葉酸サプリで健康な赤ちゃんが生まれる?妊活の疑問【お悩み相談室】

妊活中の葉酸サプリについて、不安を抱える20代女性からのご相談です。家族から「昔はサプリなんてなかったし危険では?」と言われたものの、ネットでは「摂取したほうがよい」との情報も。さらに、葉酸を摂っていた友人の子どもが発育に課題を抱えていると聞き、不安が募るとのこと。
葉酸サプリの安全性や、妊活・妊娠中の正しい摂取方法について専門家が解説します。
妊活中に葉酸サプリを摂取するべきでしょうか?家族に相談したところ、「昔はサプリなんてなかったし、危険じゃないの?食生活を見直したり適度な運動をしてなるべくストレスをかけないようにすれば大丈夫だよ。」と言われました。ネットで調べたら摂取したほうがいいと書いてあって、友人にも相談してみたんです。友人も妊活中と妊娠中に葉酸を飲んでいたそうですが、お子さんの発育が遅く、このままだと小学校では支援学級になるかもしれないとのことでした。葉酸サプリを飲めば、健康で成長に問題がない赤ちゃんが確実に生まれるのでしょうか?
(20代、女性、ハンドルネーム:ブランケット、職種:事務・オフィスワーク)
最初に
とても真剣に妊活に取り組まれていて、色々な情報や体験談を聞いて混乱してしまうお気持ち、すごくよくわかります。
大切な命に関わることだからこそ、「本当に必要なの?安全なの?効くの?」という疑問が出てくるのは当然のことです。
葉酸は妊娠する前から摂取しておくことがとても大切
まず結論からですが、妊活中は葉酸のサプリメントが推奨されています。これは厚生労働省、日本産科婦人科学会、WHO(世界保健機関)など、国内外の信頼できる医療機関が共通して出している科学的根拠に基づいた推奨です(※)。
妊娠の初期(特に妊娠4〜6週)に、赤ちゃんの「神経管(脳や脊髄の元)」が形成されます。この時期に葉酸が不足すると、以下のような「神経管閉鎖障害(NTD)」のリスクが高まります:
- 二分脊椎(にぶんせきつい)
- 無脳症(むのうしょう)
これらは重い障害を引き起こす可能性があるため、「妊娠する前から葉酸を摂取しておくこと」がとても大切です。
推奨量としては
食事から摂る葉酸(天然葉酸)普段の食生活から摂取(ほうれん草、ブロッコリー、レバーなど)
サプリで補う葉酸(合成葉酸・モノグルタミン酸型)1日400μg(マイクログラム)が推奨量となっております(※)。
サプリメントの危険性に関しては、葉酸サプリには以下の点を注意すれば、危険性は極めて低く、むしろ予防効果が期待できます。
上限は1,000μg/日(400μgを守っていれば超えることはまずありません)※
妊娠前~妊娠3か月ごろまでの摂取が特に重要です。
一つ注意点としましては、葉酸サプリ=赤ちゃんが絶対に健康になるわけではないということです。葉酸はあくまで「神経管閉鎖障害などのリスクを下げる」ためのものです。発育や発達を“完全に保証”するものではありません。
つまり、葉酸を飲んだからといって全ての問題が防げるわけではないし、逆に飲んだから障害が起きた、という直接的な因果関係は科学的には確認されていません。
ご友人のお子さんのケースについても、葉酸サプリが原因で発育が遅れた、という因果関係は現時点では医学的には否定されています。
発育には他にも多数の要因(遺伝、環境、妊娠中の健康状態など)が影響します。
「昔はサプリなんてなかったし、自然に任せればいい」という考えも理解できます。ただ、昔と今では食事内容も生活環境も違いますし、葉酸の摂取量が足りていない女性が多いというデータも出ているため、現代に合わせた科学的な対策が必要になっております。
最後に
サプリメントは「食事で足りない栄養素を補うもの」であり、適切に使えば安全かつ効果的と考えていきましょう。
<参考文献・出典>※以下の文献を参考にしています
厚生労働省
▶葉酸について:https://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1228-1_18.html
▶妊産婦のための食事バランスガイド:https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3b02.pdf
保育園、老人ホーム、病院に勤務経験あり。0歳~高齢者までの幅広い食を支えており
ます。食事は生きる土台です。食事の大切さはわかっていても、乱れてしまったり、習慣を変えることが難しい場合もあります。まずは完璧を目指すのではなく、一人ひとりの嗜好やライフスタイルに合わせた提案をさせていただいております。食べることや栄養の大切さを、わかりやすく楽しくお伝えしております。いつでもお気軽にご相談ください。
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