「なんとなく不安…」結婚後の妊活、いつ考える?【お悩み相談室】

昨年ご結婚され、子どもを持つタイミングに悩む20代女性からご相談が寄せられました。妊活や高齢出産のリスクに関する情報が溢れる中で、不安が膨らむ日々を過ごされているそうです。
妊娠についての情報やご夫婦に合った時期や準備の仕方について、看護師がお答えします。
結婚してからどのくらいで子どもについて考えたほうがいいのでしょうか?
昨年、結婚をした20代後半の者です。子どももいつかは…と思っているのですが、日々の生活に精いっぱいで、なかなか具体的なところまで考えられていない状態です。
情報収集からはじめてみたところ、妊活や不妊治療の大変さをよく見聞きするようになりました。そのなかで、望んだ時期に子どもが授かることができないことが、自分ごととして感じられるようになりました。また、高齢出産のリスクについて詳しく知っていくなかで、このまま何となくいつかは…と思い続けていていいのだろうかと思うようになってきました。
今は、妊活・出産について、いろいろな情報や体験談がありすぎて、情報迷子のなかで、不安ばかりが広がっている状態です。
正しい知識の上で、タイミングなどについて考えていきたいのですが、目安となる年齢やタイミングを決めるのに役立つこと・知っておいたほうがいいことなどあるのでしょうか?専門家の方からみたときの、アドバイスがほしいです。
(20代、女性、ハンドルネーム:さく、職種:医療・介護・福祉)
最初に
ご相談ありがとうございます。
昨年ご結婚されて、妊娠について考えはじめられたのですね。
「今すぐじゃないけれど、いつかは子どもがほしい」と思いながらも、日々の忙しさや、溢れる情報に心が追いつかなくて、不安や迷いが膨らんでいるような、そんな繊細な気持ちが伝わってきました。
ご結婚されて間もない中で、日常をまわすことに精一杯になってしまうのは、よくあるお話です。そして、「子どもって、いつ考えたらいいんだろう」「このまま時間が過ぎていっていいのかな…」と、ふと立ち止まってしまう気持ちも、本当に自然なことだと思います。
今はきっと、「まだ焦りたくない、でもちゃんと考えなきゃいけない気がする」そのような揺れる気持ちの中にいらっしゃるのかもしれませんね。
しかし今のうちから妊娠について考え、いろいろと調べることは今後の人生をデザインするにあたり、とても大切なことで、それができているご相談者様はとても素晴らしいと思います。
情報を選ぶこと、自分に合う知識を見つけることも立派な妊活の一つ
少しだけ、専門的なお話をさせてください。
体外受精などの生殖補助医療を使った場合の妊娠率は、年齢によって変化します。日本産科婦人科学会が公表した2022年のデータによると、治療1周期あたりの妊娠率は、30歳で約30%、35歳で約25%、40歳で約15%、43歳では約5%と、年齢とともに低下していくことがわかっています。
また、流産率も年齢とともに上昇し、40歳で約30%、43歳では約40%に達します(※)。
こうした数字を見ると、少し不安になるかもしれません。でも、これは“焦らせるため”の情報ではなくて、「悔いのない選択をするための知識」として、そっと心に置いておいてほしいのです。
妊娠においては、やはり年齢がひとつのカギになります。
だからこそ、できるだけ早い段階で、自分たちの未来について話し合ったり、準備を始めたりすることで、より多くの選択肢を持つことができます。「もし、もう少し早く知っていれば…」と後悔しないように、今の自分にできることを少しずつ見つけていくことが、これからの安心にきっとつながっていきます。
また、不妊治療のうち体外受精や顕微授精などの高度治療は、現在の制度では43歳未満でないと保険適用の対象にならないことも、考えるうえでのひとつの目安になります(※)。
こうした情報は、「すぐに行動しなきゃ」と背中を押すものではなくて、むしろ“どう生きたいか”を考えるヒントにしてほしいのです。
妊活といっても、特別なことを始める必要はありません。たとえば、基礎体温をつけて自分の身体のリズムを知ったり、婦人科でブライダルチェックを受けて体の状態を確認したり。そうやって“未来への小さな準備”を、無理のないペースで積み重ねていけたら、それだけで立派な一歩なのです。
また、今は情報が多すぎて、かえって不安になってしまうこともありますよね。SNSや体験談に触れるたびに「自分も早くしなきゃ」と感じてしまったり、「私は大丈夫かな」と比較してしまったり。そんなときは、どうか自分の心の声を優先してください。情報を選ぶこと、自分に合う知識を見つけることも、立派な“妊活”のひとつだと思っています。
ご自身の心の奥にある「ちゃんと向き合いたい」「でも、まだ怖い」そんな気持ちをしっかりと受け止めてあげてくださいね。
最後に
誰かと比べなくていい。急がなくていい。今は、情報を少しずつ整理しながら、「私たちらしいタイミングってどんなだろう?」と、やさしく問いかける時間にしてみませんか。どんな小さな不安も、ひとつずつ言葉にしていくことで、安心へとつながっていきます。
あなたの未来が、笑顔と安心で満たされるように。心から応援しています。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
公益社団法人 日本産科婦人科学会
▶「ARTデータブック2022」:https://www.jsog.or.jp/activity/art/2022_JSOG-ART.pdf
厚生労働省
▶「不妊治療の保険適用について(令和4年施行)」:https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000929827.pdf
不妊治療専門のアドバイザーとして、妊娠を希望する方をサポートしています。看護師としての経験と体外受精コーディネーターの資格を活かし、一人ひとりに寄り添ったアドバイスを提供。不妊治療の選択肢やライフスタイルの見直し、心と体のケアまで、総合的にサポートします。あなたの妊活が少しでも前向きなものになるよう、専門的な視点でお手伝いします。
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