育児ノイローゼで手が出てしまう。孤独な育児のSOS【お悩み相談室】

子育て
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今回は、5歳の息子さんを育てる30代のシングルマザーの方からのご相談です。叱っても繰り返す行動にイライラが抑えられず、時に叩いてしまう。自己嫌悪と孤独感でいっぱいで、相談することにも抵抗があるとのこと。

つらい思いを抱えるママが「誰かに話してもいい」と思えるよう、心理士が優しく背中を押します。

育児ノイローゼかもしれないと感じて、ネットでセルフチェックをいくつか試したら、ほぼ全部当てはまりました。

5歳の息子は、やってはいけないことを何度言っても繰り返し、イライラが止まりません。私もカッとなってつい叩いてしまうこともあり、「ママごめんなさい!」と泣きじゃくる姿を見ては自己嫌悪の繰り返しです。市の育児支援などに相談したいのですが叩いてしまう虐待母だと思われるのも怖くて、相談できずじまいです。

シングルマザーなので頼れるのが私の母だけなのですが、母に相談しても「もうネガティブな話はやめて」と言われ、心のよりどころもありません

相談するにも泣きじゃくってしまいそうで、文字ならば…と思いこちらで相談させていただきました。

(30代、女性、ハンドルネーム:ゆーまま、職種:販売・サービス)


最初に

「ママごめんなさい」と泣くわが子の姿を前に、自分も泣きたくなってしまう夜。

頭ではわかっているのに、感情のブレーキが効かなくなってしまう――そのつらさを抱えながらも、あなたは今日まで、毎日ごはんを作って、洗濯して、送り迎えをして、働いて、そして今日、こうして相談という一歩を踏み出してくださいました

どれほどの覚悟が必要だったか、想像しています。

虐待母だと思われるのが怖くて」と書かれていましたね。

その言葉に、あなたがどれだけ孤独と罪悪感にさいなまれているかがにじんでいました

でも、ここにひとつ、はっきりお伝えさせてください。

あなたは、子どもを大切に思っているお母さんです

たとえ手が出てしまったとしても、「どうにかしたい」「誰かに話したい」と思っている時点で、あなたの中には子どもへの想いがあります

その証拠に、息子さんの「ごめんなさい」が、あなたの胸を深くえぐるのですよね

自分を責めすぎるくらい、彼の心を想っている。

それって、誰にでもできることじゃありません。


”あなたの味方はちゃんといる”相談をためらわないで

人はよく「子どものために頑張ろう」と言いますよね。

でも、頑張るって何なんでしょう。

実は“がんばりすぎないこと”こそが、子どもを守る力になります。

「もう少しゆるめに、壊れない母でいること」を、これから目指してもいいのかもしれません。

たとえば、思いきって「相談する」こと

これは、子どもを想っているからこそできる、大きな一歩です。

市の育児支援や子育て支援センターには、あなたと同じように「叩いてしまうことがある」と悩んでいる人がたくさん訪れています

「虐待母」と決めつけるどころか、「ここに来てくれてありがとう」と迎えてくれる専門家もいます。

私も、以前、虐待相談をお受けする機関でお仕事をしていました。

あなたのように、「子どもを叱ってしまう」「叩いてしまった」「また子どもを叩いちゃったらどうしよう」と、泣きながらSOSをくださる親御さんが毎日たくさんいました

私はそんなとき、いつも思っていました。

勇気を出して相談してくれてありがとう

今まで本当に大変でしたね

こうして相談してくれたから、一緒に解決策を探すことができるんですよ”って。

ですから、どうか誰かに打ち明けることをためらわないでください

あなたの味方が、ちゃんといますよ。

もし言葉で話すのがむずかしいときは、「紙に書いて渡す」や「オンラインで相談する」といった方法もあります。

涙が出るのは、あなたが限界までがんばってきた証拠です。

誰かの前で泣くことは、弱さではありません

むしろ、傷ついた心がちゃんと生きているというサインです。

まずは”安心できる場所”を確保することから

子どもにイライラしてしまうのは、性格や努力不足ではありません

特に、ワンオペ育児は脳にとって「常に緊急事態」のような状態をつくります。

まるで毎日火事場のようなところで、コーヒー1杯の休憩もなしに過ごしているようなもの。それで冷静でいろ、というのは無理があるというものです。

だからこそ、まずは自分の“安心できる居場所”を確保することが大切です。

市区町村の子育て支援センターでは、母子の安全と安心を守ることを第一に支援しています。

叩いてしまったことがあっても、あなたが支援を求めれば、きっと「遅くない」と受け止めてくれます

そして、専門家のカウンセリングを受けることも選択肢に入れてみてください。

叩いてしまう場面を一緒に振り返り、「どんなときにイライラが高まるのか」「どうすればその前に気づけるか」を考えるだけで、次の一歩が見えてくることもあります。

子育て支援センターには、そうした専門家と話せる場を用意しているところも多いです。

最後に

最後にもう一度。あなたの言葉を読んで胸が熱くなりました。

「相談するにも泣きじゃくってしまいそうで」と書いてくださったあなたに、お伝えしたいです。

想いっきり泣きじゃくるためにも、どうか相談に来てくださいあなたは、決してひとりじゃありません


<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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