ワンオペ育児でも「自分で選べる子」に。遊具デザイナー豆さんの自己肯定感と自立の土台づくり【体験談インタビュー】
今回は、絵日記で人気のシングルマザー・豆さんに、絵日記を始めたきっかけ、ワンオペ育児の大変さ、子どもの自己肯定感や自立心を育むために心がけていることを伺いました。
目次
妊娠中の「孤独」から始まった発信。目指すのは、誰かの心をホッとさせるウェブ上のママ友
── 豆さんがイラストや絵日記の活動を始めた、1番のきっかけを教えてください
一番のきっかけは、息子(だいず)を妊娠した頃に感じた「孤独」でした。
当時、先生からは特に何も言われてなかったのですが、「胎動をあまり感じないかも…」といった個人的な不安を誰にも相談できずに一人で抱え込んでいました。
もともと絵を描くことは好きで、仕事でも関わっていたため身近な存在ではありましたが、「この悩みは私だけじゃないはず」と、自分に言い聞かせるように描き始めたのが、絵日記のスタートでした。
今でも絵日記を続けているのは、私は忘れっぽい性格なので、上手じゃなくてもいいから、その時々の大切な気持ちをまるごと残しておきたいからです。
私の発信を見た誰かが「自分だけじゃないんだ」とホッとしたり、「よし、頑張ろう」と思えたりするような、ウェブ上の「ママ友」のような存在になれたら嬉しいなと思っています。
── 特に読者の方からの反響が大きかった作品はありますか
最近、多くの方から反響をいただいたのが『想像しよう そうしよう』という作品です。
子どもからの質問に対してすぐに答えを出すのではなく、「なんだと思う?」「どう思う?」と問いかけてみるエピソードを描きました。
子どもながらに「間違えたくない」「知らないと思われたくない」という、小さなプライドを持っている子もいますよね。
でも、まだ何も知らない時期だからこそ、間違いを恐れずにのびのびと考える力を養うチャンスがたくさんあると思っています。
だから私は、あえてお手本として、ちょっとふざけて間違えてみせたりもします。
「間違えることは怖くないんだよ。間違えてもいいんだよ。」と伝えながら、子どもの豊かな想像力を引き出していきたい。柔軟な考え方ができる子に育ってくれたらうれしいなと思います。




<豆さんインスタグラム”想像しようそうしよう”より引用>
遊具デザイナーの視点で大切にする、子どもの自己肯定感と「生き抜く力」
~大切にしているのは、1人の人間として対等に向き合うこと~
── 豆さんの作品からは、だいずくんと丁寧に向き合っている様子が伝わってきます。どのようなことを大切にして接していらっしゃるのでしょうか
大切にしているのは、「子どもの自己肯定感を育むこと」と「一人の人間として対等に向き合うこと」ですね。
実は私、仕事で「遊具デザイナー」をしています。前職では、幼稚園や保育園の遊具設計だったので、子どもの発達段階に合わせて「どんな動きを引き出し、どんな成長を促せるか」を常に考えて提案する仕事をしていました。
その経験があるおかげで、息子と向き合う時も「今はこういう時期だから、こう声をかけた方が伝わりやすいな」と自然に考えられるようになりました。
子どもの自己肯定感を育む声かけや挑戦を支える考え方は私の得意分野かもしれません。
あともう1つ、息子には「自分の力で生き抜く力」を身につけてほしいという強い思いがあります。 親がずっと代わりに戦ってあげることはできません。
だからこそ、自分で考えて選択し、「嫌なことはイヤ」「好き・嫌い」もちゃんと言えるようになってほしい。自分のことは自分でやりつつ、本当に困った時には「助けて」と言える、そんなしなやかさを持ってほしいと思っています。
だから日頃から、一方的に意見を押し付けるのではなく「だいずはどう思う?」と問いかけるようにしています。私の気持ちを伝える時も、必ず「なぜそう思ったのか」という理由を共有します。
「ママと子ども」という上下関係ではなく、なんでも言い合える1人の人間同士として接していたいなと思っています。今では、私がドア開けっ放しにしてると「ママ開けっ放しだよ!」怒られますね。
私の方が「すみません」って謝っています(笑)。
フルタイム&ワンオペでの奮闘の日々
~息子と二人三脚で築く家族のかたち~
── 豆さんはシングルマザーとして子育てをされていますが、お一人での子育てはご苦労も多いかと思います。具体的に大変だと感じたことや、今の悩みなどはありますか
やはり「1馬力」で家計も育児も支えているので、どうしてもフルタイムで働かなければならないという大変さはありますね。
毎朝8時には保育園に預け、1時間弱かけて会社へ。仕事が終わって迎えに行くと、息子はいつも残り数人の遅めの部屋にいて……。帰宅して、そこから夕飯、お風呂とバタバタで、息子が寝るのが10時過ぎ。私は朝がめっぽう弱いので、そこから深夜まで自分の仕事や勉強をする、というサイクルでなんとか回しています。


「大人の目がもう一つあれば」と思う場面も多々あります
<豆さんインスタグラム”ワンオペだけど病院に行きたい”より引用>
振り返ってみると、離乳食の時期も大変でしたね。
息子は本当によく食べる子で、せっかく作った1週間分のストックを一度で全部食べてしまうんです。作っても食べてくれない「食べ渋り」の悩みも辛くてよく聞きますが、作っても作っても追いつかない、でも「食べすぎじゃない?」なんて贅沢な悩みは周囲には相談しづらい…。
当時は「どうしよう」と本気で怖くなるほど悩んでいました。
また、子どもの急な発熱も大きな壁ですよね。
以前の職場は在宅勤務ができず、有給休暇もあっという間になくなっていました。今は理解のある環境で在宅に切り替えられることもありますが、それでも仕事が進まないストレスはあります。
ただ、最近は「私が1人いなくても仕事は回るもの」と割り切るようにしました。罪悪感を持ちすぎると自分がパンクしてしまうので、そこは環境に感謝しつつ、意識的に気持ちを切り替えています。
今、私がここまで頑張る1番の理由は、息子に「やりたい」と言ったことを我慢させたくないからです。 小学校に上がれば、さらに色々なお金がかかるかもしれません。
でも、私は息子に「今は遊ぶことが君の仕事。何が楽しいか探すのが仕事だよ」と伝えています。だからこそ、やってみたいことが見つかった時に、いつでも「いいよ!」と背中を押してあげられる環境を整えておきたいんです。
そのためにも、今は働き方の見直しを考えて、フリーランスになるための勉強も始めました。母親である私がイライラせず、毎日を一緒に楽しめていること。それが、今の我が家にとって1番大切なことだと思っています。
── 子育て中の「離婚」という大きな変化に向き合うにあたり、だいずくんへの接し方で特に意識されていたことはありますか
子どもの前では、とにかく「笑顔でいること」を意識していました。
息子を不安にさせたくなかったですし、「ママが絶対にそばにいるから大丈夫だよ」という言葉は、意識してずっと伝え続けてきましたね。
もちろん、私自身に葛藤がなかったわけではありません。お迎えに向かう電車の中で、「もっと幸せにしてあげられたんじゃないか」と落ち込んでしまうこともありました。
でも、保育園に着いたら「よし!」と気持ちを切り替えて笑顔で迎えに行く、そう心がけていました。
離婚について息子に伝えた時も、私はかなり覚悟をしていたのですが、当の本人は意外なほどケロッとしていて(笑)。こちらが拍子抜けしてしまうくらい、自然に受け止めてくれました。
そんなある日、私の母と息子と3人で手をつないでいた時に、息子がふと「僕たち、家族だねぇ。僕とばぁばとママで!」と言ってくれたんです。
その言葉を聞いた瞬間、心がすーっと軽くなり「この子にとっての家族は、今ここにいる私たちなんだ」と、胸がいっぱいになったのを覚えています。
形にこだわる必要なんてないんだとだいずが教えてくれたような気がします。
最初の一歩を踏み出す勇気を。「なんとかなる」の精神で日々を乗り切るコツ
── 日々奮闘している読者の皆さんへメッセージをお願いします
「なんとかなる。大丈夫ですよ!」とお伝えしたいです。
何か新しいことを始めたり、今の状況を抜け出したりするのは、すごく勇気がいりますよね。
最初の一歩を踏み出すまでが一番大変ですが、そこさえクリアできれば、あとは意外となんとかなるものです。
もし、その一歩が出せないほど辛かったり不安だったりする時は、1人で抱え込まないでください。私自身、誰かに話せる相手がいることの大切さを身に染みて感じてきました。
周りに頼れる人がいなかったり、実際の知り合いには言いにくい時には、インターネットで探して相談するのでもいいと思います。DMで誰かに愚痴をこぼすようなことであっても、「誰かに話す」だけで、心は少し軽くなります。
未来は自分の手で掴んでいけます。「辛い」と感じるなら、それはあなたがそこまで一生懸命に頑張ってきた証拠です。子どもを産んで育てている…それだけで、全員がもう十分すぎるほど頑張っています!頑張っていない人なんて、1人もいません。
先が見えないと今は感じていても、ここまで頑張ってきたあなたならきっと道は開けます。「なんとかなる!」という気持ちを持ってのりきってほしいなと思います。
親子で「良きゲーム仲間」
-最後に豆さんのリフレッシュ方法を教えてください
寝ることと、好きな「ものづくり」をすることですね。
手芸や編み物もしますし、最近は息子の絵でカレンダーを作ったりもしています。
あとは、何も考えずに没頭できるゲームも好きで、息子には良きゲーム仲間になってもらっています(笑)
(取材:2026年1月)
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