても、乱れたり習慣を変えることが難しい場合も。まずは完璧を目指すのではなく、個人の嗜好やライフスタイルに合わせた提案を心がけています。食べることや栄養の大切さを、わかりやすく楽しくお伝えします。


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