妊活とプロテインの関係とは?正しい知識を解説【お悩み相談室】

今回は妊活にプロテインを飲んでもいいのか、飲まないほうがいいのか悩まれている20代女性からのご相談です。ネットと知人からの情報が相違していてどちらを信じていいのか困っているようです。
妊活とプロテインの関係について管理栄養士がお答えします。
妊活中で葉酸のサプリを飲んだり、運動したり、食事に気を付けるようにしています。それ以外に何かできることがないか調べたところ、プロテインがいいと書いてあるサイトをいくつか見ました。妊活前までは毎日プロテインを飲んでいてジムに通っていましたが、知人から「プロテインの飲みすぎは妊活に良くないみたいだよ。」と教えてもらってから、控えていました。妊活にたんぱく質が必要なのかも分からなくて…妊活にはプロテインがいいでしょうか?控えたほうがいいでしょうか?多くの情報に悩まされてばかりです…
(20代、女性、ハンドルネーム:ポップコーン、職種:クリエイティブ)
目次
最初に
とても丁寧に妊活に取り組まれておられますね。その分「本当にこれは続けていいの?」と不安にもなりますよね。ご質問の「プロテイン(たんぱく質)は妊活に良いのか?それとも控えたほうがいいのか?」という点について、整理してお伝えさせていただきます。
妊活中のたんぱく質摂取はとても大切です。卵子の質やホルモンの材料になるだけでなく、体調全体の土台になります。プロテイン(たんぱく質補助食品)を活用するのも一つの方法ですが、“サプリ=魔法の食品”ではなく、足りない部分を補うもの”と考えるのが大切です。
たんぱく質は妊活にとても大切な栄養素
妊活にたんぱく質は必要?というところでは、たんぱく質は妊活にとても大切な栄養素のひとつです。
理由としては
・ホルモンの材料になる(エストロゲンやプロゲステロンなどもたんぱく質から作られます)卵子や子宮内膜の質の維持に必要。
・基礎体温の安定にも関係します。
つまり、たんぱく質が不足するとホルモンバランスが乱れたり、妊娠しやすい体を作る妨げになることもあります。
妊活期の必要なタンパク質量は1.0/kg (※)となります。体重50kgの場合50g/日が目安です。
1日50gの食材例。
鶏胸肉100g、卵1個、木綿豆腐150g、ヨーグルト100g、納豆1パック
ここに加えて、主食(ご飯)にもタンパク質は含まれるため、ある程度確保できます。
ただ、
「朝ごはんがなかなか食べられない。」
「外食が続いて食事が乱れる。」
「食が細い、沢山の量を食べられない」
といった場合、タンパク質の量が不足している可能性もあります。
プロテイン(サプリ)での補給はというご質問の回答としましては、基本的には「適量ならOK」です。
でも、ポイントは
「どんなプロテインを、どれくらい飲むか」となります。
飲んでもいい場合:
- 食事だけではたんぱく質が不足している(1日に体重1kgあたり1gが目安。50kgの場合=50g)
- 良質なたんぱく源(ホエイ、ソイ、カゼイン、植物由来など)を選ぶ
- 添加物や人工甘味料が少ないものを選ぶ
- 飲む量は1日1杯(20g前後)程度にする
控えたほうがいい場合:
- 添加物・人工甘味料が多いプロテイン(アスパルテームやスクラロースなど)
- 1日2杯以上飲む(たんぱく質過剰で腎臓に負担がかかることも)
プロテインの種類に関して:
ホエイプロテイン(乳由来)
- 吸収速度が速い(2~3時間で吸収)
- 必須アミノ酸が豊富で筋肉の修復・成長に適している
- 運動後の摂取に最適
カゼインプロテイン(乳由来)
- 吸収がゆっくり(7~8時間かけて吸収)
- 腹持ちが良く、就寝前の摂取に適している
- 筋肉の分解を防ぐ効果が期待できる
ソイプロテイン(大豆由来)
- 植物性タンパク質でビーガンやベジタリアン向け
- イソフラボンを含み、ホルモンバランスの調整に役立つ
- 腹持ちが良く、ダイエットにも適している
植物由来プロテイン(エンドウ豆、玄米、ヘンプなど)
- アレルギーの心配が少ない
- 環境負荷が低く、サステナブルな選択肢
- 消化吸収が穏やかで胃に優しい
ご自身の身体に合ったものを選択していきましょう。
最後に
妊活中は、よかれと思って頑張ったことが「実は控えた方が…」と言われたりして、心配になりますよね。でも、管理栄養士としての立場でいうと「無理なく、偏らず、必要なものをちゃんと補う」というのが一番大切です。食事で足りないときだけ、質のいいプロテインを1日1回使うのはOK
“飲むのが悪い”というより、“栄養バランスの乱れ”が妊活に影響する。と考えて上手にとりいれていきましょう。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶日本人の食事摂取基準(2025年版):https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html
▶妊産婦のための食事バランスガイド:https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3b02.pdf
保育園、老人ホーム、病院に勤務経験あり。0歳~高齢者までの幅広い食を支えており
ます。食事は生きる土台です。食事の大切さはわかっていても、乱れてしまったり、習慣を変えることが難しい場合もあります。まずは完璧を目指すのではなく、一人ひとりの嗜好やライフスタイルに合わせた提案をさせていただいております。食べることや栄養の大切さを、わかりやすく楽しくお伝えしております。いつでもお気軽にご相談ください。
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