週5日のサッカー漬け…子供の時間の使い方に悩む【お悩み相談室】

今回は、小学4年生の息子さんがサッカー漬けの日々を送り、試合に出るために努力する一方で、遊ぶ時間がなくてもよいのかと悩む親御さんからの相談です。
また、将来的に部活かクラブチームかの選択も控え、不安を抱えているとのこと。
お子さんの成長を支えるための時間の使い方や、進路選択の考え方について臨床心理士がアドバイスします。
小学4年生の子供がいます。サッカーのクラブチームに所属していますが、同じ学年の子が多く、レベルの差もあり、息子はなかなか試合に出れません。その差を埋めるべく、サッカースクールも習い始め気づけば週5日のサッカー漬けの日々です。
子供の夢をかなえてあげたく、見守るつもりで送迎も行っていますが、日々忙しくもう少しサッカー以外に友達と遊ぶ時間などを作ってあげたらいいのかも…と思う事もあります。
又、6年生になると中学の部活動か、セレクションを受けてクラブチームに所属するか選ばなければなりません。部活動は先生の負担を下げるべく、練習時間や日程がどんどん減っている状況だそうで、先々も悩みはつきなそうです。
ぜひ専門家のご意見をお聞きしたいです。
(40代、女性、ハンドルネーム:あーちゃん、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
小学4年生のお子さんがサッカーに取り組んでおられるのですね。週5日の練習に、スクールの送迎、そして日々の葛藤……。読ませていただきながら、「これは親も子も立派なアスリート生活だなあ」と、思わず背筋が伸びました。
そして、そんな生活の中でお母さんが抱えている「本当にこれでいいのかな?」という迷いや不安――そのひとつひとつが、子どもの未来を真剣に考えているからこその悩みで、胸にじんと響きました。これまで送迎に励み、日々のサポートを続けてこられたお母さん、本当にお疲れさまです。
「もっと友達と遊ぶ時間も必要なのでは…」「このままクラブチームに進むべきなのか…」と揺れる気持ち、当然だと思います。スポーツって、熱中する一方で“我が子が置いていかれる”ような感覚も同時に生まれやすく、親の心を翻弄するんですよね。
でも、こうして「子どもにとってどうするのがよいのか?」と悩めるお母さんは、間違いなく“よく見ている親”です。ご自身の中にある「これでいいのかな」という直感を、どうか大切にしてください。正解探しの旅ではなく、「我が子らしい育ち方って何だろう?」という問いを持ち続けているだけで、親として本当に素敵な土台をつくられていると思います。
遊びの中にも大切な時間がある
週5日のサッカー生活――これは子どもにとっても、かなり濃密な経験です。でも、「忙しさ」と「充実感」って、紙一重だったりもしますよね。特にこの時期、プレー以外の“遊び”の中で得られる経験も、子どもにとってはすごく大きいのです。
だからもし、「今日は公園で虫取りしてた」とか「友達とゲームしてただけ」みたいな日があっても、親として「そんな時間もいいよね」と思えると、心がちょっと軽くなるかもしれません。遊びの中にも、社会性や創造力、柔軟性が育つ大切な時間があるんですよね。
大切なのは「どんな自分でいたいか」を考えられるようになること
また、「クラブチーム or 部活動」の選択は、確かに悩ましいものです。でも、どちらにも一長一短があるのが現実。クラブは専門性が高く、機会にも恵まれやすいけれど、費用や負担も大きい。一方で、部活動は指導時間や頻度の制限がある分、本人の自主性や仲間とのつながりが深くなる面もあります。
今すぐ答えを出す必要はありません。大切なのは、お子さん自身が「どんなチームで、どんな自分でいたいか」を、少しずつ考えられるようになること。その時に「あなたの考えを一緒に聞かせてね」と言える親でいられたら、それだけできっとお子さんにとって心強い選択の時間になると思います。
「安心して休める」で育つ親子の関係
子どもがひとつのことに打ち込むのは、とても素晴らしいことです。でも、それを“続ける力”の土台には、「やめてもいい」「立ち止まってもいい」という安心感が必要です。
臨床心理士として多くの子どもや親御さんと関わる中で実感するのは、「頑張る」よりも「安心して休める」経験の方が、その子の心を強くするということ。大人と同じで、子どもにも“気持ちの回復スイッチ”が必要なんです。
ですから、「今日は練習ないし、公園でも行く?」なんて何気ない一言が、親子の関係をほっと和らげるカギになったりします。子どもが自分の気持ちを言えるようになるのも、「否定されない関係」の中でこそ育つもの。
そして、お母さんご自身にもぜひ休息の時間を。スポーツは、本人の努力だけでなく、親の“情熱と体力”によって支えられている競技です。「私も今週はノー送迎DAY」と決める勇気も、ときには必要かもしれません。
最後に
ここまで丁寧に子どものことを見てこられたあなたなら、これからの分かれ道もきっと大丈夫。子どもの未来も大切ですが、今日の親子の笑顔だって、何よりの宝物です。どうか自分の心にも目を向けてあげてくださいね。
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