“タバコくさい”と言われてつらい…妊娠中の妻と喫煙問題の向き合い方【お悩み相談室】

妊娠・出産
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今回は、妊娠中の奥さんに配慮しながらも、お互いにストレスを抱えてしまっている「タバコの問題」について、30代男性からのご相談です。
奥さんの気持ちに寄り添いつつ、自分自身のストレスもできるだけ減らしたいとのこと。

妊娠中に敏感になりやすい“におい”に関して、どんな配慮や対策ができるのかを、助産師がアドバイスします。

妻が妊娠してから、たばこについてすごく神経質になりました
もちろん部屋では吸っていないし、玄関先や外で吸うようにしています
でも帰ってくると「まだ臭う」「赤ちゃんのためにやめて」と言われてしまい、イライラしてるのが伝わってきます。
自分なりに配慮してるつもりだけど、完全にやめるのは正直つらいです。
どうしたら妻の気持ちに寄り添いつつ、自分のストレスもためずにいられるでしょうか

(30代、男性、ハンドルネーム:ゆう、職種:製造業)



最初に

パートナーが妊娠されてから、ご自身なりに配慮してたばこの吸う場所を変えたり、室内では吸わないように気をつけているのですね。
それでも冷たい態度で「もっと努力を」と捉えられるようなことを言われると、否定されたような気持ちになってしまうのも無理はありません。

お互いに大切な命を思ってのこととはいえ、夫婦の間で気持ちがすれ違ってしまうのはつらいですよね。

妊娠中のパートナーの変化は、目に見える部分だけでなく、心の変化もとても大きいものです。
においに敏感になったり、赤ちゃんを守ろうという本能的な反応が強く出ることもあります。


「そんなに言わなくても」と思うような反応も、コントロールしづらくなっていることもあるかと思います。

どちらかが悪いわけではなく、お互いの赤ちゃんを“守りたい気持ち”の方向が少しずれているだけなのだと思いますよ。

歩み寄りのためにできる工夫

このような状況では、どちらか一方が我慢するよりも、「お互いが少しずつ歩み寄れる状態」を目指すことがいいのではないでしょうか。
パートナーが安心できて、あなたもストレスをためずにいられるような工夫を一緒に探していくことができると良いかもしれません。

たとえば、

喫煙の時にはタバコの時専用着として、上から着ることのできる大きめの長袖Tシャツを着用するようにしてみたり、喫煙後は上着を着替えたり、手洗い・うがい・歯磨きをしてから室内に入るだけでも、においの残り方はかなり違います。

また、「自分なりにこういう工夫をしているんだよ」と奥さまに伝えることで、配慮している気持ちがより伝わりやすくなることもあるかと思います。

自分のストレスを軽くしながら進める禁煙ステップ

一方で、ご自身のストレスも大切にしてほしいと思います。

喫煙を無理にやめるのは確かに大変なことですし、「いきなりやめなきゃ」と思うと逆に反発したくなってしまうのも当然です。

もしよければ、「減らしてみる」「吸う時間を決める」といった小さな一歩から始めてみるのも良いかもしれません。

パートナーも“やめる努力をしてくれている”と感じられると、気持ちが和らぐこともあるかと思いますよ。

また、「お互いが安心して過ごすためにどうすればいいか」を話し合う時間を作るのもおすすめです。

怒りやイライラが出ているときではなく、少し落ち着いたときに「自分も気をつけてるつもりだけど、どうすればもっと安心できる?」と優しく聞いてみると、対話の糸口が見つかることもありますよ。

妊娠中に敏感になりやすい「におい」とたばこの影響

妊娠中に問題となるのは「受動喫煙」や「三次喫煙(サードハンドスモーク)」と呼ばれるものです。
受動喫煙は、たばこの煙に直接さらされることによって有害物質を吸い込むことですが、
三次喫煙は、衣服や髪、家具などに付着した有害成分が空気中に再び放出されることを指します。
これが妊婦や新生児にも影響を与える可能性があるともいわれています。

そのため、「外で吸っているのに」と感じる状況でも、パートナーが敏感に反応するのは、赤ちゃんを守ろうとする自然な防衛反応なのかもしれませんね。

においに含まれるニコチンなどの成分がほんの少しでも残ると、妊娠中の嗅覚ではかなり強く感じられることがあります。

禁煙は確かに容易ではありませんが、最近ではニコチン依存症治療薬や禁煙外来も進化していますし、こうした支援を受けるのも一つの方法です。

完全にやめるかどうかを今すぐ決めなくても、「健康や家族のために少しずつ近づく」気持ちを持つことが大切かもしれません。

また、禁煙を「我慢」と捉えるよりも、「家族を守るための新しい習慣」として少しずつ取り組んでいくと、続けやすい方も多いです。

最後に

現時点で、「どうしたら妻の気持ちに寄り添えるか」と考えられていること自体が、すでにとても素敵なことだと思います。

焦らず、夫婦で歩んでいけると良いですね。


<参考文献・出典>

厚生労働省
▶子育て世代のみなさまへ ― なくそう!望まない受動喫煙:
https://jyudokitsuen.mhlw.go.jp/people/kosodate/


<本記事の回答者>

助産師として大学病院や自治体など多様な現場で経験を積み、妊娠・出産・育児から更年期まで、女性のライフステージ全体をサポートしています。誰にも相談しづらいお悩みも、どうぞお気軽にご相談ください。


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