妊活を続けるのに疲れました。やめたいのにやめられません【お悩み相談室】
結婚4年目、2度の流産を経験しながらも妊活を続けてきたという30代女性からのご相談です。
毎月期待しては落ち込み、妊娠できても不安が尽きず、心が限界に近づいているとのこと。やめたい気持ちと続けなきゃという思いの間で揺れているそうです。
今回は、妊活疲れによる心の消耗と、続けるか休むか迷うときの心の整え方について臨床心理士がアドバイスします。
妊活を続けることに、正直もう疲れてしまいました。
結婚して4年、2年目から妊活を始め、これまでに2度の流産を経験しました。それでも諦めずに治療を続けてきましたが、毎月期待しては落ち込むという繰り返しに心が折れそうです。妊娠できてもまた流産するかもしれないという不安もあり、気持ちが休まりません。
本当は妊活をやめて、子どもがいない人生でもいいと思いたいけれど、周囲の目や年齢のことを考えると踏み切れません。ネットやSNSでは前向きな声が多くて、余計に取り残されたような気持ちになります。
同じような思いをしている方はいますか?どうやって気持ちを保っていますか?
やめたい気持ちと続けなきゃという思いで揺れています。
(30代、女性、ハンドルネーム:あやめろ、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
あやめろさんの文章から、長い時間をかけて妊活に向き合ってこられた努力や、静かに積もってきた疲れが痛いほど伝わってきました。
「毎月期待しては落ち込む」という言葉には、数字では測れない心のエネルギーの消耗が詰まっていますね。
さらに2度の流産を経験されてもなお治療を続けてこられたということ、その背景には「それでも諦めたくない」という思いがあったのだと思います。
ここまで本当によく頑張ってこられましたね。
妊娠できてもまた流産するかもしれないという恐れ、そして妊娠できなかったときの落胆。
希望と絶望の間を行ったり来たりするような日々は、まるで心が薄氷の上を歩いているようなものです。気持ちが休まらないのも当然のことです。
そして、「子どもがいない人生でもいいと思いたいのに、そう思えない」「SNSでは前向きな声ばかり」と書かれたあたりに、あやめろさんの劣等感がにじんでいるように感じました。
人と比べたくないのに、見たくない情報が目に飛び込んでくる。
洪水のように溢れる他人の情報の中で、心の居場所を失うこともあります。
決断の前に「お休みする」選択肢を持ってみる
今のあやめろさんにとって、「妊活を続けるかやめるか」という二択の間で心が引き裂かれるような思いがあるのではないでしょうか。
でも、どちらを選んでも「間違い」ではありません。
大切なのは、決断の方向ではなく、まず「いったん立ち止まって、疲れた自分をいたわる時間を持つ」ことかもしれません。
妊活の世界では「頑張る」ことが前提のように語られがちですが、心のバッテリーが切れたままでは、頑張るどころか日常生活そのものがつらくなってしまいます。
「やめる」と決めなくてもいい。
「お休みする」と思ってみるのはどうでしょうか。
期間を区切ってもいいし、ただ「今は一休み」と決めるだけでも構いません。
その間に、治療中心の生活から少し離れて、自分が何を食べたいか、どんな服を着たいか、誰と過ごしたいか――そんな「自分の感覚」を取り戻す時間を過ごしてみてください。
SNSでは「続けて良かった」「奇跡が起きた」という声が多くても、画面の向こうには、あやめろさんと同じように迷い、泣き、休んでいる人もたくさんいます。
見えないだけで、孤独ではありません。
「どんな生き方をしたいか」を整理してみる
妊活のストレスは、うつや不安障害のリスクを高めるほど強いものだとも言われています。
特に流産を経験した方は、喪失と再挑戦の間で心身に大きな負担がかかります。
そのため、治療の継続や中断を考える際には、医療だけでなく心理的なケアも同時に考えることが大切です。
心理士としておすすめしたいのは、「治療をどうするか」だけでなく、「どんな生き方をしたいか」を一緒に整理してみることです。
もし今、治療をお休みしたい気持ちがあるなら、その選択を“逃げ”ではなく“回復”と考えてください。
エネルギーが戻ってくると、不思議と次の一歩も見えてくるものです。
また、もし身近に分かち合える人がいないと感じるときは、不妊体験者のサポートグループや心理相談の場を利用するのも良いでしょう。
誰かに話すだけで、心の重りが少し動くことがあります。
最後に
「頑張る」と「頑張らない」の間に、“ゆるく頑張る”という選択肢もあります。
疲れたら、堂々と休んでください。
自分を守ることだって、妊活の大切な要素の一つですよ。
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