妊娠中に微熱が続く理由と、受診の目安が知りたい【お悩み相談室】
今回は、妊娠中の微熱が「妊娠による体温変化か、感染症か」と不安になっている20代女性の方からのご相談です。
微熱以外のしんどさはないものの、赤ちゃんへの影響を考え、受診の目安を知っておきたいようです。
妊娠中の体温変化の仕組み、受診の目安、そして体調管理のポイントについて助産師がお答えします。
妊娠してからずっと微熱が続いています。
妊娠による熱だとは思っているのですが、たまに37.5度以上の熱が出たりもします。
営業の仕事をしていて、外回りや人と会う機会が多いので、万が一コロナなどの感染症だったら周りに迷惑をかけてしまうなと心配しつつ業務をこなしています。
熱があるだけで、つわりなど他の症状はほとんどありません。
妊娠初期に熱が出るのはよくあると聞くものの、本当に赤ちゃんに影響がないのかが気になります。
しんどいと思ったら無理せず休もうと思っていますが、特にしんどさを感じない今の状態でも気をつけておいた方がいいことはあるのでしょうか。
また、様子見でよい妊娠による正常の熱なのか、病院に行った方がよい熱なのかの見分け方や、この微熱はいつまで続くものなのかも教えていただきたいです。
(20代、女性、ハンドルネーム:あかりんご、職種:営業)
最初に
妊娠おめでとうございます。
お仕事をしながら体調に気を配っておられる様子が目に浮かびます。
営業職ということで人と接する機会も多い中、微熱が続くと「妊娠によるものなのか」「感染症だったら周りに迷惑をかけてしまうのでは」と気を遣うことは、無理もないかと思います。
熱以外の症状はないとのことですが、妊娠中は体がいつもと違う感覚になることが多いので、不安になりますよね。
妊娠中、特に火照りやすいと言われていますが、今が正常の範囲なのか、異常なのか、ご自身での判断は難しいかと思います。
無理せず休もうと思いつつも、仕事の責任感から頑張ってしまう。
そんな気持ちからくる葛藤もあるのではないでしょうか。
微熱が続くときの過ごし方と受診の目安
今のような「微熱が続くけれどしんどさはない」という状態であれば、まずは体調の変化を記録しておくのも良いかもしれません。
毎日のおおよその体温や体調をメモしておくと、妊娠による生理的な変化か、感染などによる一時的な発熱かの判断がしやすくなります。
もし、「熱が37.5℃を超える」「寒気や関節痛が出る」「喉の痛みや咳などの症状がある」「体のだるさが強い」といった変化があれば、我慢せずに医療機関へ相談してくださいね。
妊娠中は免疫のバランスが変わり、ウイルスや細菌にかかりやすくなることもあると言われます。
感染症による発熱は、母体だけでなくおなかの赤ちゃんへの影響も考えられるため、早めの受診が安心です。
反対に、熱以外の症状がなく、日常生活を普通に送れているようであれば、ホルモンの影響による生理的な微熱の可能性も考えられるでしょう。
こうした状態では、体を休めながら、無理のない範囲で日常を過ごして大丈夫なことも多いかと思います。
お仕事柄、外出も多いと思いますので、体を冷やさない服装やこまめな水分補給も意識してみてくださいね。
体が温まると体温がさらに上がってしんどく感じることもありますから、脱ぎ着しやすい服装で調整しながら過ごすと良いですね。
妊娠初期の微熱とホルモンの関係
妊娠初期に微熱が続くのは、多くの場合「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の働きによる体温上昇が関係しています。
このホルモンは、排卵後から妊娠を維持するために分泌され、体温を上げる性質があります。
そのため、基礎体温でいう「高温期」が妊娠継続中も続く形になります。
多くの妊婦さんが「ずっと微熱がある」「体が火照る」と感じますが、これは体が赤ちゃんを育てるための準備をしている証拠でもあります。
このホルモンの影響による体温上昇は、妊娠15週前後に胎盤が完成するころには落ち着いていく方が多いのですが、個人差もあり、もう少し長く続く場合もあります。
一方で、38℃近い発熱が続く場合や、体調の変化があるときは注意が必要です。
妊娠中の高熱は、感染症(新型コロナウイルス、インフルエンザ、風邪など)が関係していることもあり、まれに胎児に影響を与えることも知られています。
特に発熱が2日以上続くとき、症状が強いときは、自己判断せず医療機関を受診しましょう。
また、感染症の予防としては、外回り後の手洗い・うがいの徹底、マスク着用、十分な休息と栄養バランスの取れた食事、などの基本的なことが大切になってきます。
体温調整とともに、仕事中も水分をこまめにとるようにすることも大事ですね。
冷たい飲み物ではなく、常温か温かいものがおすすめです。
最後に
今の状態がつらくないようなら、体を冷やさず温めすぎず、リラックスしてお過ごしくださいね。
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶産婦人科診療ガイドライン-産科編2023:
https://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2023.pdf
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