最近、汗が止まらず妻にもイライラ…。男性更年期は何科に行くべき?【お悩み相談室】

更年期
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暑くないのに汗が噴き出したり、性欲が落ちたりと体調の変化を感じている40代男性からのご相談です。
妻へのイライラも増え、「自分らしくない」と戸惑う日々。ネットで調べて初めて、男性にも更年期があると知ったとのこと。

今回は、男性更年期の特徴や受診の目安、夫婦関係を穏やかに保つための心がけについて、臨床心理士がアドバイスします。

暑かったり辛い物を食べたわけじゃないのに顔や頭から突然汗が噴き出すことが多くなりました。言いづらいですが、性欲もある方だったんですが最近はめっきりなくなってしまい、何かおかしいと感じています。

3つ年上の妻が今、ホットフラッシュに悩まされていて、その話を聞くうちに「これって自分にも似たような症状があるなぁ」と思い、ネットで調べて初めて、男性にも更年期障害があるんだと知りました
昔から仲のいい妻にむかつくことなんてなかったんですが、最近は妻に対してイライラすることも多くて、怒りと申し訳なさがこんがらがってます

妻は更年期症状といってもほてりぐらいなんですが、僕は色んな症状が一気に出ているなと感じています。近々病院に行きたいと思ってますが、何科を受診すればいいもんでしょうか。

(40代、男性、ハンドルネーム:なっち、職種:医療・介護・福祉)


最初に

突然の汗、性欲の低下、そしてパートナーさんに対してこれまで感じたことのないイライラ。
どれも「自分らしくない」感覚に戸惑いながら過ごしておられるのですね

しかもお仕事柄、人の健康や生活を支える立場だからこそ、「自分が不調を訴えるのは弱いことのように感じる」という葛藤が起きやすいかもしれません

援助職って、自分の健康を後回しにしてしまいがちですよね。実は、かく言う私も…。


いま、なっちさんの身体はちゃんと“サイン”を出してくれているようです。
これまで長く、仕事でも家庭でも頑張り続けてきたなっちさんの身体が、「おーい、そろそろ次のステージに入る準備を始めようよ」と言ってくれているのではないでしょうか

更年期は「誰にでも訪れる」ライフステージ

更年期は性ホルモンが減少する時期のことを指します。
幼児期や思春期のように、誰もが経験するライフステージの一つです。
男性の更年期は、最近になってやっと注目されるようになってきました。


男性の場合、テストステロン(男性ホルモン)の分泌が40代半ばからゆるやかに減少し、ほてりや発汗、気力低下、性欲減退、怒りっぽさなどの症状が現れることがあります

女性の場合は閉経を中心に前後5年間、計10年間が更年期です。
一方、男性は閉経のような終わりの目安がありません
更年期世代に近づいたら生活習慣などを見直し、老年期を迎える準備を進めていくのが、更年期の自分との上手な向き合い方です

自分の体を知り、お互い様精神をもってみる

今後の方針としては、「自分の身体の状態を正確に知る」ことと、「パートナーさんと無理のない関係を保つ」こと、この2つがポイントになりそうです。


まず、医療的な視点で自分の体をチェックすること。
ホルモンバランスの変化が関係している場合もあれば、甲状腺や糖代謝など別の要因が重なっていることもあります。
原因を特定するだけでも、安心感が全く違います

もう一つ大切なのは、イライラや気分の落ち込みを「人格の問題」ではなく「ホルモンの影響」として捉えること。
夫婦のどちらかが不調のとき、どうしても“どちらが悪い”という構図になりやすいですが、更年期の時期は「お互いのコンディションが揺れるのは当たり前」と理解し合うだけで、ぐっと関係が楽になります


「お互い様期」ぐらいの感覚で構えていいのです。

心身両方のケアから受診先を考える

受診先としては、まず「泌尿器科」または「男性更年期外来(LOH症候群外来)」が適しています。
そこで血液検査を行い、テストステロンの値や他のホルモンバランスを確認します。
もし更年期による変化が主な原因であれば、ホルモン補充療法や生活習慣の調整で改善が見込めます。

また、気分の変化や睡眠の質が著しく低下している場合は、心療内科やメンタルクリニックを併用するのもおすすめです。

更年期の不調は「体か心か」ではなく、両方にまたがるもの。
どちらのアプローチも悪くありません。

更年期は“次のステージ”の始まり

日常の工夫としては、睡眠・食事・運動のリズムを整えることが基本です。
特に軽い筋トレやウォーキングはテストステロンの分泌を助け、気分の安定にもつながります。


そして何より、「恥ずかしがらずに話す」こと
パートナーさんと「今はお互い様だよね」と笑い合える関係が、心身の回復にいちばん効く薬になるのではないでしょうか。

更年期は「Change of Life」とも呼ぶのだそうです。
つまり、これからの人生のために生活を変えるチャンス。

どうか、未来のために体も心も大切に過ごしてくださいね。

<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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