インフルエンザの予防接種、ワンオペの中でも受けるべき?保育園の洗礼で仕事をこれ以上休めません【小児科看護師監修:お悩み相談室】
今回は、復職後に続く子どもの感染症で有休消化が進み、ワンオペ状態の中でインフルエンザ流行期の欠勤リスクを感じている30代女性からのご相談です。
「予防接種してもかかるときはかかる」という情報から、子どもを2回も病院に連れていく負担の中で予防接種を受けるかどうか悩んでいらっしゃいます。
インフルエンザの予防接種をどうするか、ご家庭の状況や負担も含めて考える要因として、インフルエンザワクチンの本質である「重症化・合併症予防」と発症予防効果を解説。
他の予防接種との同時接種や、予防接種枠の活用、フルミストを検討することについて、小児科看護師の視点からお答えします。
この春に仕事復帰し、2歳の子どもを今年から保育園に入園させました。 私には日曜しか休みがなく、しかもひとりで家事育児をまわすワンオペ状態なのですが、入園してからの数ヶ月間、子どもが次から次へと感染症をもらってきてしまい、すでに有給休暇を使い果たしそうな勢いで仕事を休んでいます。
(子どもの回復が早いのは助かりますが、元気な子供を家でみる出席停止期間がつらい)
これがよく聞く「保育園の洗礼なのか」と思いつつも、流石にこれ以上は職場に迷惑をかけたくないと精神的にまいっています。
そんな中、これから流行期を迎えるインフルエンザへの恐怖でいっぱいです。
実は、私自身はこれまで一度もインフルエンザの予防接種を受けたことがなく、子どもにも受けさせたことがありません。
「接種してもかかるときはかかる」という話も聞きますし、子どもを病院へ連れて行って2回も痛い注射を受けさせる負担(ワンオペで連れて行く時間的ハードさも含め)を考えると、そこまですべきなのか迷ってしまいます。
もし感染して長期間仕事を休むことになったら、と思うとそれも恐怖です。
仕事を休む確率が下がるよう、インフルエンザの予防接種は親子で受けておくべきでしょうか?
接種することで「感染率」や「休む期間(重症化予防)」にどのくらいのメリットがあるのかも含めて教えていただきたいです。
(30代、女性、ハンドルネーム:みみ、職種:販売・サービス)
最初に
みみさん、ご相談ありがとうございます。
この春から環境が大きく変わる中で、お子さんの体調不良が続き、そのたびに仕事を調整しながら看病をされてきたのですね。
保育園に入園すると、風邪や胃腸炎などの感染症に次々と罹ることと思います。
「これが保育園の洗礼なのかな」と思いながらも、何度も仕事を休まなければならない状況になると、「職場に申し訳ない」「この先どうなってしまうのだろう」と不安やプレッシャーを感じてしまいますよね。
特に、みみさんは日曜日しかお休みがなく、家事や育児もほぼ一人で担っているとのこと。
お子さんが元気になった後も、出席停止期間のため自宅で過ごさなければならず、「元気なのに預けられない」「でも仕事には行かなければならない」という状況は、とてもつらいですよね。
そんな中で、インフルエンザの予防接種の必要性や、お子さんを連れて行く負担を考えながら迷われているのですね。
今回は、インフルエンザワクチンが親子にとってどのようなメリットがあるのか、一緒に考えていきたいと思います。
予防接種の役割は“かかった時の負担を軽くする”こと
みみさんの場合、「インフルエンザに絶対かからないようにしたい」というよりも、「感染する可能性を少しでも減らしたい」「感染した場合の重症化や長期間の休みにつながるリスクを減らしたい」というお気持ちが大きいのではないでしょうか。
インフルエンザワクチンは、接種したからといって感染を完全に防ぐものではありません。
しかし、大きな目的は感染した場合の重症化や合併症を防ぐことです。
「接種してもかかるなら意味がないのでは」と思われる方もいますが、予防接種は“かからないためだけ”ではなく、“かかった時の負担を軽くするため”という役割があります。
特に小さなお子さんでは、高熱による体力消耗や脱水、肺炎などに注意が必要で、まれではありますがインフルエンザ脳症などの重い合併症につながることもあります。
そのリスクを少しでも減らすことが大切です。
また、保育園に通うお子さんは感染症に触れる機会が多いため、お子さんだけでなく日常的に接するご家族も予防を考えることが、家庭内感染を減らす一つの方法になります。
インフルエンザワクチンと受診の負担について
インフルエンザワクチンは、その年に流行するウイルスの型などによって効果は変わりますが、発症予防や重症化予防が期待されています。(※)
日本小児科学会では、生後6か月以上のお子さんへのインフルエンザワクチン接種を推奨しています。(※)
また、13歳未満では一般的に2回接種が推奨されているため、流行が始まる前から計画的に予約することが大切です。(※)
「2回も病院へ連れて行くのが大変」というお気持ちは、ワンオペ育児をされているみみさんにとって、とても現実的な悩みだと思います。
小児科によっては予防接種専用の時間帯を設けていたり、他の予防接種と同時接種できたりする場合もありますので、負担を減らせる方法を相談してみてもよいでしょう。
なお、注射ではなく鼻に噴霧するタイプの「フルミスト」も選択肢の一つです。
接種回数は、通常1回です。
2歳以上19歳未満が対象となりますが、接種できるかどうかは、かかりつけの小児科で確認してみてください。
インフルエンザにかかった時の「出席停止期間」
インフルエンザに感染した場合、学校や保育園では「発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過するまで」は出席停止となります。(※)
熱が下がってもすぐに登園できず、自宅で見守る期間が必要になることがあります。
さらに、入院が必要になった場合には、お子さんの体調面だけでなく、付き添いや仕事の調整など、ご家庭への負担も大きくなります。
そのため、予防接種は「感染を完全に防ぐもの」ではありませんが、もしもの時の負担を少しでも減らすための備えの一つと考えられます。
最後に
これまで何度もお子さんの看病をしながら、お仕事との両立を続けてこられたみみさんは、それだけでも十分頑張ってこられたと思います。
予防接種を受けるかどうかは、ご家庭の状況や負担も含めて考えることが大切です。
毎日お子さんのことを考えながら、仕事や家庭を支えているみみさんご自身の体調も大切にしてください。
少しでも安心材料を増やし、お子さんと一緒に穏やかな保育園生活を送れることを願っています。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶インフルエンザ:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/infulenza/index.html
公益財団法人 日本小児科学会
▶インフルエンザワクチン:https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/VIS_B-13inhuruenza20241212.pdf
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