帰省が憂鬱で帰りたくない…「子どもはまだ?」への心を守るヒント【お悩み相談室】
今回は、帰省時にご親戚やご家族から「子どもはまだ?」と質問され、対応に困っていると30代女性からご相談をいただきました。笑顔で受け流すのも疲れ、実家へ帰りたくないとお悩みのようです。
嫌な帰省からあなたの心を守る方法について、心理支援を得意とする生殖心理カウンセラーがお答えします。
妊活をして3年目の30代夫婦です。年末年始の帰省が近づいてくるたびに憂鬱な気持ちが強まります。親戚や家族から「子どもはまだ?」と聞かれるのが本当につらいです。気まずい空気になるのも嫌なので、笑顔で受け答えするようにしていますが疲れます。「なんで私がこんなに気をつかわないといけないの?」とイライラするぐらいならまだいいのですが、ナイーブになっている時は泣きそうになってしまい、涙を堪えるのも大変です。実家にも、義実家へもできれば帰りたくありません。
「授かりものだから」となぐさめるように言われるのも、私には授かることはないのかな…と悲しくなります。年末年始を少しでもこころ穏やかに過ごせる方法があれば教えてください。
(30代、女性、ハンドルネーム:ふわふわ毛布、職種:事務・オフィスワーク)
帰省シーズンに響く「子どもはまだ?」の一言
ご相談ありがとうございます。ご夫婦で妊活をがんばっておられるのですね。
年末年始やお盆の帰省シーズンは、妊活をしている方にとって悩ましい時期です。
不妊治療が珍しくない選択肢になり、家族の在り方も多様化した今の時代に、「子どもはまだ?」なんて言ってくる方がいるのは私も心が痛みます。「まだ?」と聞かれても、いつになったら子どもを授かれるのか一番知りたいのはこっちだよ!と言いたくなってしまいますよね。
許されるなら、場の空気なんかそっちのけで「そういう発言ってデリカシーに欠けますよね。今時、職場でそんな発言をしたらプレ・マタニティハラスメントで訴えられますよ。万が一、私たちが子どもを授かりたくても授かれない事情があったらどう思われます?私たちには私たちの人生設計があってですね…くどくどくどくど…」と相手が平身低頭謝るまで論破したいものです。
でも、ふわふわ毛布さんは我慢して笑顔で受け流しておられるとのこと。とんでもない忍耐力を尊敬します。
あなたのおっしゃる通り、気を遣ってくれない不躾な方に対してあなたがそんなに気を遣う必要はないはずです。何なら「あなた、デリカシーをどこに落としてこられました!?」くらい言ってやっても……おっと、すみません、取り乱してしまいました。
帰省がイヤなら自分を守るエスケープを選んでもOK
帰省したくないと思われるなら、無理して行かなくても良いと思いますよ。風邪気味だからとか、それらしい理由をつけてパスしてしまいましょう。苦しくなる場所に行く必要はありません。自分の心を守るためにエスケープする。これは立派な戦略です。
私はこのような行動を「戦略的撤退」と呼んでいます。
帰省だけでなく、子連れの方が多い集まりや子育て中の同級生が多いグループチャットなどでも、参加するのがつらい場合は戦略的撤退をお勧めしています。
いつ言葉の矢が飛んでくるかわからない場所に行くより、安全なご自宅で気になっているドラマでもイッキ見している方がよっぽどメンタルヘルスに良いです。
帰省するならあなたの味方を増やすことを考えて
ただ、ご親族の中に、特に会いたい人がいるかもしれません。ご高齢の祖父母や実家のペット、近所に住んでいる昔の友人。そうした人がいるなら、会える時に会っておきたいですよね。
少しでも安心して帰省するために、帰省先にあなたの気持ちを理解してくれそうな人がいるなら、そっと打ち明けてみても良いかもしれません。
親やきょうだい、いとこ、はとこ、誰でも良いです。妊活していることは話さなくても、「子どもがいないことを話題にされるような、デリカシーのなさが居心地悪くて」とか、「私たち夫婦なりの考え方があるのに、興味本位で夫婦の事情に入り込まれるとつらくなっちゃうんだよね」といった伝え方もアリです。これは、もしものときの味方を増やすための戦略です。
何より、パートナーさんに帰省がつらいことをお話しできていると良いなと思いました。
もし帰省することになっても、親族から何か言われたときにどうやって話題をそらすか、どうやって受け流すか、といった作戦会議ができると心強いですよね。
どうか無理はせず、撤退や味方増やしなどの戦略も使いながら年末年始をお過ごしください。
回答者:生殖心理カウンセラー
都内不妊治療専門クリニックに勤務。性や不妊治療、カップル関係が専門で、カップル・家族の心理支援を行っています。カウンセリングではユーモラスな会話と、「話してみて良かった」と少しでも感じてもらえることがモットー。未来のために一緒に作戦会議をしましょう!
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