「やって当たり前」のプレッシャーがつらい。男性育児の疲れを癒やし、夫婦で楽になるためには【お悩み相談室】

子育て
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今回は、1歳の育児に全力で向き合いながらも、妻からの指摘や社会の無理解に「頑張っても報われない」と孤独を深めている30代男性からのご相談です。
ノイローゼになりそうなほど自分を追い詰めてしまう、優しいパパの葛藤に寄り添います。

育児の重圧を分かち合う対話のコツや、自分を認めて心を楽にする方法について公認心理師がアドバイスします。

1歳の息子の育児を、妻とできるだけ協力してやっているつもりです。夜泣きも交代で見ているし、おむつ替えや寝かしつけもやっています。

でも妻からは「私ばっかり」と言われたり、「もうちょっと考えて」と注意されることが多くて…。

職場でも「偉いね」と言われつつも、どこか本気で育児してると見てもらえてない感じがしますし、SNSを見ててもまだまだ男性育児は風当たりが強いみたいで、正直しんどいです。

頑張っても足りない気がして、ノイローゼになりそうです。どうすれば気持ちが楽になるのか知りたいです。

(30代、男性、ハンドルネーム:YOU、職種:IT・エンジニア)


最初に

YOUさん、1歳のお子さんの育児、本当におつかれさまです。
夜泣きの対応やおむつ替え、寝かしつけ。これらを仕事と並行して続けていくのは、想像以上にハードなことです。

「できるだけやっているのに、“私ばっかり”と言われる」「頑張っても認めてもらえない」。
その徒労感や虚しさ、痛いほど伝わってきました。
周囲から「偉いね」と言われても、そこに当事者としての敬意が感じられないと、むしろ孤独が深まることもありますよね。
ましてやSNSでは「イクメンなんて言葉、もう古い」と言われつつ、実際の現場ではまだ偏見も根強い。
そんなギャップの中で、心が摩耗していくのも当然だと思います。

YOUさんはきっと、「ちゃんと支え合いたい」「対等なパートナーでいたい」という思いを持てている方なのだと思います
それでも、頑張っても満たされない——そんなとき、人は自分を責めがちです。
でも、それは“努力が足りないから”ではなく、“見えない部分が伝わりにくい社会構造の問題”でもあるんです。

「妻との温度差=失敗」じゃない。お互いの「分かってほしい」と願う心理

まずは、「妻との温度差=失敗」ではないと考えてみてください。
家庭の中で“育児の重み”を同じように感じるのは、実はとても難しいことです。

妻の「私ばっかり」という言葉の裏には、「頭の中がずっと子ども中心で、気が休まらない」という切実さがあるかもしれません
一方でYOUさんも、「できることはやってるのに、どうして伝わらないんだ」という無力感がある。
これは、お互いが「分かってほしい」と願っている状態のように見えます。

夫婦を「共同チーム」にするためのコミュニケーション

話し合いのときは、「もっと手伝ってよ」「いや、やってるよ」という水掛け論になる前に、
「自分はこう感じてる」「どうすればお互いに楽になれると思う?」と、“共同の課題”として扱うのがポイントです。

たとえば、「寝かしつけのあと、片方が洗い物をしてる間にもう片方が休む」といった“小さなルール”を一緒に決めてみる。
この“小さな合意”の積み重ねが、結果的に信頼を育てていきます


また、「認めてもらえない」つらさを軽くするために、評価の軸を“外”から“内”に戻す工夫も有効です。

「今日も泣かずに寝かしつけできた」「妻が少し笑顔になった」

——そうした小さな達成を、自分でちゃんとカウントしてあげてください
人は“承認の貯金”が増えると、心の余裕が戻ってきます


そして、夫婦でお互いに労う時間を週に5分でもいいから持つこと。

「〇〇してくれてありがとう」「昨日、~~してくれたよね。助かったよ」

それだけを伝え合う「褒め褒めタイム」を作ってみてください。
慌ただしい日々の中でなかなかゆっくり伝えられないポジティブな気持ちを、ふたりで言葉にしてみてくださいね

男性育児を巡る社会の過渡期の痛み

最近では男性の育児負担が増える一方で、社会の支援や文化の変化が追いついていないことが指摘されています
「やって当たり前」「でも完璧にやらないと叩かれる」というプレッシャーが、男性にも強くのしかかっています。
つまり、YOUさんが感じている“しんどさ”は、個人の弱さではなく、社会全体の過渡期にいるがゆえの痛みとも言えます


もし疲れが強いときは、無理に前向きになろうとせず、「疲れてる自分を許す」時間をとってください

お風呂で数分間、スマホを見ずにぼーっとする。
通勤中に音楽を聴く。

そんな小さな心のスキマ時間が、精神的なリセットになります。

育児は、目に見える作業だけではなく、気持ちのすり合わせや先読みなど、目に見えない部分のエネルギーを多く使います。
だからこそ、「ノイローゼになりそう」と感じた時点で、すでにそれだけ頑張っている証拠
自分を責めるのではなく、「ここまでよくやってきた」と声をかけてあげてください

最後に

育児は“妻を手伝う”ことではなく、“子どもと一緒に育つ”プロセスです。

社会が変わるスピードはまだ遅いけれど、YOUさんのように真正面から向き合う男性がいることが、確実に次の世代の希望につながっていきます。

今がんばっていることを、どうぞ誇ってくださいね


<本記事の回答者>

戸田さやか

公認心理師/臨床心理士/生殖心理カウンセラー/がん・生殖医療専門心理士/ブリーフセラピストシニア

所属:株式会社ファミワン

「妊活や性の悩み、子育てや働き方のことまで、「誰に相談していいかわからない」テーマも歓迎しています。どんな内容でも大丈夫。安心してご相談ください。臨床心理学の確かな知識と技術を活かし、原因探しや悪者探しではなく、あなたにとってのゴールを発見するお手伝いをさせてください。」


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