他人とも過去とも比べない。こしいみほさんの育児を前向きにするポジティブ思考法【体験談インタビュー】
目次
自分を救うために始めた育児絵日記
――こしいさんは、2人のお子さんを育てていらっしゃいます。こしいさんの作品には子育ての大変さをポジティブに変換するヒントがたくさん詰まっていますが、子育てで特に悩まれる時期はあったのでしょうか
1人目の育児が1番しんどかったです。出産前は自分だけの時間があり、自分の意思で動くことが当然だったのが、子どもが産まれたとたん、子どもを中心に動く日々に息苦しさを感じてしまいました。私とは別の人間を守って育てなきゃいけないので当然のことなのですが、自分自身がぐしゃぐしゃにつぶされるような感覚でした。
子どもの頃からイラストを描くことが好きだったので、息抜きを兼ねて手帳に育児絵日記を描いていたのですが、Instagramに投稿したことで、同じように子育てしている人と育児のおもしろさや苦労を共有することができ、ものすごく救われました。
育児絵日記を描くときには、しんどかったこともユーモアを交えて描くことを意識していました。そうすることで「子どもの世話をするだけの1日」から「子どものおもしろさを見つける1日」に変わり、自分という軸を取り戻すことができたんです。
――おっしゃる通り、こしいさんのユーモアあふれる作品にはとても魅力を感じます。作品を描くときに意識されていることはありますか
自分が悩みの渦中にいる時には作品を描くことは難しいですが、悩みの解決策が見えて、進むべき道が分かった時に、ようやく描けるようになります。
悩み事やネガティブなことは、身近にいる家族や保育園の先生に泣きながら相談して乗り越えてきました。身近に相談できる人がいたことは、当時すごい救われたなと思います。
悩みは人に相談して解決できるという経験があったので、「同じような悩みをもっている人の役に立てるかも」と思って、作品は細かく、そして少しでもポジティブになってもらえればという思いで描いています。
「今日の私の一生懸命」を大切に。ネガティブな料理時間を前向きに変える気づき
――SNSにはコミックエッセイも投稿されておられますが、これまでに反響のあった作品について教えてください
夏休みの連休に料理を作らない挑戦をした時のマンガです。
わたしは料理が嫌いなのですが、子どもたちのために作らねば、と毎日嫌々台所に立っていました。あるとき「逆に、なるべく料理を作らないことに挑戦してみたらどうなるだろう?」と思い、実行することにしてみました。私と同じように料理が苦手な方や、手抜きに罪悪感を感じていた方に共感していただけたのではないかと思っています。



こしいみほさんnoteより引用
ポジティブを保つ秘訣は、筋トレのような習慣
――こしいさんの作品からも伝わってくる「ポジティブにしていく力」はどうやって維持されているのでしょうか
嫌なことがあっても“明るい方に考える”ことと、“嫌だったことを考えない努力“をしています。
落ち込んだりイライラすることは普通によくあるのですが、その気持ちにずっと浸ることはしないぞ!と決めています。いったん落ち込んだら、自分で区切りをつけて、意識して気持ちを前に向けるようにしています。
ハムスターが回し車の中をずっと走り続けるように、ネガティブな気持ちもなぞり続けそうになるものだと思っていて、その輪から「えいっ!」と飛び出すイメージです。飛び出すためにはエネルギーが必要ですが、これはもうトレーニングによって鍛えるしかないかもしれません。
私自身も10代のころから落ち込んでは前を向く、ということを意識して繰り返してきて今に至ります。きっと、ポジティブ思考も筋トレのように繰り返すことで身につくものなのだと思います。
嫌なことがあったら、反省すべきことは反省し、今後どう行動するかを考えることに意識を向ける。つい嫌なことを脳内でリピート再生しそうになったら、自分が好きな漫画や映画に没頭するか早く寝る。これが私の習慣です。
他人と比べないで。未来と自分だけが変えられる!
――同じように育児に悩んでいる読者の方にメッセージをお願いします
わたしの言葉ではないのですが、心の支えとなっている言葉を送ります。
「過去と他人は変えられない。変えられるのは未来と自分だけ」
これは就職時に人事の方から教わった言葉で、自分の行動の指針になりました。育児で苦しくなったときも、子どもを変えようとするのではなく、自分の行動や考え方を変えることによって親子でハッピーでいられる道を探すようにしています。
SNSで家事スキルが高いお母さんを見ては、家事全般が苦手な自分と比べて落ち込む時期があったのですが、それも自分の考え方を変えることで、爽やかな気持ちでSNSを見られるようになりました。




こしいみほさんの著書『ころんでもポジティブ』より引用
(noteで試し読みができます)
だから、読者のみなさんにも「こしいさんはポジティブに考えることが得意なんだな〜」と思ってもらえたらOK!私と比較して「どうして私はネガティブなんだ…」と落ち込む必要は全くありません。自分がこれからどうしたいのか・何が快適かにフォーカスしてみてほしいです。
“悔しさ”と“時間への意識”が漫画家への大きな決断
――こしいさんは、会社員としてご就職されたのち、漫画家へ転身されたとお聞きしています。その当時の思いや覚悟を教えてください
「漫画家になりたい」という憧れは小さい頃からありました。会社員として働きながら子育てをする中で、Instagramをきっかけに育児絵日記を出版する人が増えてきて、「もしかしたら私にもできるのでは?」という気持ちが徐々に芽生えました。
会社員としての仕事に不満はなかったのですが、副業として育児マンガのWEB連載を続けているうちに、「もっとうまくなりたい!」「もっとイラストやマンガの仕事がしてみたい!」と感じ、思い切って退職し、フリーランスになる道を選びました。
――ご自身の気持ちや将来を軸に、活動を続けていらっしゃる点が印象的です
母親としての役割は果たしつつも、“子どもがすべて”という状態にはならないように、自分のやりたいことにも力を注ぐことにしています。
子どもが自立して離れていくのを、颯爽と見送れる親でありたいと思っているので、今はその準備中ですね。私も夫も一人っ子で、遠くない将来介護に時間を割くことになること考えると、より一層やりたいことは今やっておかなきゃ!という気持ちになります。
ラジオを聞きまくってリフレッシュ
――最後に、こしいさんのリフレッシュ方法を教えてください
マンガとラジオです。マンガは紙でも電子でも読みます。寝る前のスマホはよくないのは重々承知していますが、1日の終わりに布団の中でマンガを読む瞬間は癒しです。
ラジオは複数のアプリで芸人さんの番組を中心に20番組ほど聴いています。理不尽に感じたり腹が立ったエピソードを、芸人さんが笑いに変えて話すのって、ネガティブをポジティブに変えるお手本そのものだと思うんですよね。私の憧れです。
(取材:2025年12月)
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