2人目を出産後、上の子をかわいいと思えず苦しい【お悩み相談室】

今回は、二人目が生まれてから上の子にイライラしてしまい、冷たい態度を取ってしまうことに悩む方からのご相談です。
上の子をかわいいと思えない気持ちとどう向き合えばよいのか。臨床心理士が心の整理の仕方や接し方のヒントをお伝えします。
2人目が産まれてから上の子にイライラしてしまいます。「上の子かわいくない症候群」というものがあると妊娠中に知っていましたが、自分には関係ないと思っていました。ですが、下の子が産まれ、段々と上の子にイライラが募ってつい冷たい態度を取ったり、怒鳴ったりしてしまいます。
特に赤ちゃん返りなどはなく、授乳中に構って欲しそうにするだけなのですが、下の子にいじわるする姿を見るとこちらが爆発してしまいます。本当は遊びたいだけなのだろうと上の子の気持ちを考えると後悔してばかりの日々です。
毎日寝る前に「大好きだよ」と伝えているのですが、全くそう思えなくて、心無いままに伝えるのがいいのか、本当に辛いです。あんなにかわいかったのにどうしたらいいのか分かりません。
いつか終わるのでしょうか。心からかわいいと思えるようになりますか?
よろしくお願いいたします。
(30代、女性、ハンドルネーム:瀬戸アスカ、職種:主婦)
最初に
ご相談を拝見しながら、胸が締めつけられるような思いになりました。
今、あなたが感じているのは、「上の子にイライラしてしまう罪悪感」「本当は大好きなのに心がついてこない苦しさ」そして「そんな自分が親として失格なのではないかという不安」ではないでしょうか。
よくここまで頑張ってきましたね。こんなにも揺れる心を抱えながら、毎日向き合い続けているあなたは、十分すぎるほど“お母さん”です。
「上の子がかわいく思えない」その苦しみの正体
「上の子かわいくない症候群」という言葉を使う人が一定数いるということは、きっと“多くの親が通る道”なのでしょう。
それでもその渦中にいると、「どうしてこんなにイライラするの?」「前みたいにかわいく思えない」と、自分を責めてしまいますよね。
それは、“下の子がかわいいから上の子がかわいくない”のではなく、“親であるあなたが今、ものすごく疲れている”からなのです。
育児という大仕事を毎日、感情と体力のギリギリでこなしていると、「かわいい」「好き」という感情の余白さえ、削られてしまう時があります。
しかも、上の子は言葉が通じるぶん、期待も高くなりがち。でも実際には、まだまだ「赤ちゃん寄り」の存在でもあります。
あなたはダメな母親なんかじゃない。
むしろ、自分の感情としっかり向き合いながら、それでも「大好きだよ」と伝えようとする姿こそ、愛そのものです。
心からまた「かわいい」と思える日はきます
「いつかまた、心からかわいいと思えるようになりますか?」という切実な問い。
答えはYESです。ただ、そのためにはいくつかの“下準備”が必要かもしれません。
まず、「上の子が悪いからイライラしている」と考えるのではなく、「私がとても疲れているから、余裕がなくて上の子にイライラしてしまう」と置き換えてみましょう。
そうすることで、「どうすればこの子をもっとかわいく思えるか」ではなく、「どうすれば私がもう少し穏やかでいられるか」という問いに変わっていきます。
例えば、家事を手放す、授乳中に上の子を誰かに見てもらう、5分でもひとりになる時間をつくる――そういった“あなたの充電ポイント”を見つけることが、結果的に親子関係を温かくしていきます。
また、上の子に対して「いい子にさせよう」と思う気持ちが強いと、感情がこじれやすくなります。
「遊びたいだけ」「甘えたいだけ」と、頭では分かっていても、それを受け止めるのは至難の業。
でも、「この子なりに頑張ってるんだな」「ちょっと笑えるな」と、ほんの少し力を抜いて眺められる瞬間があると、関係はふっとやわらぎます。
産後の疲労でママの心も揺れるのは当然のこと
私がこれまで出会ってきた親御さんの中にも、下の子誕生後に上の子への感情が揺れる現象はよくみられました。
とくに、親が産後の疲労、ホルモン変化、睡眠不足、そして環境の急変にさらされるこの時期は、“上の子にやさしくできない自分”にショックを受ける方も少なくありません。
このような状態を回復するには、自分の状態を正しく理解し、必要に応じて休息や支援を得ることが大切です。
また、「上の子が下の子に意地悪する場面」は、嫉妬や不安の表れでもありますが、それ自体が“親の愛情を確かめたいサイン”とも言えます。
「下の子に触らないで!」と怒る代わりに、「今、○○くんもママに甘えたかったんだよね」と言葉にすることで、子どもの心がふっと落ち着くこともあります。
最後に
“心からかわいいと思える日”は、きっとまた訪れます。
今はその途中。だからこそ、自分を責めすぎず、「今日もよく頑張ったね、私」と、そっと声をかけてあげてください。
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