「いつ終わるか」が見えないからこそツライ育児。だからこそ「明るい育児」を発信【体験談インタビュー】
目次
漫画を描き始めたきっかけは、姉が作っていた「育児新聞」
――chiikoさんが漫画やエッセイを書き始めたきっかけを教えてください
私には少し年の離れた姉がいて、姉が出産・子育てをする中で「育児新聞」という手作りの新聞を作っていました。デジカメで撮った写真をコンビニで印刷して、それを切って紙に貼り、日々の育児の様子を新聞風にまとめるというものでした。
その育児新聞は、家族で見て楽しむだけでなく、子どもが大きくなってから読み返して「このとき、こんなことしてたんだ!」と笑ったり、姉自身も育児を振り返る記録として大切にしていて、とても印象に残っています。
私自身もいつか同じように、子どもに「昔はこうだったんだよ」と振り返る記録を残したいなと思っていました。
――SNSでご自身の作品を発信しようと思ったきっかけは、何かあったのでしょうか
もともと絵を描くのは好きでしたが、投稿したり、不特定多数の人に見てもらう経験はありませんでした。
そんな中、なぜか「私、ギャグを描くのが得意かも」と思い、試しにSNSに投稿してみたら「おもしろい!」と反響をいただいて。「おもしろさが伝わってる!」「ちゃんと作品として成立してる!」と実感できたことで、自信がつきました。共感の声をいただけたのもすごく嬉しくて、そこからどんどん投稿するようになりましたね。
――育児絵日記に限らず、活動の幅を広げられているchiikoさんですが、継続の原動力はどこにあるのでしょうか
やはり、フォロワーさんに読んでいただいてるということが原動力になっていると日々実感しています。
元々飽き性で、新しいことを初めては飽きてを繰り返してきましたが、たくさんの方に読んでいただき感想やいいねをもらい、イラストやクッキー、マジパンなどで作ったファンアート作品を送ってくださった方もいて…抱えきれないほどの幸せな気持ちをたくさんのフォロワーさんに与えていただきました。
飽き性の私が、読んでもらいたいという一心でもう7年も続けられているのはフォロワーさんのお陰に他ならないかと思います。
また、ある育児エッセイストの方との出会いも大きく影響しています。
その方の作品は妊娠中からずっと大好きで読んでいました。ふと思い立って、その方のサイン会と握手会に参加し、「私も育児漫画を描いていて、いつか有名になります!」と勢いで宣言してしまって。そこからご縁が続き、今でも仲良くさせていただいています。あのとき勇気を出して会いに行ったからこそ、今の活動につながっていると感じています。
読んでくださる方のためにも、あの日宣言した私のためにも、ずっと描き続けていきたいです。
――最近では、chiikoさんご自身もイベントを開催されていますよね
はい。読者の方と直接お会いする機会は、自分にとっても大きな喜びであり、刺激にもなっています。
「ずっとファンでした」と涙を流してくださる方もいて、直接感想をいただけることのありがたさを実感します。こうした出会いは、何事にも代えがたい宝物ですね。
一番バズったのは「膝」!?心に響く作品の裏側
――chiikoさんの漫画は読むと明るい気持ちになります。息子さんとの日常の一コマには共感する方も多いと思います。特に反響が大きかった作品はありますか
いくつかあるのですが、大きく分けると「ギャグでバズった話」と「泣ける話でバズった話」の2パターンがあります。
フォロワーさんが一気に増えるきっかけになったのは「空耳」の漫画です。息子が1歳半くらいで、まだ言葉にならない時期に、私が空耳で聞こえた言葉に反応するといった内容です。
「コチュジャン」や「収賄(しゅうわい)」など、息子がそんな単語を知っているはずもないのに、そう聞こえるエピソードが大きな反響を呼びました。


chiikoさんのX(@gumamasan1)より引用
泣ける話の方は「卒乳」の漫画です。卒乳のときの記録を描いたもので、今でも多くの方に読んでいただいています。
でも、実は過去いちばん反響があったのは「膝」という漫画なんです。
息子が2歳くらいのとき、私が疲れて布団に倒れ込んだら、横で息子クスクス笑いながら「ママ、今すごいおもしろい顔してたよ」って言うんです。「どんな顔?」と聞いたら、「膝みたい!」って。
普通に聞いたらちょっと失礼な言葉なんですが、息子の悪気のない表現が本当におもしろくて。この漫画をきっかけに、友達のお母さんからも「あの膝の子」という認識で覚えていただきました。
2人育児のギャップと授乳の苦しみ。「自分を一番大切に」
――chiikoさんは2人の男の子のママでいらっしゃいますが、子育てで特に大変だったことはありますか
次男が生まれて、「兄弟ってここまで違うの!?」と驚きの連続でした。
長男は穏やかでおとなしい性格だったのに対し、次男はその真逆。とても活動的で力も強く、まさに「ザ・男の子」という感じでした。
手の届かないところに置いていた薬を棚をよじ登って口に入れてしまったり、気づいたら洗面台の中にすっぽり座っていたり……。長男がやらなかったようないたずらは一通り経験させてもらいました。
さらに大変だったのが授乳です。もともと母乳が出すぎる体質で、飲ませないと胸が張ったり乳腺炎になってしまうため、こまめに授乳か搾乳をする必要がありました。
でも次男は赤ちゃんの頃から力が強く、吸う力もとても強くて、傷んだ乳首をぎゅうぎゅう吸われるたびに涙が出るほど痛いんですよね。毎回痛みに耐えながら授乳していました。
そんな次男も、今では「ママ大好き」「ママはプリンセス」と毎日言ってくれる、すっかりママっ子になりました。長男とのギャップに悩んで気持ちがしんどくなる時期もありましたが、今では子どもの言葉に救われています。「しんどい」で終わらなくてよかったなと感じています。
――同じように、育児の真っ只中で悩んでいるママたちにメッセージをいただけますか
「いつか終わるよ」とよく言われますが、その“いつか”が見えないからこそ、つらいんですよね。
だからこそ、まずはママ自身の体と心を一番大切にしてほしいと思います。子どもや家族ももちろん大事ですが、「自分はどうしたいか」という気持ちを置き去りにしないでほしいです。
「贅沢かな」なんて思わずに、欲しいものを買ったり、食べたいものを食べたり。自分にご褒美をあげながら、その時期を少しでも楽しく乗り越えてほしいなと思います。
リフレッシュの秘訣は「自分の楽しみを見つけること」
――最後に、chiikoさんのリフレッシュ方法を教えてください
「自分の楽しみを見つけること」そのものが、私にとってのリフレッシュになっています。
今は、あるアイドルグループのメンバーにはまっていて、「推し活」が日々の楽しみです。グッズを買うときには、「ああ、これは大好きな人の糧になるのか!私が食費を払ってあげているんだ、うれしいな〜」って思いながら(笑)、推しにお金を使うことも楽しみのひとつにしています。
「これをしたら楽しい」「これを食べたい」といった小さな目標を日常の中に見つけて、それを励みに頑張る、そんな時間が一番のリフレッシュになっていますね。
(取材:2025年10月)
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