妊活を始めたけれど妊娠しない…タイミングの見直し方【お悩み相談室】

今回は、妊活を始めたものの、なかなか妊娠せずに不安を感じている20代女性からのご相談です。 ブライダルチェックでは問題がないと言われたようですがタイミングの取り方が適切なのか悩んでいるとのことです。
クリニックに通わずに妊活を進めたいと考える中で、妊娠の可能性を高める方法について臨床心理士がお答えします。
半年前にブライダルチェックを受け、生理周期や排卵に問題がないと言われました。2カ月前から妊活を始めました。始めてから2カ月なので仕方ないのかと思いますがまだ妊娠していません。ネットやSNSでタイミングのとり方を調べて行っているのですが、生理周期や排卵に問題がないと医師に言われたのですぐに授かれると思っていました。タイミングの回数や時期が間違っているのでしょうか。仕事柄、自宅付近の不妊クリニックの診療時間に合わないことや、問題がないと言われたのでクリニックにお世話にならずに妊活を頑張れたらいいなと夫と話しているところです。妊活のタイミングについてアドバイスをいただけたらと思います。
(20代、女性、ハンドルネーム:ルイボスティー、職種:クリエイティブ)
目次
最初に
2カ月前から妊活を始めたものの、まだ妊娠に至っていない状況にがっかりされているのですね。「生理周期や排卵に問題がないと言われたから、すぐに授かると思っていた」というお気持ち、とてもよく分かります。
すでにタイミング法について調べ、パートナーと一緒に頑張っていらっしゃること、本当に素晴らしいです。その努力を続けているご自身を、どうか労ってあげてくださいね。
タイミング法のポイントと妊活の進め方
では、タイミング法のポイントと、これからの妊活の進め方について、一緒に考えていきましょう。
1. 自宅でタイミング法を行う場合の「回数」と「時期」
タイミング法とは、排卵日に合わせて性交渉を行い、妊娠の確率を高める方法です。排卵日に合わせることで精子と卵子が出会いやすくなりますが、ポイントは「タイミングを取るのは排卵日の2日前」ということです(※)。
排卵のタイミングと精子の寿命
―排卵日(生理開始から14日前後):排卵後、卵子の寿命は約24時間と短いですが、精子の寿命は3〜5日程度あります。そのため、排卵の2日前〜当日にタイミングをとりましょう。
―理想的なタイミング:排卵の2日前・前日・当日に性交渉を行うのがベストです。
具体的な回数とスケジュール
―回数の目安:排卵前の2日間+排卵日当日の計3回が理想的ですが、負担にならない範囲で行うことが大切です。
―タイミングが分からない場合:排卵検査薬や基礎体温を使って排卵日を予測する方法もありますが、「月に2〜3回のタイミング」を取ることで自然妊娠の確率は十分に上がります。
2. すぐに授かれなかったことへの落胆——でも、2カ月はまだ「これから」の時期
「すぐに授かれると思っていたのに…」と感じてしまうのは、決して不思議なことではありません。特に「問題はない」と言われたことで期待が膨らんだ分、落ち込みも大きくなりやすいですよね。
でも、実は20代の健康なカップルでも、妊娠する確率は1周期あたり20〜30%程度と言われています。そのため、「すぐに妊娠しない」のはごく自然なことで、決して「うまくいっていない」というわけではありません。
妊娠までの平均期間は?
―6カ月〜1年以内に自然妊娠する方が多いです。
―タイミング法を始めてから1年以内の妊娠率は約80~90%(※)とされています。
そのため、「2カ月経っても妊娠しない」と落ち込む必要はありません。むしろ、「まだ妊活は始まったばかり」と、これからのチャンスに目を向けていただけたらと思います。
3. タイミング法を続ける期間の目安
タイミング法は、基本的に「6カ月〜1年程度」続けることが推奨されています。ただし、「何カ月続ければ必ず授かる」という保証はありませんが、この期間を目安にして、自分たちのペースで進めていくことが大切です。
こんな場合は早めの相談も検討
以下の場合は、タイミング法を6カ月続ける前に、早めにクリニックに相談するのも良いかもしれません。
―年齢が35歳以上の場合:年齢とともに妊娠率は少しずつ下がるため、35歳以上の場合は6カ月程度で医師に相談することが推奨されています(※)。(ルイボスティーさんは20代なので、6カ月~1年ほどタイミング法を試していてOK)
―月経周期が不規則な場合:排卵日が分かりづらい場合、早めに医師のアドバイスを受けると安心です。
―夫の精液検査をしていない場合:女性側は特に問題ないと言われていても、男性側に精子が少ない・動きが悪い・正常な形のものが少ない、といった要因があるかもしれません。妊活を始めるときは、女性だけでなく男性もまず検査を受けましょう。
4. クリニックに通わずに妊活を続けたい場合の工夫
「仕事柄、クリニックの診療時間に通えない」「問題がないと言われたから、できるだけ自宅で頑張りたい」というお気持ち、よく分かります。その場合、次のような工夫を取り入れると、より確率を高めることができます。
① 排卵検査薬を活用する
排卵検査薬は尿中のLH(黄体形成ホルモン)を検出することで、排卵の約24〜36時間前を予測できます。「排卵日が確実に分かると安心できる」という方にはおすすめです。
② 基礎体温の記録を続ける
基礎体温を測ることで、排卵日やホルモンバランスの変化を把握できます。排卵後に体温が上がるパターンを把握することで、次の周期のタイミングが取りやすくなります。
③ ストレスをためない工夫
妊活中は「結果が出ないこと」にストレスを感じやすいものです。趣味の時間を大切にしたり、パートナーとリラックスできる時間を意識的に作ることで、心のバランスを保つことも大切です。
最後に
妊活を始めてまだ2カ月——「まだまだこれから」という時期です。すぐに結果が出なくても、「タイミング法は自分たちのペースで続けていい」と考えながら、焦らず進めていきましょう。
これまで調べたり工夫したりして、妊活を頑張ってきた自分自身を、どうか褒めてあげてくださいね。あなたとパートナーの努力が、きっとこれから素敵な未来につながっていきます。
応援しています!
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
公益社団法人 日本産婦人科医会
▶不妊症とは:https://www.jaog.or.jp/lecture/2-不妊症の定義・分類・治療法/
▶タイミング療法:https://www.jaog.or.jp/lecture/9-タイミング/
▶妊娠適齢年令:https://www.jaog.or.jp/lecture/1-妊娠適齢年令/
一般社団法人 日本生殖医学会
▶生殖医療Q&A:http://www.jsrm.or.jp/public/funinsho_qa05.html
NCBI(米国国立生物工学情報センター)
▶妊娠までの時間:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12923157/
書籍)M.Sara Rosenthal.The Fertility Sourcebook.Third Edition
▶1周期あたりの妊娠確率:https://books.google.co.jp/books/about/The_Fertility_Sourcebook.html?id=zMLJA-eKv9cC&redir_esc=y
回答者:株式会社ファミワンに所属する【臨床心理士、がん・生殖医療専門心理士】
生理・PMS・更年期・妊娠・出産・女性特有のがんなど、女性の健康課題やライフイベントに関するご相談を専門にしています。セックスレスや性交痛、パートナーとのコミュニケーションなど、性のお悩みについてもカウンセリングを担当しています。女性特有の心と身体の問題、なかなか人には話せないプライベートなお困りがあれば、是非お気軽にご質問ください。
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