夫婦円満は「共感の分散」が鍵!?心理師×漫画家・白目みさえさん流「夫に期待しすぎない」心の整え方【体験談インタビュー】
今回は、心理師として働きながら、育児漫画で多くの共感を集める白目みさえさんのインタビューです。多忙な日々の中で、いかにして自分を保ち、夫婦関係を築いてきたのかお聞きしました。
目次
インスタ開設のきっかけは「同僚へのエール」
――白目さんが漫画を描き始めるきっかけを教えてください
きっかけは、職場の同僚へのちょっとした「応援」でした。
私が2人目の産休明けで職場に戻ったとき、入れ替わりで1人目の産休に入る同僚がいました。
初めての育児はきっとしんどいだろうなと思い、我が家の日常をイラストにして彼女に送り始めました。
口いっぱいにおもちゃを詰め込む子どもの姿や、ママのスカートを引きずる様子。
「いずれこんな面白いことも起きるよ」というメッセージを込めていました。
それを見た彼女から「インスタに投稿してみたら?」と勧められたことが、すべてのはじまりです。
投稿を続けるうちに、多くの方から「うちと同じ人もいるんだと救われました」と言っていただけるようになり、「しんどいのは私だけじゃない、みんな同じことがあるんだ、と思えることこそが育児の中では必要なことなんだ」と確信しました。
――特に反応があった作品を教えてください
「キッチンにお供物は不要です」というカルタ風の作品には、多くの反響をいただきました。
夫がビールの空き缶を洗わずにどんどん並べていく日常を、「お供え物か!」とツッコミを入れて描いたものです。

白目みさえさんインスタ<白目カルタ>より引用
――白目さんの作品は、どんなにネガティブな状況でも最後は笑ってしまいます。そのユーモアの源泉はどこにあるのですか
家事や育児のネガティブな不満を「エンターテインメント」に昇華させているのは、大阪出身の先輩からの教えがあったからです。
私は元々関西出身ではありません。現在の住まいである関西の先輩から、「愚痴は面白く言わないとダメ。面白くないと人は聞いてくれないし、笑かしてなんぼや」と叩き込まれました。
この言葉が、今の私のスタイルを形作っています。
愚痴はそのまま出すと、ただのネガティブな不満で終わってしまいます。
でも、それを「いかに面白く変換するか」という視点を持つことで、自分自身のイライラも「ネタ」として客観視できるようになりました。
「俺じゃないし」と割り切る夫。無許可で始めた漫画が夫婦円満の鍵に
――作品には夫さんも多く登場しますが、ご本人の反応はいかがですか
驚くことに、夫は「これ、俺じゃないし」というスタンスで、まったく気にしていません。
作品ではデフォルメもしていませんし、実物を知る人が見れば「そのまんまやん」と言うほどそっくりなんです。でも、夫の中では「漫画の中のキャラクターとしての自分」と割り切っているようで、「ネットの人に何を言われても知り合いじゃないし」と平気な様子です。
本当はよくないのですが、イラストということもあり実は最初は夫に無許可でSNSへの投稿を始めました。
私自身SNSに疎くて、当初は知り合いしか見ていないと思い込んでいたのですが、知らない方からコメントが来るようになって初めて「全世界に公開されている」と気づきました(笑)。
その後、夫に打ち明けた時、最初は「俺、めっちゃ責められてるやん」と少し戸惑っていました。
でも「でもフォロワーさんが1000人も見てくれてるねん」と伝えた途端、態度が一変。「え、すごいやん! 仕事になったりするんちゃう? 続けたらいいやん」と言ってくれたんです。
自分の悪口が書かれていることよりも、「多くの人に見てもらえている事実」や「仕事になる可能性」に目を向けてくれたおかげで、活動を続けることができました。
あのポジティブさには、本当に感謝しています。
――漫画を描くことが、夫婦関係に良い影響を与えているのですね
そうですね。逆説的ですが「漫画に描いているからこそ仲が良い」のだと思います。
もし私が、漫画に描いているような不満を夫本人に直接ぶつけ続けていたら、喧嘩が絶えず、それこそ離婚の危機になっていたかもしれません。
でも、夫への不満を「ネタ」として昇華し、SNSの向こうにいる誰かに共感してもらうことで、私自身のガス抜きができています。
夫婦だからといって、すべての悩みを共有して同じ気持ちになるのは無理があると思います。
夫とは、子供の成長など、共有できる喜びを分かち合う。
SNSでは、 夫には理解されない家事や育児の愚痴をこぼして共感してもらう。
共感先を分けると割り切ってからは、夫に過度な期待をしなくなり、結果として仲良く過ごせるようになりました。


白目をむきながら奮闘するママの姿を描いた、白目さんの共感必至の“育児あるある”マンガ
引用(抜粋):子育てしたら白目になりました(出版社:KADOKAWA | 著者:白目 みさえ)
(ダ・ヴィンチWebで連載中)
家事ゼロの夫を変えたのは、涙ではなく「プレゼン資料」
――お互いフルタイムでお仕事をされている中で、どのように家事分担をされているのでしょうか
今でこそ朝の家事を担当してくれる夫ですが、かつては家事負担ゼロからのスタートでした。
義母が専業主婦だったこともあり、「家にいる女性が家事をするもの」という環境で育った彼は、私がフルタイムで働いていても、悪気なく家事を任せきりにしていました。
当時はそれが原因で大喧嘩を繰り返し、離婚の危機すらありました。
転機となったのは私が過労で倒れ、救急車で運ばれたことです。
そこで初めて強制的にワンオペを経験した彼に、私は「家事分担会議」を申し込みました。
この時意識したのは、感情に訴えるのではなく「仕事モード」で交渉することでした。
「今のままでは時間がなく、夢だった漫画家を辞めなければなりません」
と切り出し、事前に作成したレジュメを提示しました。
具体的には、まず家庭内のすべての家事を書き出してリスト化し、どれだけの業務量があるのかを可視化しました。
その上で「本日の会議は1時間を予定しています」とあえて終了時間を宣言し、ダラダラと感情的になるのを防ぎました。
話し合いの中では、妻として不満を訴えるのではなく、あくまで仕事のタスクを振り分けるように淡々と進めることで、建設的な合意形成を図ったのです。
会議の中で実際のタイムスケジュールを見て私に余力がない事実がわかり、「夢を諦めさせたら一生恨まれる」と察した夫は協力を申し出てくれ、今では朝の家事を一手に引き受けてくれています。
うちの夫の場合、私の不満を理解してもらうより、ビジネスライクな交渉の方が響いたようでした。お互いに仕事スイッチを入れて話し合ったことが、夫を頼れる戦力へと変える一番の近道でした。
「1対1」は誰だってしんどい。頼り先を「分散」させてみて
――夫婦関係で悩まれている方へメッセージをお願いします
夫婦関係に悩んでいる方にぜひ一度立ち止まって考えていただきたいのが、「それは絶対に”夫に”やってほしいことなのか?」それとも「誰でもいいから助けてほしいことなのか?」という点です。
心理師の視点から見ても、誰かと1対1で向き合い続けるというのは、逃げ場がなく非常にエネルギーを消耗する作業と言われています。
カウンセリングの現場においても、相談者の緊張を和らげるために、相談者とカウンセラーの間に花や物を置くことがあります。
相手と自分だけに向き合って話し合う空間というのは、それだけで大変なことなのです。
だからこそ、夫婦という密室ですべての感情やタスクを共有しようとすれば、息苦しくなってしまうのは当然のことかもしれません。
決してパートナーを見限るわけではなく、あくまで円満に過ごすための「役割分担」だと捉え直してみてください。
たとえば、気持ちの共感は友人に。
子どもの相談は実母に。
買い物はまた別の友人と。
誰にも言えないモヤモヤはSNSで。
そうやって意識的にパートナー以外にも頼れる先を分散させる。
そうすることで、過度な期待や負担が減り、結果としてパートナーとも程よい距離感で笑い合えるようになるのではないでしょうか。
自分の時間は「スケジュール化」して確保する
――白目さんのリフレッシュ方法を教えてください
私のリフレッシュ法は「1人カラオケ」や「漫画の一気読み」です。ポイントは徹底して1人になること
子育て中、自分の時間は待っていても絶対に生まれません。偶然時間が空いても「家のことをやらなきゃ」と罪悪感が出てしまうので、あらかじめ「この2時間は遊ぶ!」とスケジュールに組み込んでしまうのがコツです。
休みの日に限って子どもが熱を出す…なんてトラブルも日常茶飯事ですが(笑)、確保した時間は全力で遊び倒して、自分の機嫌を取るようにしています。
(取材:2026年1月)
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