妊活の苦しみ、不妊治療に対する夫婦の考え方が違うときはどうする?【お悩み相談室】

今回は20代の女性からご相談をいただきました。不妊治療での体調不良の様子を見て旦那さんから「そこまでして子どもがほしくない」と言われてしまったというお悩みです。
妊活や不妊、パートナーとの温度差について、相談件数が豊富な生殖心理カウンセラーがお答えします。
子どもが3人ほしいねと夫と話しており、妊活を始めました。婦人科系の疾患があったので、最初から不妊クリニックに通院することにしました。排卵誘発剤を飲んでタイミングをとるようにということだったので排卵誘発剤を飲みました。私の体質が悪いのか、つわりのような副反応が出てしまい食べてないと気持ち悪い、でも食べたら吐いてしまうというような状況でした。そんな私を見て夫から「妊活でこんなに具合悪くなるのはかわいそうで見てられない。苦しめてまでほしくないからもうやめよう。」と言われてしまいました。それ以降、不妊クリニックも一旦お休みしています。子どもがほしい気持ちは私は変わらずあり、体調が悪くても頑張りたいと思っています。年齢的にもそろそろ一人目がほしいんです。夫との妊活に対する温度差について困っているのですが、どうしたらいいんでしょうか…。
(20代、女性、ハンドルネーム:楽しいことしたい 職種:事務・オフィスワーク)
妊活の夫婦の考え方が異なるのは決して珍しいことではない
パートナーさんと話し合い、不妊治療を始められたのですね。排卵誘発剤で副作用が出てしまったとのこと。お仕事もされているそうですし、とてもつらかったでしょう。子どもを望む気持ちはあるのに、身体が言うことを聞かないために治療をお休みしなければならず、悔しさや、自分の身体への恨めしい気持ちを感じられたのではないでしょうか。
そんな中、パートナーさんに「妊活をやめよう」と言われ、ショックを受けられたのですね。本当は、「私はもっとがんばれる!」「あなたも一緒にがんばろうよ」と言いたくなられたのではないでしょか。
妊活に取り組む上で、夫婦の考え方が異なるのは決して珍しいことではありません。それは、男性と女性では「妊娠」に対する体験が大きく異なるためです。
女性の多くは思春期から月経を経験しているため、自分の生殖機能に意識を向ける機会が多くあります。妊活についても体の変化を直接感じながら進めるため、「自分ごと」として捉えやすいのです。
一方、男性は身体的な変化を伴わないため、妊活を「妻が頑張るもの」と考える傾向があります。特に、不妊治療の過程で副作用や体調不良を目の当たりにすると、「妻の体を傷つけてまで妊娠を目指すことに意味があるのか」と疑問を抱くこともあります。
しかし、これは決して「子どもが欲しくない」というわけではなく、「妻に無理をさせたくない」という愛情からくるものでもあります。この視点を理解することが、夫婦のすれ違いを解決する第一歩になります。パートナーさんも、きっとあなたの身体をとても大切に思われているのでしょう。
夫婦の考え方の違いが明らかになったとき、それを「対立」として捉えるのではなく、「お互いにどう歩み寄れるか」を考えることが重要です。
お互いの気持ちを伝えてみる
パートナーさんが「かわいそうで見てられない。苦しめてまで子どもはほしくないから、もうやめよう」と言った背景には、何かしらの不安があるはずです。
– 妊活のストレスが妻を追い詰めているのではないか
– 副作用による体調不良が長期化しないか
– 妊活が夫婦関係に悪影響を与えていないか
本当のところ、パートナーさんがどう思っているのかが気になるところです。
「私は妊活を続けたいけれど、あなたがこう言った理由をもう少し聞かせてもらえない?」と、パートナーさんの本音を聞き出す機会を持ってみるのはいかがでしょうか。
一方で、あなたの気持ちもきちんと伝えることが大切です。「体調が悪くても頑張りたい」という気持ちがあるのであれば、それを素直に話してみましょう。
ただし、「頑張りたい」という気持ちが「無理をする」という方向に向かっていないか、改めて考えてみることも大切です。妊活は長期戦になることもあるため、「今できる範囲で続ける」「治療方法を見直す」といった選択肢も検討してみましょう。
妊活に関する話し合いが感情的になりやすい場合は、第三者の意見を取り入れるのも有効です。
– 不妊治療専門の心理士や医師に相談する
– 夫婦でカウンセリングを受ける
– 不妊治療経験者の話を聞く
専門家の意見を聞くことで、パートナーさんが不妊治療の実態をより正しく理解し、協力しやすくなる可能性があります。
妊活は、カップルの協働プロジェクトです。どちらか一方が負担を背負うものではありません。妻が不妊治療に取り組むとき、夫も「一緒に頑張れることがある」のを知ることも大切です。
あなたは、パートナーさんがどのようなことをしてくれたら、一緒にがんばれそうですか?
例えば、
– 生活習慣の改善(禁煙・禁酒、適度な運動)
– ストレスを溜めないためのリラックス法の共有
– 家事の分担を増やし、妻の負担を減らす
– 休日は妊活のことを考えなくて済むよう、ふたりの時間を楽しく過ごす
などがあるかもしれませんね。
こうした取り組みを通じて、「お互いが支えになっている」という実感を持てると、不妊治療を再開してみようか前向きに考えることができるかもしれません。
ふたりが望む幸せな家庭とは
妊活は、時に大きな負担となることがあります。しかし、その目的は「ふたりが幸せな家庭を築くために、一緒に歩んでいくこと」です。
せっかく治療をお休みしている期間なのですから、この機会に「ふたりが望む幸せな家庭はどんな家庭か」を考えてみてもいいかもしれません。また、「治療を再開すべきか、やめるべきか」という二択ではなく、「どの方法ならお互いに納得できるか」という視点で話し合うことが大切です。
妊活をしているからこそ、ふたりで真剣に将来のことを話し合うことができる、とも考えられます。子育て期にはもっと大切になる、カップルの話し合いのスキル。今はその練習期間と考えて、お互いの言葉を尊重し合いながら、焦らず一歩ずつ進んでいきましょう。
回答者:生殖心理カウンセラー
都内不妊治療専門クリニックに勤務。性や不妊治療、カップル関係が専門で、カップル・家族の心理支援を行っています。カウンセリングではユーモラスな会話と、「話してみて良かった」と少しでも感じてもらえることがモットー。未来のために一緒に作戦会議をしましょう!
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