4歳児のいびきが大きくて不安…受診する目安を教えて【お悩み相談室】
今回は、4歳のお子さんのいびきについて、夫婦で感じ方が違い「受診したほうがいいの？」と迷っている30代の女性からご相談をいただきました。
毎日ではないものの、赤ちゃんの頃から寝息が大きいことがあり、どの程度気にすべきか悩んでいるとのことです。
子どものいびきの原因や、受診の目安について看護師がお答えします。
夫が「4歳の子のいびきが気になって眠れない」と言います。
私は熟睡タイプなので全然気づかず、そんなにひどいの？と驚きました。
思い返せば、赤ちゃんのころから寝息が大きいときはあった気がします。
でも毎日ではないし、風邪のときとか疲れてる日だけじゃないかなと、そこまで深刻に考えていませんでした。
夫は「いびきは熟睡できてない証拠だから診てもらった方がいい」と言うのですが、私は正直、少し大げさかなとも思ってしまって…。
子どものいびきって、どの程度なら心配した方がいいんでしょうか。
（30代、女性、ハンドルネーム：ぴっつ店員、職種：主婦）
目次
最初に
ぴっつ店員さん、ご相談ありがとうございます。
お子さんのいびきについて、夫婦間での感じ方が違い、「え、そんなに？」という驚きや、「気にしすぎじゃない？」という感覚、すごく自然なことだと思います。
毎日一緒に過ごしているからこそ、変化に気づきにくいこともありますよね。
特に育児は、正解がわからないことばかりで、情報も幅広いと思いますので一緒に考えていけたらと思います。
いびきは異常？まずは判断の材料をそろえるところから
いびきは異常なのか？どこに相談すればいいの？などと揺れるお気持ち、すごく大切な視点だと思います。
また受診を判断する材料を整理することで気持ちも軽くなると思います。
焦らずに情報を整理しながら、少しずつ何を観察できるか、どんな対応があるか、を知っていけたらと思います。
子どものいびきに多い4つの原因
子どものいびきは成長の途中でよく見られるものではありますが、原因がはっきりしていることも多く、気づくことで改善につながる場合があります。
主な原因は、
①鼻の問題
②喉（アデノイド・扁桃）の問題
③舌や口の発達
④生活環境や睡眠姿勢 などが関係します。
いびきの背景にある体のメカニズムとは？
鼻の問題
まず最も多い原因として、鼻づまりや鼻炎があります。
アレルギー性鼻炎・風邪・副鼻腔炎・鼻水が続く状態などで鼻が通りにくくなると、口呼吸になりやすく、それがいびきにつながります。
鼻づまりや鼻炎が原因ですと、ご家庭でできる簡単な対策があります。
・加湿で鼻の通りをよくする（部屋干しや加湿器の使用）
・布団の掃除や空気清浄機などアレルゲン対策
・枕や寝姿勢を調整する
喉の問題
次に、アデノイドや扁桃が大きいこともいびきの原因になります。
特に6歳頃までは成長に伴い一時的に大きくなりやすく、喉の空気の通り道が狭くなることで、大きないびきや無呼吸、寝相の悪さ、日中の口呼吸などがみられることがあります。
この場合、強いいびきや息が止まるように見える症状があれば耳鼻科の受診が推奨されます。
舌や口の発達
また、舌の位置や口の発達の問題も影響します。
まだ筋力が弱い子どもは、睡眠中に舌が後ろに落ち込む（舌根沈下）ことで気道が狭くなり、いびきが出ることがあります。
口呼吸の癖、顎や歯列の発達不足、舌小帯が短い場合などが関連することがあります。
生活環境や睡眠姿勢
そのほか、肥満傾向や首まわりの脂肪、枕の高さ、寝る姿勢など生活環境が原因になることもあります。
特に、顎が上がる姿勢は舌が落ちやすく、いびきを助長しやすくなります。
ただし風邪やアレルギー症状のある時期だけ強くなるいびきは、一時的なものとして自然に改善する場合もあります。
受診をおすすめする判断サインは？
次のような様子がある場合は、耳鼻科や小児科に相談をおすすめします。
・いびきが 3週間以上続いている
・呼吸が止まるように見える
・日中眠そう・集中力が続かない
・口呼吸が習慣化している
・寝相が悪い・座るように寝る
また、受診される際は、いびきの様子を動画で記録しておくことをおすすめしています。
診察室では再現が難しい、いびきの大きさ・呼吸のリズム・無呼吸の有無などを確認でき、診断の参考になります。
最後に
子どものいびきは珍しいことではありませんが、中には治療や早めの対応が必要な場合があります。
原因を知り、睡眠環境を整えたり必要に応じて受診することで、睡眠の質・成長・集中力・発達などにも良い影響があります。
ぴっつ店員さんが気づいたタイミングで動こうとされている姿勢は、お子さんにとっても安心材料になります。
焦らずゆっくり判断していきましょうね。
＜参考文献・出典＞
公益財団法人 日本小児科学会
▶睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020：https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
▶子どものみみ・はな・のどの病気：https://www.jibika.or.jp/modules/disease_kids/index.php?content_id=22
＜本記事の回答者＞
三次救急、二次救急の病院にて主に小児看護を経験しました。疾患だけを見るのではなく、発達段階や生活背景、保護者の思いを含めて支援していくことが小児看護の大切さだと感じています。みなさまの心に寄り添い、妊娠から出産、育児のサポートをして参ります。
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