手首がズキズキ…産後腱鞘炎で授乳も抱っこもつらい【お悩み相談室】

子育て
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今回は、産後の腱鞘炎で手首に激痛があるものの、ワンオペ育児のため受診に迷っている20代女性からのご相談です。整形外科や鍼治療など、どこで治療を受けるのがよいかも悩まれているようです。

腱鞘炎の特徴や治療法、受診時に役立つアドバイスについて、助産師がお答えします。

産後1ヶ月ごろから手首が少しずつ痛みはじめ、今では抱っこや授乳のたびにズキッと刺すような痛みがあります。特に利き手の親指側の手首がつらくて、骨が飛び出して来ているような気もします。食器洗いなんて最悪です…ひねる動作が痛くて、食器を落とさないようにゆっくりしか洗えません(泣)
ネットで腱鞘炎の対処法をみても「やさしく動かす方がいい」や「固定して安静」など真逆の意見が多く、どれが正しいんだっ!ってなってます..。.
「病院に行っても安静にって言われるだけだろうし、ワンオペの育児中に安静なんて無理!」と受診せずにいましたが、子どもも4カ月になり着々と体重が増えてきているのでさすがに一度診てもらったほうがいいのかなと思いはじめました。
整形外科や整体、鍼など、どこへ行けばよいのかも悩ましいです。世のママたちは、どうやって腱鞘炎を乗り切っているのか教えて欲しいです。

(20代、女性、ハンドルネーム:ゆなな、職種:主婦)


最初に

ゆななさん ご相談ありがとうございます。
手首を動かすとズキッと刺すような痛みがある中で4か月のお子さんを育てていらっしゃるとのこと、抱っこや授乳、おむつ交換やお風呂など、お世話で手首に負担がかかることも多く、痛みを我慢しながら日々何とか過ごされている様子が想像できました。

お子さんの成長はとても喜ばしいことですが、さらに手首に負担がかかる…と今後に対する不安も感じておられるのですね。

今回は、産後・育児中に起こりやすい腱鞘炎についてお伝えし、今後のためにゆななさんがどうしたら良いのかを考えられるきっかけになれば幸いです。

産後ママが腱鞘炎になりやすい理由とは?

エストロゲンという女性ホルモンは、腱や腱鞘の弾力性・柔軟性を維持したり、関節を覆っている滑膜という組織の腫れを抑える働きがあります。
また同じく女性ホルモンのプロゲステロンは、腱鞘を収縮させる働きがあります。
そのため、女性は妊娠や出産、更年期といった女性ホルモンのバランスが変化するタイミングで腱鞘炎を起こしやすくなります
特に産後は、ホルモンバランスが乱れるのに加え、赤ちゃんの抱っこや授乳などで指や手首への負担が増すため、腱鞘炎に悩む人が多くなります。

腱鞘炎では、炎症が生じている部分に痛みや腫れ等が現れます。
手首の場合は、親指側の腱鞘が太くなり、腱との摩擦で痛みが現れる「ドケルバン病」があります。
手の内側に倒した親指を小指側に引っ張ってみて、親指の付け根付近の痛みが強くなれば(フィンケルシュタインテスト)、ドケルバン病の可能性があります。

すでに生活に支障をきたすほどの痛みを感じておられますし、骨が飛び出してきているような気もする、ということなので、骨に問題がないのかレントゲンなど画像検査を受けられた方が良いかと思いますので、整形外科の受診をご検討ください

痛みと上手に付き合うための治療と授乳中の薬のこと

腱鞘炎の場合、どのような治療を行うかは症状の程度によって異なりますが、一般的には痛みがある部分をシップやテープ、サポーターなどによって固定したり、痛み止めの服用などを行います。
症状がひどい場合は、腱鞘内にステロイドや局所麻酔剤を注射すると、症状が軽快することが大半です。

授乳中に薬を使っていいのかな…と不安になるかもしれませんが、腱鞘炎で一般的に処方される非ステロイド性消炎・鎮痛剤は、授乳中のお母さんが使用しても、赤ちゃんに影響が出るとは考えにくいとされています。

過度に心配して、お薬の使用を控え痛みを我慢し続けると、赤ちゃんのお世話をすることが今以上にツラくなってしまう可能性があります。
必要に応じてお薬を活用し、症状を改善できると、ゆななさんの日々の生活の中での苦痛も減るのではないかなと思いました。

もちろん、骨に異常がなく、整形外科の医師から許可があれば、整体や鍼治療などでの治療も並行されたら良いと思います。
腱鞘炎は使い過ぎが原因で起こるため、その負担をかばおうとすると他の部分にも負担がかかり、今度は他の部分が痛くなってくる場合もあるので、痛みのある部分だけでなく、身体全体を診て整えていくことは、ゆななさんが今後育児を続けていく中でも良いのではないかと思いました。

子連れ受診のコツと育児サポートの使い方

ワンオペ育児中ということなので、お子様を連れての受診になるかと思います。
事前に病院や治療院に待ち時間の少ない時間帯やベビールームなどがあるか問い合わせをしておかれると、ご自身にもお子様にも負担が少なくなるのではないかと思います。

また自治体の子育てサポートでは、一時預かりを行っている場合もあります。
そのような支援を活用しながら自分のための時間を設けるのも良いと思います。
ただし、事前登録が必要な場合が多いので、お住いの自治体のホームページや広報などでご確認下さいね。

最後に

乳幼児のお子さんを育てていると、自分のことは後回しにしたり、外出するにも躊躇することがありますよね。
でも、ゆななさんの負担が少しでも和らぎ、笑顔でお子さんに向き合えるよう、早めの整形外科の受診をお勧めします
頑張っているご自分を労わってあげてくださいね。

<参考文献・出典>

公益社団法人 日本整形外科学会
▶ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎):https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/de_quervain_disease.html

一般社団法人 日本臨床整形外科学会
▶狭窄性腱鞘炎(ドケルバン病):https://jcoa.gr.jp/%e7%8b%ad%e7%aa%84%e6%80%a7%e8%85%b1%e9%9e%98%e7%82%8e%ef%bc%88%e3%83%89%e3%82%b1%e3%83%ab%e3%83%90%e3%83%b3%e7%97%85%ef%bc%89/

<本記事の回答者>

谷村弥生

助産師/保健師/公認心理師

所属:株式会社ファミワン

産婦人科での様々な年齢層の方と関わっている勤務経験から、月経やホルモンバランスの乱れにより起こる症状や、病院受診を迷う症状、人に相談しにくいお悩みについて、あなたと一緒に考えていきます。もちろん心理的なお悩みも遠慮なくご相談ください。皆さんのフェムケアを応援したいと思っています。


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