娘は可愛いのに…育児で心がすり減り、1人になりたい…【お悩み相談室】

今回は、3歳半の娘さんを育てながら働く30代の女性からのご相談です。可愛いはずの娘に冷たくしてしまう自分に罪悪感があり、「1人の時間が欲しい」と思ってしまうことに苦しんでいるそうです。
育児と仕事に追われる毎日で心が疲れたとき、どう自分をいたわればいいのでしょうか。臨床心理士がやさしくアドバイスします。
子育てに自信が持てず、心が疲れてしまっています。3歳半の娘がいます。平日は5時に起きて家事と育児をし、18時まで保育園に預け仕事をし、夜は子どもが寝る21時頃に一緒に寝落ちするという生活の繰り返しです。コーヒーを飲んで一息つく時間は10分ほどありますが、気持ちが休まる時間を持てません。娘はとても可愛いのに、些細なことで苛立ってしまい、冷たい態度をとってしまう自分がいます。1人の時間が欲しいと強く思ってしまうのは、母親として失格でしょうか。誰にも話せず、苦しい気持ちを抱えています。似たような思いをされた方はいませんか。
(30代、女性、ハンドルネーム:chie、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
あなたの毎日の暮らしぶり、読みながら思わず「お疲れさま…!」とつぶやかずにはいられませんでした。
朝5時からノンストップで家事と育児、仕事、保育園お迎え、寝かしつけまで…それだけでもう、スタンディングオベーションを送りたいくらいです。
たった10分のコーヒータイム。それさえも、どこか頭の片隅で「次はあれをしなきゃ」と思いながら、心から休めていないのかもしれませんね。
「娘は可愛いのに、冷たくしてしまう自分がいる」と打ち明けてくださったこと――それは、あなたの中にたしかな“愛情”があるからこそ出てきた言葉なのだと思います。
愛しているからこそ、自分の態度に後悔する。
それは、決して「母親失格」なんかじゃありません。
むしろ、我が子のことを本気で大事に思っている証です。
本当は笑顔で子どもに向き合いたい。
でも、気づけばトゲトゲした言葉が出ている…そんな自分を責めてしまう毎日は、つらいですよね。
どうか、今のあなたに伝えさせてください。「十分にがんばってますよ」って。
「一人の時間がほしい」は母親失格じゃない
「一人の時間がほしいと思ってしまう私は母親失格でしょうか?」
…いえいえ、大丈夫です。それ、完全に“正常”です。
むしろ、「一人の時間がいらない母親」の方が、珍しいんじゃないかと思います。
子どもを育てるって、体力も気力もものすごく使いますよね。
特に3歳半の時期は、「自分でやりたい!」という気持ちが育つ一方で、感情のコントロールはまだ未熟。
親の忍耐力が試される時期でもあります。
だからこそ、「ひとりの時間を持ちたい」「休みたい」と感じることは、自然な反応なんです。
むしろ、そういう自分の声を無視して“理想の母”を演じ続けてしまう方が、心の疲れはどんどん蓄積していきます。
ちょっとでいいんです。
「今日の夕方はご飯を作るのを諦めてお惣菜にしよう」「娘が寝た後の30分だけ、スマホで動画を観て笑おう」そんな“わがままなジブン時間”が、次の日のあなたのエネルギーを補ってくれるかもしれません。
自分にやさしくする「セルフコンパッション」とは?
臨床心理の世界では、ネフという人が提唱した「セルフコンパッション(self-compassion)」という考え方があります。
簡単に言えば、“自分をねぎらい、許し、いたわる”という心の姿勢です。
セルフコンパッションを高めることで、育児ストレスや罪悪感が和らぐことが報告されています。
具体的には、こんなふうに心の中で声をかけてみてください。
「私は今、疲れている。イライラするのも無理はないよね」
「今日もちゃんとやった。十分がんばってる」
「“いい母”じゃなくて、“生きてる母”でいよう」
また、生活の中に少しでも「自分のための小さな喜び」を取り入れてみるのもおすすめです。
それは、高級スイーツじゃなくても、朝にほんの1分だけ深呼吸することでもいい。
自分の心を“養う時間”は、育児のためのガソリンでもあります。
最後に
もし、疲れが続いて抜け出せないと感じるようなら、誰かに頼っていいんです。
保育士さんでも、心理士でも、周囲の人でも。
子育ては、ひとりでするものじゃありません。
あなたは“失格”なんかじゃありません。
むしろ、子育ての本質に真剣に向き合っている、すばらしいお母さんです。
たまには、ちょっと逃げてもいい。休んでもいい。自分を責める代わりに、今日もここまでやってきた自分を、そっと抱きしめてあげてくださいね。
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